直球を極めた虎の守護神、藤川球児が初の自著で、葛藤の日々を告白。
球界屈指のクローザー、藤川。代名詞である豪快な直球はいかに作られ、どこに向かうのか。2008年のV逸で一度は折れた心がどう回復したのか。
野球人として、人間として葛藤する著者が、現在進行形の悩みとそこからの解放を本音で綴る。
来季からタイガースに加入する韓国のリリーバー、呉昇桓の背番号が22に決まりましたね。
虎党の僕としてはもちろん期待感もあるのですが……。
本音はこう。
まだ何の活躍もしていないヤツに、球児の背番号を軽々しく渡すなよ。
です。
僕にとって、藤川球児はおそらく未来永劫、ナンバーワンのクロ―ザーです。
「伝説のストレートを受けている」
これは藤川球児のかつての恋女房である、矢野輝弘捕手が言った言葉です。
普通、「伝説の」という冠詞はすでにこの世でないもの、もしくはその世界から退いた人に対して使われるものですよね。たとえば、「伝説の名投手、沢村栄治」のように。
そう考えると、この発言は不適切なはずなのですが。
だけど、矢野は確信していたのでしょう。
藤川球児という投手の真っ直ぐが必ず「伝説の真っ直ぐ」として後の世で語れることを。
「藤川の真っ直ぐは、それがくることがわかっていて、コースもわかっていて、それでもなお、打者から空振りをとった」という伝説として語り継がれていくことを。
いつか、年月が流れ、藤川球児が球界を去ったとしても。
藤川球児のストレートを見たことがない世代がプロ野球の世界に入ってくるようになったとしても。
藤川球児の名前は永久に残る。
この時代に生まれてよかったなと思うことは、スポーツにおいていくつもあります。
イチローという世界の野球の歴史上ナンバーワンのヒットメイカーを生で見られていること。
僕たちの国が初めてサッカーのW杯に出場し、さらに自分の国でW杯が開催される場に立ち会えたこと。
数え上げれば、キリがないですよ。
けれど、僕がこの時代に生まれたことを最も感謝しなければいけないのは――藤川球児の真っ直ぐをこの目で観ることができたということではないでしょうか。
そんな藤川の生の声が書かれている一冊です。
やっぱりタイガースファン必携だなあ。