これを読まずして貴志祐介は語れない!
あの緻密な作品群を生みだす知性の意外な素顔とは。
作家としての思索や社会への意見……デビュー以来の全エッセイから精選・抽出した、最初で最後かもしれない(著者談)エッセイ集。
笑いあり涙あり、私生活にもミステリーあり!? ファン必読・必携・必購入!
貴志祐介の作品は大好きだ。
最初に読んだのは「黒い家」。
人はこれほどまでに邪悪になることができるのかと、恐怖に震えた。
人の悪意を描くことで、十分に恐ろしいホラー小説になるのだと思った。
それから貴志祐介の本をすべて一気に読んだけど……あまりにも寡作なのであっという間に読み終わり、新刊を待ちわびた。
なかなか出なかったけどね。
映像化作品が多いので、もともと無名ではなかったけれど、「新世界より」や「悪の教典」で一般のファンにも知られる作家になったことを少しうれしく思った。
これでもう少し刊行ペースが早まるかな、って。
でもまさか、エッセイ集が読めるとは思わなかったなあ。
これだけ寡作な作家なのに、エッセイにまで手を染めているとは……。
(ああ、なんか皮肉っぽいな、これ)
自作解説や制作秘話のようなものは少なかったけれど、まったく関係ないエッセイからも、こういう思考方法で物語が構築されていくのだろうなあというのが読み取れた。
個人的には「素人がスポーツジャーナリストの真似をして書いたスポーツに関するエッセイ」が好きではないので(面白かったためしがない)、そこはちょっと辟易したが、それ以外はとても興味深く読んだ。
貴志祐介のファンならば、読み応えは十分だろう。
でもまあ………個人的に強く願うのは、
エッセイを書くヒマがあったら新作を書いてほしいなあ
だな。