JR東海の丹羽社長は14日の定例記者会見でリニア中央新幹線の工程について従来通り、品川~名古屋間開業後、名古屋~大阪間の工事に着手する考えを示した。
岸田首相は7日、建設促進期成同盟会からの要望に2037年の品川~大阪間の全線開業時期を堅持するようJR東海に指導するとしていた。
静岡新聞(6月15日)
静岡新聞(6月8日)
JR東海は21日、名古屋市のホテルで株主総会を開き、2027年の開業を断念したリニア中央新幹線をめぐる株主からの質問に、経営陣が直接答えた。
「リニアを問う愛知市民ネット」代表の小林収(おさむ)さん(79)は「JRの説明には納得できない。リニアの遅れを静岡県のせいにしているが、他の工区でも遅れが出ている。静岡を悪者にしているんじゃないか」と語った。
(朝日新聞6月21日)
JR東海は4日、長野県大鹿村内で進められている二つのトンネル完成について、当初計画より3~4年遅れて2029年~2030年頃になる見通しだと発表した。
そして、株主総会でも静岡工区が着工できないので見通しが立たないと相変わらず同じ見解を示している。
そんなことから、岸田首相が示す2037年の全線開業は事実上不可能だと言える。
2037年の開業を実現する為には品川~名古屋と名古屋~大阪を同時並行で工事する必要がある。
その為には金銭面での国の支援が欠かせない。
そして最も肝心なことはトンネル湧水を抑制しつつトンネルが掘削できるのかという基本的なところに行き着く。
過去の大量湧水に遭遇したトンネル工事の現場では如何にして水を抜くことができたかが成功のカギとなっていた。
従って終局の選択として、南アルプスのリニア工事を諦めるか、それとも 水と環境を諦めるか の選択を迫られる場面が想定される。
その時、水と環境を守りながらリニアを推進する とする尤もらしい考え方が根底から否定されることになる。