静岡県はリニア中央新幹線山梨工区での県境から300m地点を越える高速長尺先進ボーリングに合意しました。

R東海が静岡県(専門部会)の要求に応じて慎重な姿勢に変化してきたことによります。

JR東海は県境付近のボーリング調査では湧水量や水質について毎日、県に報告する意向です。

 

静岡朝日テレビ

 

静岡新聞

 

令和6年5月20日、山梨工区での高速長尺先進ボーリングが再開され、JR東海は進捗状況を公開しています。

( 翌週の火曜日に更新 )

https://company.jr-central.co.jp/chuoshinkansen/linear/_pdf/progress.pdf

 

south-alps-tunnel-boring.pdf (jr-central.co.jp)

 

*高速長尺先進ボーリングの施工条件

高速長尺先進ボーリング の目的はボーリングによる 地質調査 と工事前に行う安全のための 水抜き とされている。

従って、JR東海 は大井川流域の首長たちが何気なく使っている ボーリング調査 という言葉を明確にすべきである。

もし、その目的が調査に限定されるのであれば、高速長尺先進ボーリングは容認すべきであろう。

 

担保される条件として

①ボーリングに伴う湧水量を隠さず公表すること

②ボーリング終了後は止水すること

③ボーリングによって得られたデータは公表すること

 

*高速長尺先進ボーリングは 地質調査 なのか、それとも 水抜き なのか? 明確にすべき

JR東海は高速長尺先進ボーリングという言葉を従来から使ってきたが最近、ボーリング調査と置き換えて発言する場合が見受けられるようになってきた。

調査だと見る人は推進派、水抜きだと見る人は慎重派に大別できるが、いずれにしても両方の機能を持ている。

一般的に、トンネル掘削の 工事前に水を抜くことが安全に工事を進めるためには必須条件 になるのだが、調査目的が強調されて報道されているように感じる。

 

*再開後のボーリング調査について(専門部会JR発言)

・①の断層は施工済み(大量の湧水はでなかった)

・②の断層は必要に応じてコアボーリングをする

・大井川の流量が湧水より多いことを確認する

・県境に達するまでに利水協議会の了解を願う

・湧水が管理値より多い場合は中止して水を止める

・ボーリング湧水は完了後県境付近で永久的に止める

 

JR東海から公開された進捗状況は一寸解りにくいので当ブログでも検証してみました。

 

 

 

 

静岡工区

 

静岡新聞から引用

 

JR東海が公にした高速長尺先進ボーリング削孔工事の判断基準となる数値は10m換算で50ℓ/秒と記憶している。

もともと、この基準が分かりにくかったのだが、JR東海が公開している10m換算の湧水量の数値は

1秒当たりの湧水量の増加分をその間の削孔距離(m)で除して10倍したものである。(半日ごとに計算)

この数値がJR東海の示す50ℓ/秒を超えることが実際にあり得るだろうか・・・?

半日の削孔距離が1mでその間の湧水の増加(変化)量が5ℓ/秒の時は工事などとてもできない溢水状況といえる。

従って、管理値は単純に1秒当たりの湧水量とした方が分かりやすい。

因みに、削孔口からでる湧水5ℓ/秒は1日当たり5×3.6×24=432㎥(t)である。

一般家庭1人当たりの1日の平均水道使用量は220ℓと言われている。

従って、5ℓ/秒の湧水は2000人の水道使用量に相当する

 

先進ボーリング湧水量管理値(国交省)

斜坑、先進坑及び本坑における先進ボーリング孔の湧水量は、削孔長10mあた り50L/秒※を管理値、導水路トンネルにおける先進ボーリング孔の湧水量は、 削孔長10mあたり30L/秒※とし、ボーリング湧水量がこの管理値に達した 場合には、当該地点の手前で掘削工事を一時中断します

https://www.mlit.go.jp/tetudo/content/001393052.pdf

 

当初、高速長尺先進ボーリングと言っていたJR東海はこのところボーリング調査という言葉に置き換えて発言している。

マスコミが使っていた言葉を引用する形になっているが、このことによってもう一つの目的である水抜き効果が隠されてしまった。

言葉通りにあくまでも調査の目的に限定してほしい。

水抜きの目的として行うのは静岡工区のトンネル掘削の合意が取れた後にしてもらいたい。