5月26日、投開票された静岡県知事選で鈴木康友氏が自民党の推す大村慎一候補を抑えて当選した。

その勝因は静岡県民に人気があった川勝知事の得票95万票の行先が大村氏よりも鈴木氏の方が多かったということであろう・・・

 

 

☆選挙結果

当選 鈴木康友氏(66)  728,500票(47.4%)
   大村慎一氏(60)  651,013票(42.4%)
   森 大介氏  (55)  107,979票(  7.0%)
   浜中都己氏(62)    24,315票(  1.6%)
   村上 猛氏  (73)    15,106票(  1.0%)
   横山正文氏(56)      9,263票(  0.6%)

 

☆地域別最多得票市町

静岡県内35市町のうち、西部8市町全て鈴木候補が最多得票を得た。

一方、中部7市町全て大村候補が、東部20市町では全て大村候補が最多得票を得た。

 

☆地域別投票率

西部地区:56.25%

中部地区:53.46%

東部地区:47.42%

 

☆静岡新聞

 

☆SBSテレビ

選挙戦総括

 

大村支持を表明していた流域首長

 

鈴木新知事インタビュー

 

 

☆アラカンおじさん分析の大村候補敗因

中央のメデイアは今回の静岡選挙戦は与野党対決だと言ったが結果的にみてみると、大井川以西の西部地区8市町 対 大井川以東27市町との対決だったと見ることができる。

 

当ブログでは やらまいかの地域主権を重視する遠江 やめまいかの中央依存体質の駿河、そして首都圏に近いので 自主的行動が苦手な伊豆 がどのような反応をするのかが県知事選の焦点になるとみてきた。

 

 

そこで、アラカンおじさん独自の目線で今回の県知事選、西部地区8市町の3倍以上の27市町から最多得票を得た大村候補が何故負けたのかを分析してみる。

 

①川勝県政の評価

大いに評価する(14.5%)ある程度評価する(52.1%)と川勝県政を評価する声が県民全体の2/3に及んでいる。

1週間前の調査で鈴木候補は川勝路線を継承することを明言したことで蘇った。

 

②自民党推薦の功罪

知名度に劣る大村候補が鈴木候補と拮抗した理由は自民党の支持を得たことにある。

同時に、このことで大村候補は自民党の持つ悪いイメージを受け継ぐことになった。

県民の6割が自民党の裏金問題を考慮するとしていることから自民党の推薦には限界があり悪い影響があった。

自民党が表面に出れば出るほど大村候補は自民党の傀儡だというイメージに繋がっていった。

 

③県外著名人等の迷惑的関与

川勝知事時代、辛坊治郎氏やホリエモン、高橋洋一氏などから誹謗中傷的な言論が発せられていた。

県知事選においても須田慎一郎氏、三枝玄太郎氏等からスズキの関与や太陽光発電など取り上げ鈴木候補のイメージダウンを図った情報が発信された。

大村候補の応援というよりも自らの注目を集める売名行為であることから大村候補にとっては迷惑な行為であった。

県民の反発を買う彼らの発言によって大村票は逃げたと言えるだろう。

 

④岐阜瑞浪市での地下水低下

県知事選挙期間中に岐阜県瑞浪市でのトンネル工事による地下水の低下が公になった。

JR東海の不誠実さと共に否定的に報道されていた川勝知事の正当性が顕在化した。

1年以内に結論を出すとしていた大村候補の選挙公約も取り消さざるを得なかった。

 

⑤上川外務大臣の失言

川勝前知事は職業差別発言として辞任に追い込まれた。

大村候補の応援演説において「生まずして・・・」と子供を産むことが女性の役割りだと連想させるような失言をした。

川勝知事も上川外務大臣も発言は真意ではないと説明したが世論の反応によって川勝知事は辞任し、上川大臣は釈明したものの謝罪すらしなかった。

川勝知事は「男の子はお母さんに育てられる」と発言してメデイアからも散々非難された。

これこそ上川大臣の「生まずして・・・」発言に似ている。

同じことをしても自民党ならば許されるのかというイメージが浮き上がった。

 

⑥東部地域の首長関与

広域的選挙の場合、東部地域の首長が団結して自民党候補を応援する場面が映し出された。

市長や町長は特別地方公務員である。

公務員が地位を利用して選挙運動をすることは公職選挙法で禁止されている。

役所の開庁時間帯に市長として選挙運動をすることは当然慎まなければならない。

また、告示前の選挙運動も規制されている。

公然と大村支持をしてきた首長たちは政敵だった鈴木知事とためらいもなく対応していくことが可能だろうか?

さらに言えば市長が支持者を明確にすることによって間接的には有権者の投票率低下に繋がっているように感じる。

 

⑦まとめ

知事辞任に繋がっていった川勝知事と県議会自民改革会議の対立であったが自民党本部の調査では川勝知事が悪い40%、議会が悪い40%と互角であった。

そんな中、過信した自民改革会議は知事辞任の決議を繰り返した来た。

このような状況下でも自民党公認候補を擁立できなかったのは自民党の覚悟の無さを有権者である県民に晒しめた。

静岡市に所在するなどから川勝知事批判記事の多かったマスコミの報道から大村候補は県民の声を錯覚した。

 

(大村候補の一声)

知事と議会の)対立と分断がうずまき物事が進まない、決められない、そしてどこで何が決まっているのかよくわからない、(知事の)大きな声や(スズキ相談役などの)特定の声、そうしたものが渦巻くこうした県政から、県民不在の県政から県民(自民党)の手に県政を取り戻したい、私はその一心でいま戦っております。 そのためにオール静岡ということを申し上げているのでございます。

               (赤字部分は筆者加筆)

 

鈴木氏を応援した浜松市議を処分すべきだ」と県議会自民改革会議の議員総会で某議員が発言したという・・・

こんなことをしたら自民党の勢力が衰えるという単純なことが理解されていない。

告示前から全市町の半数を超える首長が大村氏への支持表明をしていた。

その理由が「応援しなかった首長は選挙で思い知らせる」と大村陣営(自民党)からすごまれたからだという・・・

 

結局、今回の県知事選で浮き上がってきたのは県議会会派・自民改革会議の闇の部分であった。

そして、最も痛手を負ったのが自民党そのものである。

別の言い方をすれば自民改革会議が何ら改革されていなかったという滑稽な話である。

 

アラカンおじさんのブログ