リニア中央新幹線のトンネル工事が実施されている岐阜県瑞浪市で水位が低下していることが分かり、JR東海はトンネルの掘削工事を中断して先端から水平ボーリング調査を実施して詳しい地質調査することを明らかにした。

 

静岡第一テレビ

 

SBSテレビ

 

テレビ静岡

 

NHK静岡

 

静岡新聞

 

☆国交大臣会見(国交省HP)

(記者)

リニア中央新幹線のトンネル掘削工事において、岐阜県瑞浪みずなみ市で、井戸やため池の水位の低下が明らかになりました。
JR東海は、工事を一時中断してボーリング調査を行うとのことですが、国土交通省の受け止めと今後の対応をお聞かせください。

(国交大臣)

JR東海から、リニア中央新幹線のトンネル掘削工事を実施している、岐阜県瑞浪市で、井戸やため池の水位低下が確認された、との報告を受けています。
この原因や対応については、JR東海から次のことを聞いています。
1番目に、JR東海では地下水位の観測用井戸を設置し、地下水位の変化をモニタリングしながらトンネル掘削工事をしており、2月下旬に水位の低下を確認した後、速やかに地域の関係者に連絡したこと、2番目に、トンネル掘削工事との関係を引き続き調査していくが、周辺でこの工事以外に地下水に影響するような工事が行われていないことから、リニア中央新幹線のトンネル掘削工事によるトンネル湧水の影響である可能性が高いと考えていること、3番目に、現在、応急措置として、上水道を御利用いただくための工事を順次実施し、また、代替となる水源として、新しい井戸を掘る予定であり、これらをJR東海の負担で実施すること、4番目に、準備が整い次第、薬液注入等のトンネル湧水を抑える対策を実施すること、5番目に、必要な場所で、トンネル掘削工事を一時中断し、地質調査のためのボーリングも実施すること、この5点について報告を受けています。
国土交通省としても、JR東海に対し、速やかに原因究明を行うとともに、地元住民の方々などへの丁寧な説明と、調査を踏まえた適切な措置が取られるよう、引き続き、指導・助言を行っていきたいと思っています。

 

NHK

 

 

☆アラカンおじさんのコメント

川勝知事が辞任したら、JR東海は静岡県外の他工区でも工事が遅れていることを公表し、岐阜県瑞浪市で水位が低下していることも公表した。

リニア問題を報道してきたジャーナリストの樫田秀樹さんは山梨県での水枯れに関し、同じことが今後のトンネル工事周辺で起こる可能性があると警鐘を鳴らしていた。

 

☆水枯れが心配です(樫田秀樹)

地下トンネル工事では必然的に地下水脈を断ち切ることになります。それでもJR東海は「影響は少ない」と明言していますが、山梨県のリニア実験線では、やはりルートの8割が直線状のトンネル工事だったので、数十もの川、沢、井戸が水枯れしました。

 同じことが今後のトンネル工事の周辺でも起こるのか。注視したいです。

 

 

☆長野県大鹿村でも井戸の水位が低下した(信越放送)

長野県大鹿村で行われているリニア新幹線のトンネル工事で、2022年4月以降、掘削に伴って出る水の量が増え、周辺の井戸の水位が低下していたことがわかりました。

大鹿村では伊那山地(いなさんち)トンネルの工事に伴って出る1日当たりの湧水が、それまで500立方メートルだったものが、22年4月以降は、1,500~2,000立方メートルへと急激に増加。工事現場近くの2か所の井戸の1つで2.6メートル、もう1つの井戸では5.2メートルそれぞれ水位が低下しました。          

 

今までと違って、マスコミ各社が大きく報道したのは何故だろうか・・・? との疑問が湧いてくる。

 

それはさておき

JR東海の丹羽社長は記者会見で「静岡県との協議の影響は」とする記者の質問に「今回はトンネル工事の近くで起こった事象。一方で静岡工区については、トンネル工事箇所から河川延長でいうと100㌔離れた大井川中下流域に与える影響や対策を議論してケースが異なる。静岡工区では国専門家会議が取りまとめた報告書を踏まえた対策やモニタリングを講じていく」と答えた。         (静岡新聞)

 

この社長発言は非常に解り難い。

中下流域への影響はないということは正しいであろう。

しかし、瑞浪で問題になったのはトンネル周辺の地下水であり、2月に分かっていたにも拘らず、川勝知事が辞任するまで公表してこなかったことである。

そして、トンネル周辺では最大300mの地下水位が低下することが分かり、現在県の専門部会や静岡市の協議会で協議中であり、結論が出ていないことである。

 

瑞浪市での井戸水位低下問題は、静岡工区との関係においてお互いに参考にすべきである。

静岡工区で協議した内容(対策)は瑞浪にも利活用できる。

一方、高速長尺先進ボーリングを実施していたにも拘らず、現実的に地下水低下という事象を招いたことである。

従って、南アルプストンネル工事にはより慎重さが求められている。

図らずも、川勝前知事の対応の正当性が実証された。

 

瑞浪での地下水位低下が県知事選にも影響が出ている。

 

1年以内に結果を出すとしていた大村候補はJRの対応を問題視し、一旦ストップしJRにしっかりした対応を求めると軌道修正した。

 

リニアのメリットを挙げて推進を訴えてきた鈴木候補は川勝知事の対応を評価し、前職の意思を受け継いでいくことを明確にした。

 

・水や生態系保全の観点からリニア建設の中止を主張してきた森候補は改めて工事の困難さが露呈したと論調を強めている

 

静岡県の対応を批判してきた神奈川、山梨、愛知の各県知事や小異を捨てて大同につけと静岡県に迫った地元岐阜県選出の古谷圭司(自民党リニア特別委員会)委員長にとって、地下水位低下は捨てるべき小異だったのかコメントを聞いてみたい。

同様にリニア反対は犯罪だと言った杉本牧之原市長や、リニア推進のためには県専門部会の解散をと主張した染谷島田市長にもコメントを求めたい。