静岡県とJR東海で雪解けが見られていたリニア中央新幹線静岡工区問題がJR東海が反撃の記者会見を開いたことによって一気に緊張感が漂ってしまった。

今年早々に工事再開がされると予想していた山梨工区の工事も見通せなくなってしまった。

2月5日に中央新幹線対策本部長(森副知事)が47項目について会見を開いて説明をするというようです。

 

大村愛知県知事の一言で始まった「エビデンス」という言葉が独り歩きして妨げになっている。

エビデンスを突き詰めていけば解決するとする妄信である。

 

国交省は有識者会議を開いて協議検討したものの、100%予測することは今の科学では不可能とする見解を示した。

そして、JR東海に中間報告書に沿って静岡県と協議しなさいとの指導・助言をした。

そして、JR東海はその方針に沿って静岡県の専門部会で協議を進め、合意に向かってゆっくりではあるが進んでいるものと思われていた。

ところが、JR東海は突然記者会見を開き、川勝知事の言動を批判した。

待っていましたとばかりにマスコミは川勝知事批判の記事を一斉に配信した。

 

ここで重要なことは現在、JR東海との対話・協議・要請の任務を担っているのは知事でなく、中央新幹線対策本部(本部長:森副知事)であるという事実である。

従って、川勝知事であるかのような論調は誤報となる。

解りやすく言えば、今の時点で権限を持っていない川勝知事に会見で質問し、県の方針の如く報道することがナンセンスということになる。

そして、視聴率獲得のためとはいえ、事情の分からないコメンテーターを東京から呼び寄せ、尤もらしいコメントをさせて自画自賛している様は滑稽でもある。

悪く言えば、リニア報道は金儲けのためのツールとして利用されてしまったということであろう。

 

有識者会議の中間報告に沿い、トンネルは掘ってみなければどのような影響があるかどうか分からないとする中で、解決策は何かと問われれば、JR東海に影響を補償する技術的・金銭的能力があるかどうかということに辿り着く。

 

東京電力福島第一原発事故の補償する能力が東京電力にはなかったことから今もって福島県民は苦しんでいる。

そして、国民も増税という形で負担している。

 

従って、工事前に影響を少なくさせる策を模索しているのはJR東海の補償費を減額させるのが目的であるともいえる。

 

もし、補償費の問題が解決できれば次の課題は

リニア新幹線が静岡県民にとってデメリットよりメリットの多い事業であると説明できるかどうかということになる。

このことは全幹法には明確に記載されている。

 

全国新幹線鉄道整備法では、新幹線鉄道を「その主たる区間を列車が200キロメートル毎時以上の高速度で走行できる幹線鉄道」と定義し、同法は新幹線鉄道による全国的な鉄道網の整備を図ることにより、国民経済の発展、地域の活性化等に資することを目的としています。

 

もし、リニア中央新幹線が静岡県の経済発展、活性化等に資さないとすれば全幹法の目的に反することになります。

 

科学的議論で解決できないのであれば政治的議論で解決する策を探すことが重要になってきます。

 

本来、自民党が最も得意とする分野ですが、県議会自民党・公明党会派は次の知事選をにらみ、川勝知事の批判(イメージダウン)に明け暮れています。

そして、国会議員も口を閉ざしたままです。

 

他県では整備新幹線において慣例だった、工事費の地元負担金や駅建設費をJR東海に負わせることに成功しました。

このことにより県民の意識はリニア推進へと傾きました。

従って、静岡県にも他県のように地元貢献策として何らかのメリットを示すことができればJR東海の持つ悪いイメージは改善されていくことになります。

 

リニア中央新幹線静岡工区の究極の解決策は

静岡県にとって、リニア事業がデメリットよりメリットが多いことを説明できるかどうかということです。

その為には国の関与(補償の保証)が必須条件となります。

 

リニア中央新幹線南アルプストンネル工事で被害があった場合にはJR東海と共に国が補償しますということである。

 

多くのメデイアは「リニア新幹線は国家プロジェクトなので、日本のために静岡県は犠牲になれ」と伝えてきた。

そして、本来住民の立場に立つべき静岡県に籍を置く政治家やマスコミまでもがこれに追従してしまった。

 

最後にアラカンおじさんの考える貢献策を紹介しておこう。

電源開発は井川ダム建設に利用した軌道を払下げ、大井川鉄道井川線として観光に役立っている。

同様なことは黒部峡谷のトロッコなどが有名である。

 

従来であれば、静岡空港駅やのぞみの県内駅停車も地元貢献策として有効であったであろうが、その後の世論等で封印されてしまったので今更無理であろう・・・

 

JR東海、十山、国交省、環境省、県、市等で構成する南アルプスの環境保全を目的とする組織を構築する

①環境保全を担う広い意味のビジターセンターを設置する

②南アルプスエコパークに相応しい登山道等の整備をする

③定期的にパトロールして問題点の確認・対策をする

④リニア関連施設を公開し観光施設として利活用する

⑤JR東海は環境保全について一翼をになう

 

要するに、工事が完成した後もJR東海が継続的に南アルプスの環境保全に責任を持たざるを得ない組織が重要である。

 

これが泥沼から脱却の道筋と言えるだろう・・・