リニア中央新幹線は先が見えてきたようですが、メデイアのフェイク気味の記事による抵抗で混とんとしています。

マスコミはJR東海を応援するつもりで記事を書いているようですが結果的にJR東海の差し金と疑われて逆効果です。

そんなことから今年のリニアの行方を占ってみます。

リニア問題を考察するうえで、基本的事実を列記しますがそれに反するような論調の記事はうさん臭いとすべきです。

 

①太田国交大臣は地域の理解と協力が欠かせないとの意見を付けて品川~名古屋間の工事計画を認可した。

→国交省の認可よりも静岡県の許可の方が優先する。

 

②国交省は静岡県とJR東海との合意ができないことからJR東海への指導と助言を目的に有識者会議を立ち上げた。

→国交省有識者会議の結論が静岡県への指導だと錯覚させるような論調のメデイア記事は明らかな間違いとなる。

 

③国交省有識者会議はトンネル湧水をすべて戻せば大井川中下流域の水は減少しない。南アルプスの自然環境への影響を予測するのは難しいとの中間報告をまとめた。

→メデイアの報道では国交省有識者会議の中間報告でリニア工事による影響はないと専門家が保証したかのような論調での記事が見受け得られるがこれは間違いでJR東海は中間報告に沿って静岡県と協議しなさいということが正しい。

 

概ね上記3項目を基に、静岡県は県の専門部会でJR東海と合意できれば、大井川流域の関係者に説明し合意を基にJR東海へ工事着手の許可を出す段取りとなっている。

その取り纏めをしているのが本部長である森副知事である。

本来、その段階における川勝知事の出る場面はない。

 

そんな中、1月4日の川勝知事新春会見で、「前もって幹事社に質問内容を伝えておいてもらえれば、調べて(静岡県としての)回答ができる」旨の提案があった。

リニアに関する川勝知事の多くの発言は突発的な記者からの質問に感想を述べているに過ぎない。

しかし、マスコミは静岡県の見解の如き論調で、〇〇と認識が違うと批判的な記事として伝える。

 

要するに

JR東海 VS 川勝知事  国交省 VS 川勝知事  難波(染谷)市長 VS 川勝知事  自民党議員 VS 川勝知事 などと安直に対立構造を際立たせることで存在感を示そうとする幼稚な発想から抜き切れず、深層に踏み込めていない。

 

従って

リニア問題は解り難く、事実関係として伝わってこない。

伝わってくるのは対立点(構造)ばかりである。

このことが、メデイアによってリニア問題の合意・解決を遠ざけているとする所以である。

 

そんなメデイアの報道から邪魔な部分をそり落とせば物事はシンプルに映る。

 

静岡県ホームページ

 

アラカンおじさんに映るリニア中央新幹線静岡工区の成り行きについて紹介する。

 

総論

静岡工区の工事は着工から完成まで概ね20年を要する。

従って静岡工区が完成する時期は2044年となる。

JR東海の計画する2037年、大阪までの全線開通は出来ないことになる。

ならば、山梨駅以東の部分開業や名古屋以西の先行開業もあながち間違いではないとなる。

そもそも、静岡工区の完成を待って、品川~名古屋間を開業し、その後名古屋以西の工事に着手し、2037年までに全線開業する計画は破綻していることになる。

 

各論

☆静岡工区での着工は早くても秋以降になると映る。

・導水路トンネルに5年(契約書では6年)

・非常口の工事に5年(断層との交差により大量湧水危惧)

・先進坑の工事に5年(トンネル湧水が戻せない)

・本線工事に3年(先進坑と重複工事可能)

・山梨工区との連絡工事2年(大量湧水が想定されている)

 

☆2024年の工事等の見通し

静岡市中央新幹線建設事業影響評価協議会

南アルプスの環境保全を実質的に担っているのは静岡市であることから、残土処理、エコパーク、自然保護等について静岡市の了解を得ることが大前提となる。

静岡県中央新幹線環境保全連絡会議(専門部会)

国交省有識者会議の中間報告に沿ってJR東海と協議をする。

・田代ダム取水抑制案の評価と山梨工区からのボーリング調査の是非が争点となる。

大井川利水関係協議会(事務局:水資源課)

利水団体の代表と8市2町の首長及び副知事で構成する会議

対策本部からの交渉状況の報告等に会議としての決定事項をまとめる。

・当面の議題は田代ダム取水抑制案となる。

県・市中央新幹線工事調整連絡会

県及び関係市町の担当者及び河川協議(河川法)、立地調査(森林法)に基づき工事関連の許可判断をする。

・現在では判断できる状況に至っていない。

中央新幹線対策本部(本部長:森副知事)

JR東海に対する対話、協議、要請を担う部署である。

従って、JR東海への対応は川勝知事でなく森副知事となる。

・知事の役割は環境影響評価(環境アセス)に関する県民の意見聴収、国交大臣、静岡市長との対応である。

知事は県環境影響評価審査会への諮問及び答申を担う。

 

☆リニア中央新幹線山梨工区

田代ダム取水抑制案が合意できたことから山梨工区における静岡県境に向けた高速長尺先進ボーリングは早々に実施できることになろう。

ただ、メデイア報道によって同ボウリングは調査としての位置づけが強調されてしまった。

もう一方の目的である水抜き効果は薄れてしまっている。

山梨県内の工事でも破砕帯を横断する可能性が高い。

従って大量湧水が見込まれた場合には湧水を止める決断をする必要がある。

当面、ボウリング済の所の先進坑、本トンネルの掘削をし、完了後に県境を越えるボウリング調査に入るべきである。

しかし、大量の高圧湧水が出た場合の対応策を前もって示して置く必要がある。

大量のトンネル湧水は抜かなければ安全に工事ができない。

しかし、JR東海は地盤改良などで湧水を防ぎながら掘削するという。

相反するこんなことが果たして可能だろうか・・・?

 

最後に一言付け加えておくが、マスコミも含めてJR東海は静岡工区の工事に見通しがつかないことから2027年の品川~名古屋の開業は難しいとして、開業時期を2027年以降としたと説明している。

 

☆中央アルプストンネル山口工区

中央アルプストンネル山口工区の契約時期は2016年8月で、工期は2022年12月であった。

しかし、JR東海は工期を2年延長(2024年末)したと発表している。

順調にいっても今年の年末が完成時期であるがどうなるのであろう・・・?

 

参考とする記事

中央新幹線工事の契約状況(R5.12.31現在) (jr-central.co.jp)

 

リニア新幹線「2027年開業」が難しすぎる理由 開業遅れると全国のプロジェクトが大混乱? | 新幹線 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

 

同様に静岡県に関係するの主な工事は

①南アルプストンネル(山梨工区)

 契約:2016年 8月  工期:2025年10月

㉒南アルプストンネル(静岡工区)

 契約:2017年11月  工期:2026年11月

㉑静岡県内導水路トンネル

 契約:2017年10月  工期:2024年 4月

④南アルプストンネル(長野工区)

 契約:2016年 2月  工期:2026年11月

 

ここで気になるのは工事が遅れているのはともかく、導水路トンネル完了後、2年強で南アルプストンネルが完成できるとする工程であるが、さらに深刻なのは静岡工区完成後に山梨県内のトンネルと接続する工事(山梨工区)があるにも関わらず、山梨工区の完成時期が静岡工区完成時期よりも1年も早いとする計画である。

 

南アルプス環境調査結果報告書(平成28年)静岡市

 

この図は静岡市が調査した環境調査報告書に記載されている地質分布図であるが断層の多さに驚かされるであろう・・・

こんなところにトンネルを掘ることが可能であろうか?

素朴な疑問である。

 

マスコミに期待するのはどのようにすれば大井川流域の人たちは納得して協力をしてくれるのかを提言することである。

しかし、最近のメデイア報道は川勝知事を叩くことのみに専念し、本来の役割を放棄してしまった。

裏返せば、有効な方策は見当たらないということだが・・・

是ではリニア問題は一向に解決しない。

 

メデイアは黙って、静岡県とJR東海の協議の様子を見ていた方が解決の早道だとは皮肉なことだ。

JR東海はゆっくりではあるが問題解決に向かって一歩一歩着実に進んでいる。

商売とはいえ、この流れに水を差しているのがメデイアであが、多くの国民は洗脳される・・・

 

今、世間で蔓延っている「JR東海が悪い」「川勝知事(静岡県)が悪い」論争は メデイアが作り出した弊害 である。