岩田元静岡県危機管理官の寄稿文によると

 南アルプスを構成する地層のほとんどは海洋プレートが大陸プレートに潜り込むときに海底の堆積物などを一緒に引きずり込む「付加体」という複雑な地層でできている。

付加体の基になる岩石は玄武岩、チャート、砂岩や泥岩など硬い岩石だが強い圧力で褶曲し乱雑な構造になっている。

こうした際に破壊された地層が一定幅で線上に並ぶ「破砕帯」となって地中深くに多く存在し大量の地下水の通り道にもなっている。

更に南アルプスを取り囲み、東から糸魚川・静岡構造線、笹山構造線、光明断層、赤石構造線、中央構造線と破砕帯を伴う大断層が南北に伸びていて、年間4という最大級の隆起を続けている。

このような地域での長大トンネルは、もう少し丁寧な地質調査、県境を越えた影響評価がなされてしかるべきと考えるが、国内でこのような世論は形成されていない。

世の中には専門家しか分からない資料など存在しない。

広く情報が公開されることによって、様々な分野の知見も積み重なり、より的確な判断ができていく。

福島原発の失態を繰り返さないためにも全ての情報を公開し、幅広い議論と検討を望みたい。  (アラカンおじさん一部修正)

時評 リニア新幹線と南アルプスの地質 岩田孝仁 (静岡新聞) 

 

熱海伊豆山での土石流事故において、点群データが公開されていたことによって全国の専門家たちがそれぞれに分析・解析をして情報を共有化したことで早期に事態が判明した。

岩田さんはこのようなことを言いたかったのだろう・・・

 

リニア新幹線南アルプストンネル工事において、中央自動車道、中部自動車道、三遠南信自動車道や丹那トンネル、新丹那トンネル工事が如何に苦労し、どのような経過をたどったのかをもう一度見直してみる必要がある。

 

国交省有識者会議の先生たちからも「南アルプスにトンネルを掘ることが難しい」ことだとする認識が伝わて来ない。

 

常識的には1年足らずで静岡工区が貫通することは奇跡となる。

さすれば、静岡県の許可がおりないことが開通時期が遅れたとする論調は全くの根拠がないことになる。

 

長野、岐阜、愛知でトンネル工事に伴う事故が発生している。

幸い、湧水に伴う事故は今のところ発生していない。

脆弱で複雑な地盤の断層地帯を掘削するのであるから予想外の事故は今後も発生する可能性は大きい。

事故を想定して工事を進めることが正しいことかもしれない。

これだけ世間から注目されているリニア中央新幹線、「想定外の事故」では許されない。