田代ダム取水量調整 沢枯れ、流量確保懸念 渇水時、担保できず

(2020/6/25 07:45)アットエス
 
 
大井川最上流部から富士川水系に水を流す田代ダム(右)。
付近の大井川(手前が下流側)はリニア工事で流量減水が予測されている。
=昨年8月、静岡市葵区(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
 

 リニア中央新幹線工事を巡る県とJR東海の対立の原因となっている大井川の流量減少問題で、山梨県側の富士川水系に水を流す田代ダムの取水量調整が解決策になるのではないか、とインターネット上などで議論になっている。

 

 

 <メモ>田代ダム

 リニアの南アルプストンネル本線予定地のすぐ下流にあり、たまった水の一部を発電用に導水路で富士川水系に流している。1928年に完成し、取水が始まった。毎秒4・99トンの水利権を持つが、全てを使っているわけではなく、季節ごとに決まっている毎秒1・49~0・43トンの河川維持流量はダムで取水せずに下流にそのまま流している。

 

大井川とリニア by 静岡新聞

https://www.at-s.com/news/article/special/linear/006/779412.html

 

 

当ブログのコメント

国交省の主催する第2回有識者会議議事録には田代ダムに関する沖大幹東大教授の発言が記載されています。


「前回、水が全体で増えることは無いのではないかと申し上げたところであるが、結局、田代取水堰堤からの取水量が減り、その分下流に流れるためだという説明であったが、そうなると田代取水堰堤で今まで取れていた取水量が取れないということで、他の利水者に対して甚大な影響を及ぼす訳だが、水利権に対してどのように対処しているか教えてほしい。」


水利権を主管するのは国交省であるが、鉄道局長の権限を越える範囲であり有識者会議の限界を表しています。
因みに河川行政の主管は国交省水管理・国土保全局です。

 

田代ダムの水を異なる富士川水系に流すのを止めるのは本来の姿(永遠のテーマ)だと思います。

 

しかし、その行為は河川法に定める水利用であり、リニアトンネルによる富士川(天竜川)への放流は河川法では想定されていない河川行政における日本で最初のケースです。

鉄道局長の権限をはるかに超えており、超難問題です。

 

リニアトンネルによる減水分を東京電力の水(水利権)でカバーするのはとても鉄道局で差配できる問題ではありません。

水利権を調整している国交省の別部隊(旧・河川局=現・水管理・国土保全局)にお出まししていただく必要があります。

 

国会でも「リニアトンネルの水は河川法で定める水利用に該当しない」との答弁もありました。

 

東京電力が水利権を放棄することで、リニア工事に伴う減水分を補完する効果はあると思いますが、それが解決策と言い切るには多くの問題があります。