終末のフール
伊坂幸太郎 

集英社文庫

人が生きるのは権利ではなく義務だという。どんなにみっともなくとも生きていかなくてはいけない。
世界があと3年で終わるとして、人間は何が出来るというのだろう? 
エリザベリーキューブラーロス曰く、死の受容段階にある場合は、人間は淡々と日々の日常を生きていくものなのだが、何か特別なことを望むのも凡夫である人間の性であろう。
このある意味、設定的にはディストピアとも言える短編集の中で、良かった作品を選ぶとすると、太陽のシール、冬眠のガール、鋼鉄のウールだ。
世界が終わる事態に於いて、優柔不断で決めかねている男性、恋人を作ろうとする女性、ストイックに自分の道を究める男性の姿が描かれている。
普段の我々もメメントモリのメンタリティを忘れずに、日々を大事に生きるべきなのだが、これがなかなか難しいのだ。
つまり、何が自分にとって大事なのかをよく自分自身が理解せずに、生きている人が多いんじゃないかと私は思う。
長生きして楽しく生きるだけが人生の目的になるわけでもないし、自分がやらなくてはいけないと思う事があったら、それを大切に実行していくだけなのだ。
そして、その為にも生きていかなくてはいけない。

(2011~2014年頃、執筆)