宇宙のランデヴー
アーサー・C・クラーク
ハヤカワ文庫


70年代に、アシモフの「神々自身」やハインラインの「愛に時間を」など巨匠の長編復活作品が話題になったが、この作品もその一つである。
ストーリーとしては、太陽系に巨大な円柱状の謎の物体が突如現れ、このラーマと命名された人工物体を、ノートン中佐を始めとするエンデヴァー号の乗組員が調査する、というもの。
分かりやすく説明すれば、ラーマとはスペースコロニー型の宇宙船なのだが、ラーマを創造した生命体は長い年月の宇宙旅行の末に死滅し、ラーマ自体の諸処の機能だけが残され維持している形になっている。
ラーマには知的生命体は存在しないものの、バイオットと呼ばれる生物ロボットがラーマの環境を維持する為に、様々な作業を行うようになっている。
ラーマの内部の世界観はまさしくセンスオブワンダーと呼ばれるもので、SFならではの非日常的世界観、しかも、それがオプティミズムに満ちた感動を喚起させる描写力、という点では、クラークの右に出る者は居ないと思われる。
ただ流石に代表作である「幼年期の終わり」や「都市と星」などの黄金期の作品と比較してしまうと、クオリティの面に於いて若干の陰りがある事は否めない。
また、文体は難しくない代わりに、読み手には想像力を要求される部分が多々あるし、出来れば一度は映画化して欲しいという願いもある。
小説のボリューム的には丁度良い長さなので、読む苦痛は少なく、割と万人にお勧めできる作品ではあると思う。

(2011~2014年頃、執筆)