太陽系最後の日
アーサー・C・クラーク
浅倉久志訳
早川書房
クラークの傑作短編集。「幼年期の終わり」の原型短編となった「守護天使」が収録されている。
また、「銀河帝国の崩壊」から「都市と星」の間までの試行錯誤である短編「コマーレのライオン」と、「海にいたる道」が収録されているが、この2つが収録されている中ではベストだと思う。
太陽系最後の日
アルヴェロン-船長 ルーゴン-副船長。
クーラス-惑星。
太陽系全体が壊滅する前に、地球に住む知的生命体を救うという話で、あくまで異星人からの視点で描かれている。
絶滅に瀕している地球には、地球人による最後の罠が仕掛けられており、地球人はここでは非常にミステリアスな存在として際立っている。
地中の火
地底探索ものとしてヴェルヌの地底旅行を思い出した。
あまり印象に残らない。
歴史のひとこま
スケールの大きなストーリーと最後のオチが絶妙にマッチングしている。上手く短く纏められた傑作。
コマーレのライオン
リチャード・ペイトン三世の冒険單。コマーレに辿り着くまでの旅の話もファンタジー的で良いが、コマーレの都市設計は何か現代のインターネット社会を想起させるものがあり、当時の発想としては秀逸であろう。
かくれんぼ
宇宙や宇宙船を舞台にした話はあまり好きではないのだが、それなりのアイデアやユーモアに満ちた短編として楽しめた。
破断の限界
グラント船長、マクニール機関士。
隕石の衝突によりタンクにあった酸素が漏れてしまい、予備タンクの酸素だけで乗り切らなくてはいけなくなった二人の乗組員によるミステリー。
緊張感のある心理描写とブラックユーモアによって一気読みしてしまう。
守護天使
ストームグレン、ピーター・ヴァン・ライバーグ、カレレン、アレグザンダー・ウェインライト。
「幼年期の終わり」の前半に該当する部分が描かれている。
カレレンの正体が最後にほのめかされるが、当時の読者はこのラストをどのように受け止めたのだろうか?
時の矢
ファウラー教授、デイヴィス、バートン、ヘンダースン博士。
負のエントロピーに関する説明が理解しにくい。ラストは読む側の想像力に完全に委ねられている。
海にいたる道
ダーヴェン ハナ- ダーヴェンの兄。
シャスター -ダーヴェンの故郷の都市、人類の建設した最後の都市。
チャルディス-高度の知識人による閉鎖社会の村落、人口1000人程度
ヨハン老人 イラドニー -ブラントの恋人。
ジョン -ブラントの友人、恋敵。
シモン-饒舌家の知識人 トレッガー-動物園の主
サンビーム-馬
クラークは、こういうのを描かせると巧いと改めて感じた。「都市と星」を読んでからこの作品を読んだ方が良い気がする。
しかし、ラストの蜘蛛の群と糸は何を意味するのか?
(2011~2014年頃、執筆)