動物化する世界の中で
-全共闘以降の日本、ポストモダン以降の批評
東浩紀/笠井潔
集英社文庫
戦後民主主義、戦後進歩主義、戦後左翼主義の三位一体として確立された、日本的モダンの「大きな物語」にたいする、六〇年代後半のポストモダン的反乱。
全共闘的な社会反乱を抑圧して、70年代前半に回復された「大きな物語」ですが、それがフェイクだった事実は指摘するまでもない。
と語る笠井潔氏。
80年代後半のポストモダニズム的/広告代理店的な光景と、90年代のオタク的/インターネット的な光景の対照としてはっきり現れている変化は、60年代末の経験から一直線で導かれる歩みではないと反論する東浩紀氏。
「ポストモダン」とはイデオロギー(大きな物語)の不在状態を指す、と語る東氏は見解の違いを語る。
また911以降の現代は、国民国家の戦争からセキュリティの戦争へ、或いは友敵理論の戦争からリスク管理の戦争へ、と変化しているという。
セキュリティを高めるという事は、世界への配慮や関心を必要としない状態を意味し、それは「動物化するポストモダン」だと言う事も出来ると言う。
近代の国民国家の戦争は、人間の戦争であり、世界の配慮を必要とする戦争だったが、ポストモダンのセキュリティ戦争は人間性を損失している。
サブカルチャーを軸に話を組み立てる東氏と、ジェネレーションギャップのある笠井氏との間の議論で、なかなか話が噛み合わない部分が多いが、それも楽しめるのであれば良書であろう。
(2011~2014年頃、執筆)