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方法序説(仮題)

「デカルトの著作の中で読む価値があるのは『方法序説』だけだと思うよ。
デカルトといえばコギト-エルゴ-スムが有名だけど、それに至るまでの思考スタイルや指針が本当は重要なんだ」
太陽は、慎重な面持ちで眉間に皺を寄せながら、自らの信奉を犬男に力説した。
人を見て法を説く必要性については、重々承知の上だが、道義に関する感性の鋭さのようなものを持ち合わせている犬男ならば、不見識に陥る事無く理解してもらう事が可能であろうと、須く太陽は考えていた。
太陽は、時機を逃す事の無い様、話を続けた。
「デカルトは、懐疑を全てに対して徹底して行ったんだ。
それは、まず自分が明証的に真であると認めなければ、どんな物事も真として受け入れない事。
注意深くして速断と偏見とを避ける事。疑いを容れる余地の全く無いもの以外は、自らの判断の中に取り入れない事。
と、これだけの懐疑を究めていたんだ。
そして、思考のプロセスについては、数学的な手順を重要視していたんだ。
それは、諸問題の各々を、必要なだけの小部分に細分化する事。
そして、最も認識しやすいものから順に始めて、最後に最も複雑なものの認識に到るようにする事。
そして、完全な枚挙と全般的な見直しを全体にわたって行う事。まぁ、これはデバッグ作業のようなものだね。」

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落葉を拾う老人(仮題)

落葉を拾う老人、それが私だ。
私が本当に老人であるかどうか瑣事に拘らずに、どうか話を聞いて欲しい次第だ。
あなたが少しばかり閑を持て余しているのなら、専ら落葉を拾う老人という言葉から、あなたはネガティブなイメージを思い浮かべるかもしれない。
でも、決してそんな事はないのである。

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未知なる道と既知なる基地(仮題)

未知なる道と既知なる基地。
タコ焼きを頬張り犬と一緒にベンチに座る。
あのショートブーツを履いた人は、僕が来た道を逆に歩く。
僕は察知する。

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人類の歴史と成果(仮題)

音の無い暗闇の中、性行為は繰り返された。
それは、退屈な非日常、あなたと私の長い時間の中に存在する人類の歴史と成果。

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瞑想(仮題)

質素な日本庭園で、カルロスは窮屈に屈み、目を瞑って顔を太陽の方に向けている。
太陽は半分沈んで、消滅しかけている。
ロブは駆け足で戻ってきた。
「何とか間に合ったようだな」と、ロブは息を切らしながら話す。
カルロスは瞑想しながら、痩せ衰えた肉体を起こし、立ち上がる。
カルロスは日本で禅の勉強をしている。
今日はどうしてもロブに見てもらいたいものがあった。

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chromakey dreamcoat
透明な水面に浮かぶ数匹の水黽。 
黄土色の水底に巨大な蔭が映し出されている。
僕は風と水の音に聴き入り、裸足のまま川に浸かっている。

'84 pontiac dream
暫く朝靄の懸かる森を歩いていると、湖が姿を現した。
私は湖畔に佇み、蒼空を仰いだ。
白鳥が川面から飛び立ち、円状の細波が連なり、私は寸隙、其等を眺めていた。

oscar see through red eye
海岸沿いに何かの工場が聳え立っている。
何の工場なのか未だに知らないし、気にも留めた事は無かった。
その工場のすぐ傍にある防波堤で、幼い頃、よく私は釣りをしていた記憶がある。

constants are changing
宵の明星を眺めていると、自分の中にある時間感覚と空間感覚が失われ、
今、自分が自分である事が信じられないような気持ちになってくる事がある。

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