いつもありがとうございます。瀬谷松栄塾田中です。

 

先日、自分の子の通う高校の『高3保護者向け進路説明会』に参加してきました。

 

その中でお話されていたことと、自分が生徒たちと話していることとの「一致していること」「一致していないこと」などがあり、気になったことを調べながら私なりの考えをここに書きます。

 

 

 

 

  自分が受験生の時の感覚でいてはいけない

 

 

これは高校受験でもそうですが、自分の受験生だった時の感覚で勉強指示をすることは勧めません、というか『してはいけないというレベル』です。やはり当時とはやっていることも、求められる精度も違いますし、学校の評価も全然違います。

特にMARCH以下の入試なんて本当に段違いで難しくなってるのでは?と記憶の彼方から。

そもそも受験の仕組みすら大きく変わっていますし、私たちですら各学校の特徴をすべて把握することは困難です。志望校を調べて選定するだけでもかなりの労力を使いますが、そこは決してサボってはいけません。

志望校の選定さえしてくれればうちは詳細のピックアップと比較をしますが、これができるのも大学受験生は基本的に2、3名が限界として募集を締め切っているからです。一般受験が4人になったら本当にそこまでやってあげられない。(自分でやるべき、というご意見もあるでしょうが、ミスが発生してはいけないことなので、こちらで大枠を作って最終チェックを本人とダブルチェックするのがベターかなと思っています)

 

 

 

 

  お金の話はした方が良い

 

 

自分が高校生のことを思い返すと本当にクソガキで、親は子の進学のためにはお金を出すのは当たり前だろうと思っていたし、塾にもいかずにずっと公立なんだったんだから~という感じでした。

 

結果としてうちは親がしっかりしていたため大きなトラブルになることは「私が見える場所では」なかったのですが(聞いていないだけであったのかもしれないし、あったのだろうと思います)、ほんとクソガキ。

 

 

まあそれはさておき、「奨学金は自分の借金と知らない」とかそういう次元ではなくて、「いつまでにどれくらいのお金が必要なのか」ということが子どももよくわかっていなく、保護者の方にもうまく伝わってなくて、「支払い締め切り日までにお金が用意できなくて進学できなくなってしまった」ということも毎年全国のどこかで発生しています。

 

またじぶんのことを棚に上げて言いますが、

・なんとなくそれの勉強をしたいから

とか、

・高卒で仕事したくないからとりあえず

みたいな進学の決め方は少なくとも今の日本ではお勧めできません。

 

結局現状では日本の高校より先の進学というものは「就職予備校」の側面が非常に強いのです。となると、少なくともその先がきちんと見据えられているのか。

 

例えば、毎年600人ぐらい卒業するある職種の専門学校があるとします。その職種で毎年600人も就職できるということは、毎年600人退職する職場であるはずです。現状でそこまでイケイケの拡大されているビジネスってそう多くはないですからね。そう考えると、そこに自分が食い込むというのはどういうことか、ということを高校生には一度冷静に考えてほしいと思っています。

 

例えば「就職率100%」とうたっている学校があるとします。

 

実はその内情を見てみると就職先に「週4のフリーターを含めている学校」もあります。また、中退率が高く、生き残っている生徒はそれだけでもかなり優秀であるなんていうことも専門学校ではよくあります。(大学ですら卒業までの中退率は8%~12%だと言われています)。

 

そしてそうやって就職したところで、3年間離職率もかなり高く、第二新卒として扱ってもらえるならまだしもそうでないばあいは大卒が就職の最低条件であることも少なくありません。

 

都心で生きていく場合は、技術職でない限り、大卒は半分義務みたいになってきています。これがいいことかどうかと言うと個人的にはNoなのですがそうなっているのだからしょうがない。文句があるなら起業するしかないです。

 

逆に、例えば就職に強い工業高校から高卒で就職して、辞めずにコツコツと勤務を続けていたら、転職を繰り返す大卒のケースに比べて年収が高くなるケースなんていうのもたくさんあると思います。進路というのはそういうことも含めて複合的に考えていかなきゃいけないですよね。例えばこの上記の例で言えば、高卒~4年間での給与が少なく見積もっても1400万、学費の支払いがない分さらに+600万、もちろんその大学在学期間中にアルバイトをしていたとしても、年収100万は越えないでしょうから、差額は1600万と考えると、このアドバンテージをひっくり返すことができる就職ができるかなんていうのは大きなことですよね。

 

ただ難しいのは、こういった話を高校生の時点で親子間で出来るケースってそんなにないんじゃないかなあという気もします。聞いてくれない。

 

だから他人である私が生徒たちにすることも多い。「先入観を持たず調べなさい」という話もします。

 

もちろんこれからの未来はどうなっていくか想像はしにくいだろうけれども、今「自分がやろうと思っている・描いている未来」が達成できる可能性はどれくらいあるのか。

 

達成するためにはなにをすべきか。

 

このいずれも考えないで、漠然と目標や夢を語ることも多いものです。

 

 

 

 

  将来から逆算して考えてみる

 

 

私は結果的に、やりたいことをやり続けてきました。

 

一度は中学の時に言っていた料理人にもなりました。センスなさすぎてやめましたが。

 

 

子どもたちは、まわりの大人から仕事について色々話す機会をもってほしいなと思いますし、保護者の方にも「自分の仕事・自分の知っている仕事」について話す機会は持っていただきたいなと思います。

 

 

こういうの大人たちで話してもいろいろありますよね。

私は若い頃は「暇なこと」がとてもいやで、「常に修羅場」のような職場が好きで、それこそ1日18時間労働×340日くらいしていたように思います。休みの日は勉強してました。今はそんなの耐えられませんが、それでも今でも「単純作業」のような仕事は苦手だと思います。そして人と関わる仕事もたぶん苦手です。(じゃあなんでこの仕事してんだとも思いますが)

 

好きなことを仕事にしない方がいい、というのは割とよく聞く話で、それは私も同意しますが、どちらかというと

 

 

自分が本当に嫌いなことはなんなのか。

 

どうしても嫌いなものは仕事にしない。

 

ちょっと嫌なことがあるくらいならがまんできるけれど、全部が嫌いならやってられないから。好きである必要はないけれど、別に嫌いじゃないかな、くらいがいいんじゃないかな、って思っています。

 

 

 

 

  明るい未来が見えない

 

 

暗いと不平を言うよりも、進んで明かりをつけましょう

 

というCMが昔ありましたよね。そうしたいところですが、うーん。まあ、やはり難しいですよね。

 

そうなる中で未来ってなかなか描きにくいと思うんですよ。

 

20年~30年前は、やりたいことを見つけるために進学する

 

みたいな言葉ってよくあったじゃないですか。私はこれに関しては今も割と同意で、大学に通いながらバイトなんかもいろいろしてみて、自分がどういうことが嫌いで、耐えられるのかっていう経験を積んだり、勉強以外のことをできる期間として大切にすればいいと思ってはいたのですけれど

 

 

現状、大学受験ってものすごく早期化してますよね。年内入試と呼ばれる、いわゆる総合型や推薦で受験は決着してしまうことがとても多いのですが・・・・

 

一般受験でいこうと思えば、「なにができるかわからないけれどとりあえず勉強しておけばいいよね、そこから考えればよいから」というふうにできるわけなんですけれども、年内入試はそういうわけにはいきません。

 

 

基本的に年内入試は指定校推薦でない限りは「なぜその大学に進みたいのか、その勉強をしたいのか、しなければならないのか」を答えられなければなりません。

まるで就活ですよね。でも、普通に高校生活を送っているだけでは就活で話せるような「自己分析」も足りなければ「経験」も圧倒的に足りません。

 

学びたい目標に向かって逆算して行動していく必要性があることから、かなり早い段階で自分のやりたい(やるべき)ことを考えなければなりません。となると前述の「とりあえず勉強をして受験をし、大学に入ってからどうするかを決める」ということはできないのです。

 

これが大学入学者の3割くらいまでであればまだ大きな問題ではないのかもしれませんが、現状では半分どころか6割、学校によっては8割近くが年内入試で確保することもあります。

そうすると残りの2割を一般受験で席とりゲームするわけですから、合格難易度も爆上がりしてしまうという側面があります。(意図的にこれを実施して、偏差値を吊り上げる大学もあります・・・)

 

 

今回私が出席した説明会では学校の先生は

・年内入試にこだわらずに一般入試で行ってほしい

と強く言っていました。

 

その理由としては

・合格が決まった時点で勉強しなくなる

・中退する生徒が多い

だとのことでした。

 

これ自体はある意味事実なのかもしれません。当該学校、年々指定校の基準が上がっていたり、指定校推薦がなくなっている学校が出ていたりします。指定校推薦は留年や中退、成績低迷があると基準を上げられたりなくなったりすることがありますから、これ自体は納得できる部分はあります。

※ただ、大学の説明会に参加すると「総合型の生徒の方が入学後も頑張って成績を維持する傾向があり、そのため今後も総合型を増やしていく」ということをおっしゃっていることが多いのも事実です。特に文系だと無目的に入学するより目的意識高い方が良いのはありそうですね。理系は推薦だろうが何だろうがそもそも基礎学力がないと入ってから戦えないですからね。

 

まあ、「このカリキュラムとこの学校の偏差値でどうやって一般受験しろっていうんだよ」と思ったのは秘密。ベネッセの学力テストも偏差値45前後の高校で使われてるのと同じレンジのものだし。あの偏差値を見てなにもわからない生徒がそれを信じたらどうするというの?という感じです。(校内偏差値55程度で、全国偏差値68くらいが出る。でもこれくらいの学力でも河合塾偏差値37.5の大学に合格することはかなり厳しい)

このあたりは本当に勘違いしがちなので、偏差値50前後、またはそれ以下の高校生徒こそ早期の塾通いが必要だと考えています。

 

 

あーどうすればいいんじゃあーと思いながら、現実問題と戦うしかないので、それぞれの生徒たちと話しながら、どうしていくか決めていくだけです。

 

 

まあ高校生はとりあえず定期テスト頑張りましょう。