This is poetry.
Illustration HuyukoMatui.Respected thank you.
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寒々、陰鬱とした目覚めだ。眼に滲む残像…誰だ??

おやすみなさい....

そうそう。 寝てはいけない…香水と帽子は何れにしよう....ない、何もない....。遅れたら駄目だ....。
時計は父譲りの懐中時計。靴は、どれにしよう....。
外は、晴れているのか?
寿美子....
今日は貴女にプロポーズをしよう。†東京新宿・合法 ホテル†-is.jpg洋食店でカレーライスを食べて赤ワインに酔って、僕等達だけの横濱の夜景を見るんだね。記念日....僕の可愛い人。決して貴女を離さない、幸福にすると誓うから結婚しよう。ふたりは幸せな結婚をするんだ。世界一幸せになろう。貴女も今日は花柄の奇麗なドレスを着ている。処女を奪わないで、貴女を妻にしてから愛しく抱くよ。貴女に巡り逢えたこの人生に、....感謝だ!†東京新宿・合法 ホテル†-is.jpg


「お爺さん眠いですか??オムツを変えましょうね。起きられますか?」
「…出掛けなきゃいけないんだ....」「何を仰いますか??」「あの!今日は....横濱へ、帽子を選ばなきゃ出掛けなきゃ」「聞こえますか??オムツ変えますから、はいはい身体も拭きますからね、上だけ脱いで裸になって下さいね、そう身体も綺麗にしましょうね†東京新宿・合法 ホテル†-110929_120442_ed.jpg

もうすぐ松居さんいらっしゃるから日が射したら庭にでも出ましょうか....」

寿美子、貴女は五人もの子供を産んでくれた。僕は戦争から帰って来て平凡な公務員をした。ありきたりで極々平凡な男の妻になってくれた寿美子。ふたりに絶え間無く訪れる希望・落胆・幸福・悲劇に溢れた時間は一緒にそして、一瞬で過ぎて行ったね。二十代、三十代、四十代、五十代、六十代、七十代、八十代、九十代…―。

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あれは、いつだっただろう....哀しい朝だった
あの子は魚を飼っていたね....凡ての調査が終わり警察から帰宅して..無言。居間で水槽を眺めたね....

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「ねぇ御父さん、この魚達も棺に入れましょうか?あの子があんなにも愛玩していたのだもの。」「御前!馬鹿な、…水槽から出したら死んでしまうじゃないか!!あの子が大事にしていたからこそ、此所で飼っていこう」「嫌よ、視るのが辛いわ―魚には絶望な痛み....言い知れぬ苦悩とやらはあるのかしら。あの子は私に何も告げなかった。警察にも無力な母親と蔑まれて当然ね。†東京新宿・合法 ホテル†-is.jpg
あの子が愛していた魚達なら慶んで死んでくれるわ。愛する子供を亡くした痛み、苦しみ、神への懇願。理解できる筈よ」「魚にか?無理だろう…何も知らず、泳ぐのが全世界だ」「そう、アア....私はどうかしている。宗教も哲学もない。あるのは感覚だけですか!魚にさえ、感覚はあるのよ!人間にはないの!?†東京新宿・合法 ホテル†-images.jpg
至誠なる眼光。なんて嫌な眼かしら…あの子を苦しめた子達!!人の子でしょう!!こんな眼光で人間業を…私達を憐れんでいるかも!!魚と同じように人の痛みも理解せず参列するのよ!悔しい…†東京新宿・合法 ホテル†-is.jpg....あの子を還してぇ....」
「 寿美子、泣かないでくれ俺も辛い…泣かないで…分かった。魚は掬い上げ…美奈子の棺に眠らせてやろう、あの世でも、きっと泳げるだろう。」

―…
僕等の愛する子供達よ。†東京新宿・合法 ホテル†-is.jpg長女・洋子。転勤先の神戸で階段から転落―二歳で死亡。長男・海里。大阪大学院へ進学―卒業コンパ後酔って同期生と大喧嘩、頭蓋骨を道路に殴打、死亡。次男・聡。三十五歳で妻を遺し癌で死亡。次女・美奈子。中学時代虐めを苦に首吊り自殺、遺書があった為センセーショナルな世論になる。十数年の裁判後、当時遺書に名前があった同級生...無罪。三女・鞠子。二十八歳、未婚のまま第一児分娩中に心拍停止。新生児も息を引き取る。†東京新宿・合法 ホテル†-is.jpg―…五人皆、同じ墓に葬る。

妻、

寿美子。†東京新宿・合法 ホテル†-110824_052403_ed_ed.jpg僕は貴女に逢いに出掛けなきゃ行けない。
貴女が宿したふたりの生命達は、次次と消えて、儚く、掬い上げられてしまった魚達。
さようならを言わないで去って逝ったね。何をも遺さずに、闇へ。†東京新宿・合法 ホテル†-is.jpgふたりの五人は何を遺してくれたのか....貴女の人生は幸福だったかい??僕なんかと一緒にならなければ良かったのではないだろうか........。どうか、教えてくれ。†東京新宿・合法 ホテル†-111121_055929_ed.jpg

「さぁ、松居さんの御食事ですよ~。お爺さん」「僕は出掛けなきゃ....」「はいはい、鏡ありますよ、髪の毛を整えて。いい天気...逢いに出掛けなきゃってどちらにですか??毎日毎日、そればかり。杖もつけないのに。さぁ、来月は雅彦さんの誕生日ですね、楽しみですねぇ、お爺さん」
「…今日も逢えないのか」「どなたにですか?」
「あんたぁ、どなた…」
「毎日毎日話しているじゃありませんか、さぁ脚を摩りましょう。」「聞こえない聞こえない…」
寿美子、貴女に詫びたい。そして再び子供を宿しておくれ†東京新宿・合法 ホテル†-is.jpg何百年.何億年...―次は永久に続く命を何億年と続く慈しみで創ろう。
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「さぁ、お爺さん??松居さんのカレー風味の粥はお口に合うかしらねぇ」

貴女に逢いたい。
眠りにつく前に…―寝てはいけない。脳裏を穏やかな五人の我が子の笑みが掠めた。寿美子、皆が†東京新宿・合法 ホテル†-is.jpg仇を打てず哭いていただろう、あの子も微笑んでいるよ。眼に滲む残像、そうか御前達…―傍にいたのか!!

「今日は、美奈子の命日ですねぇ。明後日は聡の誕生日。嗚呼、テレビに洋子が産まれた三ノ宮が映ってますよ。記憶は宝物ですねぇ。あなた、どの子もいい子ばかりでしたねぇ。あなたが私を分からなくなっても、最期まで御世話できる私は神様に感謝してますよ。ねぇお爺さん、ずっとプロポーズしてくれた横濱の姿を私に遺して、私はその雅彦さんの残像に何億回も恋をしますからね。†東京新宿・合法 ホテル†-is.jpg

幸せですねぇ、あなた」†東京新宿・合法 ホテル†-is.jpg



貴女は、何処にいるの?
僕はこれからも掬い上げられてしまった孤独な記憶の中でも、†東京新宿・合法 ホテル†-is.jpgきっと貴女だけを捜すだろう。


泳いで、游いで....


繰り返される輪廻を游ぐ

苦しく痛みが伴い、記憶を失っても....貴女に逢いに出掛けなきゃ....


泳いで、游いで、魚の様に…


輪廻に導かれ
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多くの因子の中で

何億分の確率、何億回の営みを経て


きっと、再び、ひとつになる。

何億、幾度も…
僕は必ず貴女に逢いに出掛けるだろう。



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雨美夜 雫