0th and 1st[Scream,baby.]
拝啓
父さん(死没)に母さん(蒸発)。
僕は相変わらず奨学金獲得の為に勉強に追われる毎日です。
何にも変わらず
流れるままに
退屈な毎日を送る筈でした。
しかし
お父さん。
貴方の遺言にあった『あるモノ』は
…僕には爆弾並に重過ぎやしませんか?
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東京の田舎っぽい所に。
ポツリと佇んでいる建物。
学生寮『龍宮荘』。
急死したお父さん(原因は…事故?)が遺産として遺してくれたのだ。
なんでも
お父さんが管理人をしていたらしいんだけど…。
僕
そんな事一度も聞いた事無かったよ!?
確かお父さんのモットーは『人生サプライズ』だったような。
…人生をエンターテイメント化しないで下さい。
馬鹿じゃないの?
まぁ…
ずっと学生寮の前で云々かんぬんモノローグをブツブツ呟いても怪しいだけだなぁ。
只今8:00。
学生や主婦が忙しく行き来する時間帯だ。
「あそこのお兄ちゃんブツブツ独り言言ってる~!!」
「こら!まさおくん指差しちゃ駄目よ!!まさおくんを食べようとお兄ちゃんが追い掛けて来ちゃうんだから!!」
……………。
全くもっての
事実無根の
大誤解!!
安心して下さい。
誰もベタベタに甘やかされて糖度測定不能で糖尿病ルートへ真っ逆様な子供を喰ったりはしませんよ。
(簡単に言えば自意識過剰なんだよ自惚れんなよクソアマって事です。ハハハ。)
「よし!入ろう!!!」
こうして
僕
来島草太郎(17)は
学生寮『龍宮荘』の門を開けた。
(入った後気付いたんだけど質素な造りの建物の癖に門に龍を象った閂付いてた…誰だよ変な贅沢してる人)
建物の中に入ったはイイけど。
…誰の気配もしないや…。
留守?
じゃあ僕お留守番?
…来客なのに。
「お…お邪魔しま~す…。」
そう言って廊下を歩いた。
(なんか床ギシギシ言ってる、点検してんのかな…。)
すると
『管理人室』と看板が貼っている部屋を突き当たりに見つけた。
「あそこに行けば良いんだな。よーし。」
少し早歩きになる。
だって目的地がもうすぐなのだから。
そうなれば
自然と人は警戒心というモノを取り払ってしまう。
…そこに付け込む人が存在する事も
今の僕は気付かなかった。
あと少し
のところで。
ガクッ
「えっ…!?」
いきなり僕は前のめりになる。
床に顔をぶつける事になってしまう。
(予想では)
「うわあっ!!」
床に顔が触れる数秒前。
ガシッ
誰かが
僕の腕を掴んでくれた。
良かった…
(助けてくれた人に感謝だな。)
「あ…ありがとうございます…。」
「いえいえ、僕は当然の行為をしたまでですので。」
振り返ると
藍色のロングヘアを一つに結った
碧いスカーフを巻いた長身の男性が僕に笑い掛けてくれた。
「貴方…新しい管理人さんですか?」
「はい!!僕…まだ17歳ですけど…宜しくお願いします!!」
ちょっとアガリ気味に挨拶すると相手はクスクスと笑って。
「どうでしょう。交流の意味を込めて僕の部屋に来ませんか?」
「え?良いんですか?」
急に僕を部屋に招待して来た。
良かった!!
歓迎してくれてる!!!
「だって、僕は貴方と『仲良く』なりたいんですもん。貴方も同じようにお考えでしょう?」
「は…はい!!」
あれ?
思わず返事しちゃったけど…
この人なんか意味深な事言ってなかった?
…気のせい?
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その人の部屋は僕の部屋の隣りだった。
「さぁ、此処が僕の部屋ですよ。先にどうぞ。」
「あれ?先に入らないんですか?」
僕が聞くと
「だって…より僕の事を知って欲しいじゃないですか。」
だって!
かなり好印象だ!!
「それじゃ、お邪魔します。」
と
僕が扉を開けて
足を踏み入れた途端
ドシャーッ!!
ザバーンッ!!
カランカラン…
「…………。」
解説。
扉を開けると
袋いっぱいの小麦粉が降って
バケツいっぱいの水のシャワーを浴びてしまった。
(団子の素になった気分だ。)
つまりは
トラップ。
勿論。
仕掛人は…
「アハハッッ!!まさか…本当に引っ掛かる方がいらっしゃったとは…!!普通疑いの一つでもする筈なのに…!!」
…あの人。
(さっきまでの紳士的な態度は何処行ったんだよ)
良かった…
携帯とかは管理人室に置いといて…
水浸しになる所だったよ…。
…待てよ。
もしかして。
さっき僕が転んだのも彼が仕掛けた事なんじゃないだろうか。
それでいて「当然の行為をしたまで」?
ふざけるな。
「僕は『涼風白銀(すずかぜしろがね)』と申します。…この通り悪戯好きで人がそれに引っ掛かるのを見て楽しむのが趣味でして……っ!!!」
グイッ!!
仕返し。
僕は少し格闘技の方をかじっている。
よって
こういう事も出来る訳だ。
(隙だらけで向いてないと先生に言われたけど)
僕の計算では
このまま白銀さんが小麦粉だらけの床にお見合いする。
その筈だったのに。
急に白銀さんが体勢を立て直して
起き上がって来た。
だが。
ズルッ。
白銀さんは小麦粉に滑った。
(あ、ドジった。)
「あ…!!」
「う…うわっ!!」
これは
事故だ。
イヤだ…!!
ファーストキスが
男だなんて!!!
next…