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ほとんど観た歌舞伎の話

若い女がNYの出版社の扉の前に立つ。
そこから始まる映画『ストーリーオブマイライフ/私の若草物語』を観た。
原題はLITTLE WOMEN、同名のルイザ・メイ・オルコットの小説が原作。

「小さな婦人たち」はマーチ牧師の娘たちへの呼びかけ方で、
上からメグ、ジョー、ベス、エイミーという四人がほぼ年子。
邦題の「私」はその中で小説家になって、家族の伝記的小説を書いたジョー。

物語の始まりはまだ姉妹がティーンエイジャーで、
クリスマスには四人で舞台を作ってお芝居をして楽しんでいたころ。
お父さんは北軍の従軍牧師なので不在だけれど、
お母さんとお手伝いのハンナに守られて、マサチューセッツのコンコードというところ(ボストンよりも北らしい)で暮らしていた。

そんな少女時代から、四人がそれぞれに生きて、このジョーが出版社の前に来るまで。
そして持ち込んだ原稿はどうなるのか?
そんな映画です。
原作の「若草物語」とその続編くらいまで、かな?

四人の娘はそれぞれに自分らしく生きて行こうとし、
家庭はそれを見守ってくれる。
隣人や親戚も娘たちに心を砕いてくれる。
たぶん娘たちは自分の人生を振り返るとき、「幸せだった」と思うだろう。
ただその真っただ中では「もっと~だったら」と願い、
そうならないこと(自分のことも、他の人のことも)には苛立ったり悲しんだり怒ったりする。
そういうものだよねって思う。

この映画をいいなあと思うのは、そういうの全部アリだからって描かれてるところじゃないかと思う。
半世紀前にこの話を読んだとき、もっと説教臭い感じがしたのだが(メグのお洒落したいは虚栄心だとか)、
その説教臭さがみごとに消えてて、もっと親しみやすくなっていた。

自分の将来を選択するとき、それは自分自身が納得いくことが大事。
メグはお芝居の才能があると言われても、ローリーの家庭教師のジョンと結婚して家庭を持ちたい。
ジョーは幼馴染で気の合うローリーにプロポーズされても、どうしてもYesと言えない。
音楽の好きなベスはとても人見知りなのだけど、ピアノを弾かせてくれるというローレンスおじいさんに歩み寄っていこうとする。
エイミーは絵が上手だけど、職業画家になるほどではないと自分で見極める。
みな一直線ではないのだけど「なりたい私になる」方向を向いている。

清々しい映画だった。
そして映画とともに思い出せたことが沢山あって、それも嬉しい映画だった。
なにより再び大きなスクリーンで映画を観られて、とても嬉しい。