昼の部と同じ日に観たのですが、昼と夜との間に飲んだコーヒーが合わなくて、
昼の部を書いて力尽きてました。
そういうわけで、悔しいながら、この日は夜は『熊谷陣屋』しか観ずに帰りました。
その分、いろいろ考えて煮詰まってもいました。
私の今月1番の楽しみが、仁左衛門久しぶりの『熊谷陣屋』。
お話そのものも好きで、だいぶパーツパーツも覚えてきて面白くなってきた芝居。
私は型の違いとか義太夫の違いとかわからないんですよ。
毎回リセットされて、粗筋くらいしか覚えられないの。
その時感動できるかどうか、自分の心がなぜこう動くのか、そんな観方をしています。
あ、もちろん役者さんの美しさやカッコよさにウットリするのも大事です。
さて、肝心の仁左衛門が体調不良で休演になってしまいました。
昼の部の『引窓』を梅玉さんは7月観たばかりなので、多少見当がつきます。
夜の部の『熊谷陣屋』は、今月の座組みでは妥当だと思いますが尾上松緑。
しかし、観たことないし、って初役だそうで、そりゃ大変!
私は仁左衛門が好きだし、大変心配しているのですが、養生もしてほしい。
そして、そういうこととは別に、ある日突然役が回ってきた人がここを通って大きくなるのを観たい。
愛之助の今も、本人の努力実力が海老蔵の代役で発揮されてこそ。
松緑にはものすごいチャンスが巡ってきたわけです。
今回の『熊谷陣屋』には小さい時に血の後ろ盾を失くした松緑が、
彼の武骨さ、頑固さをどう熊谷に生かしてくるかが見物になりました。
染五郎が花形で熊谷を演じた時でさえ、勝手に一緒にプレッシャー感じて鳥肌が立ったものです。
今回は仁左衛門の代役で、松緑は仁左衛門とは一門も違えばタイプも違うし、キャリアも全然及ばない。
そして周りは仁左衛門用に先輩ばかりが配されているわけです。
頑張れーーー!!モード全開。
相模・魁春、藤の方・秀太郎、義経・梅玉、弥陀六・左團次。
この真ん中に入って話を仕切っていくわけですが、周りがよく仕切られてあげてたな。
芝居って自分だけうまけりゃいいってものじゃないことがよくわかります。
相模の方はすごーーーーくだんな様を立てて夫唱婦随の妻だけど、子を思う母心に負けちゃったんだなとか、
藤の方は息子・敦盛の仇を何とか討って、自分もあと追うつもりの迫力だなとか、
熊谷が仁左衛門だったらそこだけ光り輝いて見えないだろうところが見える。
太陽って罪よね、とか思う。
松緑は早世したお父さんと自分を比べては、あんな天才じゃないし、華もないと言うけれど、
お父さん(故・辰之助)とは違う魅力があると思います。
骨太な感じ、武骨で要領のよくない感じ、感情をぐっと抑え込む感じ、
松緑の熊谷は耐えに耐えてる古き良き日本男児ってこうかしら?って思わせるものがありました。
相模に対しては、けっこう厳しい熊谷で、小次郎の首はぽつんと両者の間に置かれたままになってしまったりするやり方が、
この人には似あっていると思いました(秀太郎さんによれば成田屋型とか)。
セリフ覚えるだけでも大変だったろうし、周囲との調和にも気を遣うだろうし、ですが、
松緑の若さが長袴の裾裁きの勢いにあって、現役武将が突然出家しちゃうリアリティは高かったと思います。
まだまだこれからの働き盛りの隠居宣言みたいな「ええっ!」がリアル。
大御所がやるとここは「まあ、もうそろそろいいよね、早期退職も」な感じがしちゃうので。
周囲も彼に合わせて、よく盛り立てて、松緑も丁寧にすごくよくやったと思います。
そして彼の持つ雰囲気は、世話より時代に合うんじゃないのかなあと思いました。
NHKで観た渡辺綱もカッコよかったしね。
性根がぶっとくて、男は黙って、みたいな雰囲気を大事にしてほしいです。
花形、華やかな人多いです。
華はないけど骨がある、そんな役者もいいじゃないですか。
それに「地味ね」と思ってた人が、時期をずらして花咲くこともあるわけだし。
今回の『熊谷陣屋』、ストーリーよりも、今ここに立つ松緑の奮闘に思うこと多く、
これからも彼にお祖父さんがやってたような役をやって成長してほしいと思うのでした。
飛躍の月にしてください。
仁左衛門にはそれが何よりの見舞と思います。
昼の部を書いて力尽きてました。
そういうわけで、悔しいながら、この日は夜は『熊谷陣屋』しか観ずに帰りました。
その分、いろいろ考えて煮詰まってもいました。
私の今月1番の楽しみが、仁左衛門久しぶりの『熊谷陣屋』。
お話そのものも好きで、だいぶパーツパーツも覚えてきて面白くなってきた芝居。
私は型の違いとか義太夫の違いとかわからないんですよ。
毎回リセットされて、粗筋くらいしか覚えられないの。
その時感動できるかどうか、自分の心がなぜこう動くのか、そんな観方をしています。
あ、もちろん役者さんの美しさやカッコよさにウットリするのも大事です。
さて、肝心の仁左衛門が体調不良で休演になってしまいました。
昼の部の『引窓』を梅玉さんは7月観たばかりなので、多少見当がつきます。
夜の部の『熊谷陣屋』は、今月の座組みでは妥当だと思いますが尾上松緑。
しかし、観たことないし、って初役だそうで、そりゃ大変!
私は仁左衛門が好きだし、大変心配しているのですが、養生もしてほしい。
そして、そういうこととは別に、ある日突然役が回ってきた人がここを通って大きくなるのを観たい。
愛之助の今も、本人の努力実力が海老蔵の代役で発揮されてこそ。
松緑にはものすごいチャンスが巡ってきたわけです。
今回の『熊谷陣屋』には小さい時に血の後ろ盾を失くした松緑が、
彼の武骨さ、頑固さをどう熊谷に生かしてくるかが見物になりました。
染五郎が花形で熊谷を演じた時でさえ、勝手に一緒にプレッシャー感じて鳥肌が立ったものです。
今回は仁左衛門の代役で、松緑は仁左衛門とは一門も違えばタイプも違うし、キャリアも全然及ばない。
そして周りは仁左衛門用に先輩ばかりが配されているわけです。
頑張れーーー!!モード全開。
相模・魁春、藤の方・秀太郎、義経・梅玉、弥陀六・左團次。
この真ん中に入って話を仕切っていくわけですが、周りがよく仕切られてあげてたな。
芝居って自分だけうまけりゃいいってものじゃないことがよくわかります。
相模の方はすごーーーーくだんな様を立てて夫唱婦随の妻だけど、子を思う母心に負けちゃったんだなとか、
藤の方は息子・敦盛の仇を何とか討って、自分もあと追うつもりの迫力だなとか、
熊谷が仁左衛門だったらそこだけ光り輝いて見えないだろうところが見える。
太陽って罪よね、とか思う。
松緑は早世したお父さんと自分を比べては、あんな天才じゃないし、華もないと言うけれど、
お父さん(故・辰之助)とは違う魅力があると思います。
骨太な感じ、武骨で要領のよくない感じ、感情をぐっと抑え込む感じ、
松緑の熊谷は耐えに耐えてる古き良き日本男児ってこうかしら?って思わせるものがありました。
相模に対しては、けっこう厳しい熊谷で、小次郎の首はぽつんと両者の間に置かれたままになってしまったりするやり方が、
この人には似あっていると思いました(秀太郎さんによれば成田屋型とか)。
セリフ覚えるだけでも大変だったろうし、周囲との調和にも気を遣うだろうし、ですが、
松緑の若さが長袴の裾裁きの勢いにあって、現役武将が突然出家しちゃうリアリティは高かったと思います。
まだまだこれからの働き盛りの隠居宣言みたいな「ええっ!」がリアル。
大御所がやるとここは「まあ、もうそろそろいいよね、早期退職も」な感じがしちゃうので。
周囲も彼に合わせて、よく盛り立てて、松緑も丁寧にすごくよくやったと思います。
そして彼の持つ雰囲気は、世話より時代に合うんじゃないのかなあと思いました。
NHKで観た渡辺綱もカッコよかったしね。
性根がぶっとくて、男は黙って、みたいな雰囲気を大事にしてほしいです。
花形、華やかな人多いです。
華はないけど骨がある、そんな役者もいいじゃないですか。
それに「地味ね」と思ってた人が、時期をずらして花咲くこともあるわけだし。
今回の『熊谷陣屋』、ストーリーよりも、今ここに立つ松緑の奮闘に思うこと多く、
これからも彼にお祖父さんがやってたような役をやって成長してほしいと思うのでした。
飛躍の月にしてください。
仁左衛門にはそれが何よりの見舞と思います。