JR西日本273系(普通車) | 車内観察日記

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鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。


陰陽連絡特急の一角として長年運行されている「やくも」。左側の日本初の車体傾斜装置付き車両、381系が最後まで運行されてきた特急列車ですが、自然振り子方式で乗り心地が悪かったことと、車両そのものの老朽化もあり、新型車両への置き換えがスタートしました。それが右側の273系で、運転台を上部に配置した電気釜スタイルは、まさしく381系の正統後継車的なシルエットで、前面にはヘッドマークのロゴをペイントしています。これがあるだけで、顔が引き締まるんですよね。


381系の置き換えに際しては、南隣のJR四国から空気バネ式車体傾斜装置を搭載した8600系を借り受けて試験を行ってみましたが、土讃線がそうであったのと同じく伯備線でも車体傾斜に使う空気の気蓄容量が足りなくなることが判明したため、車体傾斜には制御付き自然振り子方式を採用することとなりました。


制御には初めて車体にジャイロセンサーを取り付けることで、従来の制御振り子方式と比べてより適切なカーブ位置での振り始め、振り戻しが出来るようになっています。ええ、空気バネ式は傾斜角度が抑え気味で遠心力が増大し乗り心地が悪くなりがちなので、とてもありがたいことです。基本は4両編成で、需要に応じて8両編成となることもあります。何でも、中間車を入れた6両でもやろう思えば可能だと…。


それでは今回は普通車を見ていきます。まずはデッキ、ドアからです。黒系でまとめつつも、戸袋側や足元に黄色を入れて注意喚起しています。

ドア上には防犯カメラが設置されています。ドアコックを挟んで左側には開閉ランプが一灯のみ設置されています。この、開いてる時に点灯して開閉時に点滅するの、だいぶトリッキーというか、他社では無いパターンをしてるんですよね。

くずもの入れです。ステンレスの蓋で汚れを取りやすくしています。投入口は飲料系とその他で分別されています。

場所によっては飲料系のみの箇所もあります。

消化器と非常灯です。ちょっと主張抑えめです。

バリアフリー対応車両(4両編成時3号車、8両編成時は7号車も)のドアです。急行型車両並みの横幅を確保しています。

トイレです。2号車・6号車は女性専用となっております。これは先代車両にもリニューアル時に設置されていましたので、その流れを汲むものですね。その奥にはくずもの入れが備わります。

向かい側には男性小用トイレと洗面台があります。

洗面台は鏡に照明を仕込むJR西日本らしい仕様、照明の形は雲や花をイメージした形状になっています。蛇口は躯体に仕込まれた最近よく見かける形状で、ハンドソープも出るようになっています。乾燥機能が無いのが少し残念でしょうか。381系から大幅に進化した点としては、エチケット袋が廃止されたこと。乗り心地指数が改善されたことで、乗り物酔いも減ったということですね。

バリアフリー対応トイレです。ドアはボタンによる自動式となっています。ここにはベビーベッドも備えられています。

向かい側には全身鏡と洗面台があります。洗面台は車椅子の方が入ってもカーテンで仕切れるようになっていますが、カーテンを引かれると通路がかなり狭くなりそうです。

フリースペースです。381系にも(副次的に)存在していた設備で、地味に受け継がれたものの一つですね(笑)  全車指定席となり、満席時の立席特急券所持者の救済場所となりそうです。

ご丁寧に簡単な腰掛けがあります。ふと、ブルートレインの開放型B寝台の通路や、キハ183系にあった簡易腰掛けを思い出してしまいました。

ここにもなぜかコンセントがあります。立席特急券所持者への救済にしては手厚すぎると思いますが…(⁠^⁠^⁠;;

振り返ると、マガジンラックには写真集が入れられておりました。ちょっと席を離れてここで見てみるのもいいでしょう。

フリースペースの向かいには車掌室があります。

多目的室です。通常は施錠されており、利用の際は車掌さんにお声掛けして利用することになります。

多目的室内です。車椅子などでも入れるくらいの面積を確保していますね。

座席は引き出すことでベッドとしても利用可能です。窓下には折り畳み式のテーブルやコンセント、非常ボタンが備えられています。

座席の横には室内灯、暖房のスイッチがあります。

連結面を見ると、内側に転落防止幌が設置されています。これまでの特急型系列のように、完全防音仕様とはなっていません。

2本併結時の乗務員室です。通路部分以外はベルトで仕入れるようになっています。

連結面付近はやたらと金属が目立つ区域です。これ、真冬の時期でも無い時でも静電気がバッチバチです。下手に触らないようにしない方がいいでしょう。あと掴まる部分が少ないです。振り子動作で車両の傾きは一般的な車両よりも大きいだけに、もう少し通行人に配慮があってもよかったとは思います。

車内です。先代が赤系統を使っていた中で、青系統の色調を使うようになっています。また照明の方法が変わったり、化粧板の色調を明るくしたりしたためかなり明るく感じるようになりましたね。

デッキとの仕切りです。仕切り扉の上にはフルカラー(もしくはセレクトカラー)タイプのLED表示機が備わります。今では当たり前のアイテムではありますが、381系では座席種別(指定or自由)の表示しかなかったので、旅客案内の情報量は格段に向上しております。

荷物置き場が設置されたデッキとの仕切りです。この荷物置き場の区画、内側から見ると特に何事もないのですが…外側から見ると、なぜか新車なのに窓を塞いだような見た目になっています。準備工事なのかもしれませんが、683系由来の車体はそれしきの設計変更も許されないのか、と思った次第。


バリアフリー対応区画です。出入り口のドアと同様、仕切り扉の横幅が拡大されています。JR西日本の特急型車両としては初めて車椅子置き場とバリアフリー対応座席の両方が備えられています。


天井です。暖色系の間接照明は681系からの伝統ですが、化粧板を木目調にしていることがこの系列のオリジナルです。で、やはり無いんだ読書灯。あまり使われてなかった実情があるにせよ、夜間や曇天時、トンネル走行時は窓側が暗くなるので、その補償はあってしかるべきだと思います。

窓です。ついにJR西日本の在来線特急型車両でも、横引き式のカーテンをやめて引き下ろし式のフリーストップタイプロールカーテンが導入されました。2席に1枚の割り当てで、中央にはカーテンレールが挟まっています。

普通車の座席です。381系と比べると、シートピッチの拡大、コンセント&Wi-Fi設置で電子機器周りのサービスレベルの大幅向上、ヘッドレストピロウをJR西日本では普通車レベルで初めて採用というトピックがありますね。それでも背ズリの形状に、“ゆったりやくも”の血を感じてみたり。

コンセントは肘掛け先端に付いているため、濡れ手だとちょっとおっかないと思います。ここにコンセントを付けたため、381系にはあったサイドアームテーブルが省略されています(背面にドリンクホルダーはあります)。ボックス配置にするくらいなら、別項に譲りますがコンパートメントを使っておくれということでしょうか。わずかながら座面チルト機構も奢られているようです。


デッキ仕切り際のオフィスシートはテーブルの面積が拡大されています。さてこの座席、シートピッチの拡大などのプラスの点はもちろん大きいのですが、座り心地は「?」。一番悪さをしているのは背ズリ下部、腰が当たる部分が盛り上がった形状をしてる割にかなり硬めの仕上がりで、腰を面で支えるのではなくて線で支えるような感じになってしまっています。このためほぼ一点に負荷がかかってしまい、リクライニング量に係わらずとても同じ体勢で座っていられる座席ではありません。座面が比較的クッション性を持たせているので、自由な座り方が出来るのがせめてもの救いです。ファーストインプレッションとしては、381系のゆったり座席の受け止めるようなクッション性には、逆立ちしても勝てません。

バリアフリー対応座席の隣の区画です。岡山方ではシートバックテーブルが使えない方が出るため、インアームテーブルが装備されています。

コンセントの関係でサイドアームテーブルがそなえられなかったため、仕方なくセンターアームレストに仕込む形になっています。やはりお隣が他人だと気まずさ全開なんですよね。もちろん、満席にならない限りはラストプライオリティだとは思いますが…。

バリアフリー対応座席です。1人掛けで、窓下には非常ボタンがあります。

ヘッドレストピロウは東日本のようなラックレールタイプではないため、しっかり固定しにくいのはあまり好ましくありません。あ、あとこの区画は左側の肘掛けが跳ね上げ可能で、リクライニングボタンやコンセントは右側に集中配置されています。

そしてオフィスシート区画。基本的には発券ブロックがかかっており、事前予約が入ってなければとあるタイミングで解除されます。


車椅子スペースです。ここには非常ボタン・コンセント・固定用具のユニットと、ヒーターが備えられています。で、妻面にだけなぜかオフィスシート用テーブルがあります。9D席にも折り畳み式のテーブルなんかもあったりしたらいいんですけどね。