JR九州N700S(自由席) | 車内観察日記

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鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。

乗れば「すべて佐賀のせいだ」とも言いたくなる面倒な乗り換えを強いられる西九州新幹線。嬉野市などは鉄道での来訪者も増えてありがたがられており、長崎方面でもかつて在来線である長崎本線のボトルネックであった単線&カーブ区間が解消されたため、30分程度の所要時間短縮は図られており、一応利用価値もある模様です。

 

そんな西九州新幹線に投入されたのは、短編成での組成を可能にしたN700Sでした。山陽直通用にN700を持っていますからスンナリだったのかもしれませんが、九州新幹線の時とは違って新系列にしなかったあたり、完全民営化でお金が無かったと捉えましたが腹黒でしょうか(笑) 

 

列車名は在来線特急時代を引き継ぎ「かもめ」となっています。駅や車内の行き先表示は博多や門司港などが出てきますが、車両側面の行き先表示は武雄温泉となっています。

 

英字もこの通り。車体の「かもめ」はやはり社長(現会長)の筆によるものです。「つばめ」に引き続いての採用ですね。

 

で、先ほどの「かもめ」は速達便での表示でして、各駅停車便は青での表示となります。ちょうど東海道新幹線が開業した頃の「ひかり」と「こだま」の色に倣った形ですが、東海道以西では初の速達・各駅停車便ともに同じ列車名の新幹線列車となっています。速達便には「ハイパーかもめ」なんていかがですか?(笑) そうそう、列車側の表示、長崎駅停車中は行き先が「博多」になっていますね。

 

相変わらず文字多めのデザインで、もう誰が何をやらかしたかはここではお馴染みです。それでは今回は自由席のご紹介。

 

まずはデッキから、ドアです。床面こそオリジナリティが出ていますが、それ以外は大きく変わらない印象です。なるべく凹凸は避けるべき高速列車ですが、雨樋が省略されたためドア上には水切りが設置されています。この程度だとあまり影響しないのでしょうか。その水切りの上にはステッカーが貼られています。

 

デッキ側のドア上にはかもめのロゴ。885系時代のロゴを円を2つ増やしてカスタマイズしたものですね。更にその上には開閉ランプもあります。

 

くずもの入れは飲料系とその他が通路を挟んで配置されています。東海道・山陽新幹線のN700Sと壁面の化粧板は同一化されていますが、それでは素っ気ないと考えたか微妙にステッカーを貼ってオリジナリティを出しています。昔だともっと大胆にデザインを変えていたと思うのですが、恐らく「やりたかったけどこれくらいしか出来なかった」が正しいのではないかと思います。いずれにせよ、同氏の作品にしてこれはちょっと安いっぽい。

 

そして885系にもあった文字のディスプレイですが、こちらも引き継ぎこそされていますがちっちゃいステッカーになっています。

 

最前面もこの通り、ステッカーをペタペタと。

 

赤いかものロゴですね。ステッカーにはSince 2022ともあり、ちょっとした歴史のスタートを刻んだアイテムになっています。

 

AEDです。編成中間、4号車の長崎方にありますので、ご参考までに。ここに関してはくずもの入れが通路に面していますね。

 

トイレです。距離的に2つもいらないように思いますが、共通仕様なので便利なものとして捉えておきましょう。こちらも地味にステッカーが下部に貼られています。

 

向かい側の男性小用トイレです。開き戸タイプで、面積は広くありません。別にこの新幹線に限ったことでは無いのですが、リュック背負ってると微妙に窮屈で不便なんですよね…。座席に置き去りにしたくない時くらい、ケースとしてあるじゃないっすか。

 

洗面台です。蛇口はセンサーによる自動式、液体石鹸も装備されています。鏡は照明を仕込んだタイプを採用しています。

 

通常荷物置き場として想定されたであろう区画を活用した沿線特産品ディスプレイです。ミトーカデザインのピースを何としてでも埋めようと必死になった形跡が伺えます(苦笑)

 

これがまたバリエーション豊富でして、乗る度に違うディスプレイを見ることが出来るのは楽しいですね。

 

自由席車の車内です。800系では全車が2+2の4列配置でしたが、ここに関しては2+3という新幹線ではメジャーな5列配置となっています。まぁ、こっちの方がピーク時の着席定員が多いですからね。

 

デッキとの仕切りです。デッキ同様、ミトーカデザインにしてはえらくさっぱりまとまっており、ドアの窓下にステッカーが貼ってあるのみです。同氏がここまでデザイン面で折れるくらい自由度が利かなかったのか、それともやっぱりお金の関係か…。真相が気になります。

 

先頭車の6号車は中間車より車高が低いため、断面もやや小さくなります。このグループのオリジナルポイントと言えば荷物置き場が設置されたことで、ある意味他線へ直通しないからこそ出来た芸当と言えます。

 

天井です。色調はこちらの方が近いですね。照明は暖色系の間接照明で、トンネルが多いこの路線において窓側は少々薄暗いかと思います。

 

そして6号車の天井です。やはり肩部が少々狭いですね。枕木方向に溝が入っており、一部には監視カメラが仕込まれています。あからさまに設置されているより、さりげなく仕込まれている方がデザイン的にスッキリしていていいですよね。

 

窓です。パネルを取り付け、視覚的な占有面積を明確にしています。

 

座席です。モケットこそオリジナルですが、座席そのものは東海道・山陽新幹線のものと変わりません。運行開始当初はヘッドレストリネンが無かったようですが、現在はリネンが付けてあります。が、そのリネンは基本的に付けっぱなし、一運用ごとに取り替えることはしていません。これ、九州全土で広がってるんですよね。

 

3人掛けからです。B席が他の席より広いのはいつものことです。繁忙期以外は満席になることも無いでしょうから、窓側が満席でも通路側に座りやすいのが3人掛け席の目立たない利点だと思います。まぁ、2+2配置より横幅が狭いことは否めませんが…。

 

デッキ仕切り際はテーブルが大型化されたオフィスシートとなっています。

 

続いて2人掛けです。コンセントは肘掛けに付いております。手に直接触れる位置にあるのはやっぱりやや心配な部分があります。

 

形状自体は、N700→N700Aと来て座面チルト機構を追加し作り込みの良さを感じます。しかしながら一気に硬めにシフトしたクッション性はいただけません。まぁものの30分程度の乗車時間だからこそ許される気がしますが…。昨今の事情で座席を回転する機会は少なくなっていると思いますが、この時はまだ新しかったためか回転が固かったです。

 

荷物置き場です。やはり車内にあるのはセキュリティ上ありがたいですね。二段式で、滑り出し防止用のロープがあります。

 

武雄温泉にて。「リレーかもめ」の8両編成がちょうど「かもめ」の6両編成と、全長でみた輸送力は同じくらいですね。ただ指定席ならともかく、自由席でせっかく席を確保できてもここでリセットされる訳で、やっぱり不便は不便っす。