日本初の気動車特急型車両として登場したのがこのキハ80系です。国鉄初の電車特急となった151系電車の流れを汲んだボンネットスタイルですが、幅が広くなったため「かっこいい」とは言えないスタイルになりました。犬のマズルに見えることから「犬顔」や「ブルドック」などと呼ばれました。
運転台後方は機器室になっております。晩年は「くろしお」運用に使用され、最後まで残った3号車が大阪市の弁天町にあった交通科学博物館に保存されていました。同館閉館後は京都鉄道博物館に移設され、現在も展示されています。
京都鉄道博物館に来てからはごくまれに車内が公開されています。今回はその特別公開時と、交通科学博物館での公開時の画像を合わせてご紹介。まずはデッキから、ドアは引き戸で、低床ホームに対応するためステップがあります。
この車両には売店が設けられております。当時、車内販売はどのように実施されていたんでしょうかね。
向かい側は・・冷蔵庫なんですかね?
チラッと見えた冷水機。今ではこのようなサービスもほとんど無くなってしまい、自販機やひのとりのようなカフェスポットがある程度になりました。
車内です。今でいうところの普通車で、紺色のモケットがその証です。今でも日本中を走り回っている気動車特急の全ての源流がここにあります。
デッキとの仕切りです。展示中は仕切り扉が開きっぱなしにされています。その仕切り扉は当時は手動式、閉めると「ガチャン」と大きな音がなるそれです。今でこそ自動になり比較的静かになりましたが、当時のデッキ仕切り際の座席はハズレ席だったでしょうね。
乗務員室との仕切りです。こちらは仕切り扉が開き戸になっています。また下部の化粧板は木目調になっているようです。
天井です。冷房装置が搭載されており、当時は通勤電車も非冷房が当たり前だったので快適に移動が出来たことでしょう。分散冷房なので、席によりばらつきがありそうですが…。照明はカバー付きの蛍光灯、部分的に非常灯が挟まっています。
窓です。2席に1枚の割り当てで、日除けはロールカーテンになっています。そうです、中央にカーテンレールなんてものはありませんから、前後で日除け戦争が起きていたこともあったのでしょう。この仕様、後継のキハ181系にも受け継がれてしまってました。
座席です。回転クロスシートで、リクライニング機構はありません。かつてはこれで特別料金を取れましたし、183系電車が登場するまでは普通車としては全国的にも標準的なものでした。ヘッドレストカバーは白いビニール製、このスタイルで保存されているのはここだけですね。
とは言え、今の水準からするとシートピッチは広くなくて足元は埋まっている、何よりリクライニングが無いというのはキツいと思います。最長で上野-青森間の「はつかり」にも入っていた訳で、ずーーっとこれは…ねぇ? 付帯設備は折り畳み式のテーブルと灰皿、当時は車内喫煙も当たり前で、今のように喫煙コーナーオンリー&地下線内NGとなった令和の世からすると、隔世の感がありますね。ちなみにこのカットは交通科学博物館時代のもので、京都になってからは着席等は許されておりません。
肘掛けにもビニールのカバーがかかっています。恐らくカバーの下はモケットになっていると思われます。今や木や樹脂などが主流ですからねぇ。
壁際は固定テーブルとなっています。