JR東日本E4系 | 車内観察日記

車内観察日記

鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。

ダブルデッカー、鉄道における大量輸送の切り札的な存在として、在来線を中心にここ数十年程活躍が続いております。

 

新幹線では、ある方面ではバブルの象徴として、ある方面では急増する通勤客への着席需要に対応するためと、異なる思想でダブルデッカーが登場しました。前者は高速化の煽りを受け既に引退済み、後者となるこの系列も、列車の高速化に対応出来ないことから引退となります、E4系です。

 

Maxの愛称を先代のE1系より受け継いでおり、側面には朱鷺のイラストが描かれています。ホームに停車している時の、この威圧感と来たら(^^;;

 

2本併結の16両編成となった際の定員は、高速鉄道としては世界最大の1,634名となっています。

 

この列車が充当される際は、列車名に必ず「Max」が付きます。そう言えば、パンタグラフは下枠交差式、何気に高速鉄道では国内で最後まで残ったことになりますね。

 

こちらは登場時の旧塗装です。中央のラインがイエローでした。

 

それにしても、今後はE7系でこの系列を順次置き換えていくとのことですが…定員は大幅減、大丈夫なのでしょうか? 

 

それでは参りましょう、デッキはドアからです。ダブルデッカー故乗降に時間がかかると踏んだか、幅広の開口面積となっています。上下階への階段の真ん中には、車内販売のカートを上下移動させるためのエレベーターがあります。今では車内販売も無くなり、無用の長物になってしまいました。

 

くず物入れです。新聞・雑誌等は右側の細い口から、その他は左から投入します。飲料系用に口も開けられてますね。

 

補助椅子です。正直、新幹線にこれが付いているの、初めて見ました。

 

展開の図、体重をかけていないと勝手に戻ります。なお、先ほどの定員にはこの席に座った場合も含めた数となっています。ま、まぁそれもどうかとは思いますが、世界にはこのような補助椅子を指定席にしてしまうやっつけ仕事な高速鉄道もありますからねぇ…。

 

公衆電話です。テレホンカード専用で、カードの発券機も備わっています。新幹線では必ず1編成に1ヶ所は残る設備となっています。先般、ここまで残った公衆電話も全て撤去されることが発表されましたが、それよりも前に引退ですね。

 

で、一部はこのように既に撤去され、携帯電話の通話スペースになっています。

 

トイレです。新幹線らしく1両に2ヶ所設置されています。それでも両方「使用中」だと、程度にもよりますが少し凹みます(^^;;  中は洋式となっています。

 

洗面台です。赤い枠で縁取りされているのが珍しい気がします。蛇口は液体石鹸やジェットタオルが付いた万能タイプで、これは現在に至るまで採用され続けている地味にお金をかけた部分になります。

 

一部は女性専用トイレとなっています。

 

男性小用です。どこまでもコンパクトですね。


多目的室です。当然のことながら普段は施錠されており、利用の際は車掌さんにお声掛けすることになります。

 

M車に関しては、必要な機器を平屋部分に詰めているため機器室になっています。

 

さて入口付近に戻って階段です。各階へ両側から伸びております。中央の柱は、車内販売のカートのエレベータとなっております。

 

上部方向を見ます。エレベータの出口は反対側になります。

 

車内、まずは階上の自由席からです。(一般的な)新幹線の座席は、あらゆる人数での乗車に対応するために5列配置が基本となっていますが、このフロアに関しては「それよりもとにかく着席定員の詰め込みを」ということで、衝撃の6列配置となっています。

 

デッキとの仕切りです。階段の関係で右側に寄っており、ここだけ座席は5列配置となっています。

 

天井です。カバーの付いた蛍光灯に、所々ダウンライトがアクセントとして入っています。注目すべきは荷棚があること、在来線の車両限界では中々難しいと思うのですが、新幹線だからこそ実現出来たものと思います。さすがに、平屋の新幹線車両程ではありませんが…。

 

窓です。昨今は高速化のあおりで面積が小さくなり続けている中、大型の窓となっています。これも時代ですねぇ。

 

座席です。国鉄→JRの歴史で言えば、国鉄初の電車特急として登場した「つばめ」の頃から回転クロスシートは存在しており、更に歴史を遡ると戦前生まれの貴賓車や展望車にも回転クロスシートは存在しておりました。以降、普通車にもレバーを引いて体重を掛けることでリクライニングする“簡易リクライニングシート“を皮切りに、徐々にではあるものの「特急の座席と言えばリクライニングシート」という時代が到来しました。そのような歴史の中で、この座席は非リクライニングの回転クロスシート、多少の角度を背ズリに付けているとは言え強気です、非常に強気です…!!

 

構造的に座席が一体となっており、横幅もかなりタイトです。それこそ、多少なりとも恰幅の良い方同士で座ると窮屈以外の何物でも無い悲惨な状態になることと思います。これ、実態としては3人利用ではともかく、他人同士の利用ですと中央席って空席のことが多かったんじゃないかと思っておりますが、経験者の皆様、いかがでしょうか?

 

壁際の2人席です。出入りが比較的容易と言うことで、早々に埋まりがちな席ですね。

 

2人掛け手前の席には、ドリンクホルダーが付いています。これ、反対向きの時に3人掛けの通路側席にテーブルが無くなることへの補償として設置されているのですが、そもそも存在に気付きにくいですし、ここは使い勝手としては最悪です。

 

続いて指定席車の階上席です。こちらは一般的な新幹線と同様、5列配置となっています。JR東日本は、かつて指定席車に関して自由席車よりも何かしらのアドバンテージを与える車内作りをしており、これもその法則に則ったものと思います。

 

という訳で座席です。い、一応リクライニングシートでして、この時期らしく座面スライド機構を備えています。在来線特急にも広く採用されていた、JR東日本のマイブームでしたよね。

 

ただ在来線の座席と違うのは、「飛行機か」と思うほどの薄さ&切り立ち具合、後ろの人がテーブルを開いたらダイレクトに振動が伝わります(どの座席もある程度ありますが…)。

 

続いては3人掛けです。そう言えば、モケットは自由席階上と一緒ですね。

 

中央のB席はまさかの逆傾斜、一応体重を掛ければ他の席と同じ角度に調整されます。それもこれもシートピッチ980mmにして3列席を回転可能とするために苦肉の策として編み出した方法で、編成両数が少ないJR東日本の新幹線にして、何とか着席定員を増やそうと頑張った苦労が滲み出ています。

 

お次は普通車共通の階下席です。階下席は自由席も含めてこの仕様で、眺望が犠牲になる分の補償としてなのでしょう。そりゃあやろうと思えば自由席車のこのフロアも6列に出来たでしょうからねぇそこまで鬼じゃなかったかJR東日本(早口)笑

 

デッキとの仕切りです。仕切り扉が黄色になっています。

 

天井です。いくら車体限界目一杯と言えど、圧迫感が無い訳ではありません。

 

窓です。圧迫感の理由としては、窓がやや高めの位置にあるというのもひとつかと思います。なるべくホームと同じレベルに合わせた設計になっております。

 

座席です。モケットが階上席とは異なっており、色調が明るくなっています。

 

ただでさえ床面が低い階下席、座席部分だけセミハイデッキ化されています。

 

続いて3列席です。

 

自由席とは異なり、指定席の設備レベルは階上・階下共に変わりません。あと出来ることと言えば…シートピッチ拡大くらいしか出来ないですが、着席定員は減らしたくないですし。

 

座席回転の苦労はこんなところにも、B席の座面先端が凹む形状になっています。ガッツリ当たるんでしょうねぇ。

 

更に更にこんなところにも工夫、一見ただの壁際の固定テーブルですが…。

 

ちょっと失礼して…このように持ち上がるようになっています。

 

お次は台車直上の平屋席です。この車両はバリアフリー対応車両で、座席配置が2+2となっています。かと言って座席形状は変わらないため、通路がだだっ広くなっています。

 

窓です。座席は6列配置のため、ここのみ1席ごとに1枚になっています。

 

座席です。セミハイデッキ化されていないことと、窓の面積が違う以外は階下席と変わりません。なおこちらは車椅子対応の座席で、固定用のベルトが付いています。

 

全展開の図。肘掛けが跳ね上げ可能となっています。

 

バリアフリー対応車両以外は連結面付近以外は5列配置、4列席後ろの通路側部分は自由席とは異なりしっかり衝立が設置されています。この辺も料金に対する細やかな補償でしょうか。

 

続いてグリーン車へと参りましょう。ダブルデッカーでフロア毎の定員が少ないためか(特に先頭車)、2両の階上席を充てています。まずはデッキから、こちらのドアは普通車同様幅広です。

 

一方先頭車最前面のドアは幅が狭くなっています。

 

階段の中央にはこのような扉。これ、車椅子を人ごと昇降させるエレベーターです。これで、車椅子利用の方でもグリーン車を利用出来るようにしている訳ですね。

 

車内販売カウンターです。こちらも現在は無用の長物になっております。かつてはここも賑わっていたのでしょうか。

 

グリーン車の車内です。新幹線としてはごくごくありふれた4列配置となっています。

 

デッキとの仕切りです。座席配置に合わせ、中央に両開き式の扉があります。

 

窓です。こちらも2列に1枚の割り当てとなっています。

 

窓上には読書灯があります。角度可変式となっております。この設備、E2系1000番台の後期編成やE3系2000番台では普通車にも設置され、E5系では再びグリーン車以上の座席にしか搭載されないようになった設備ですね。

 

座席です。天井の高さに比して、でもあると思うのですが、大型で後ろからではどこにお客さんが座っているか分かりません。リクライニングと連動して座面が沈み込む機構を搭載していますが、これ自体は実はかなり昔から採用はされていた、実は歴史のある機構です。またフットレストはバータイプと簡素化され、新たにレッグレストが付いております。この辺りから、靴を脱ぐことをあまり想定しないグリーン席が登場していたんですね。

 

デッキ仕切り際に関してはオットマンがあります。ここは逆に土足禁止オンリーですね。靴を脱ぎたいかそうでないかで席を選んでも良いかと。

 

車椅子対応席は1人掛け…なのですが、前の2人掛け席通路側用の衝立があるため、乗り移りにはかなり邪魔になっている気がします。

 

向かい側の1人掛けです。反対方向では衝立も手伝ってコクーンな雰囲気となるため、割と人気のある席ですね。

 

という訳で衝立です。テーブル、マガジンラック、簡単なフットレストが付きます。グリーン車である手前、サービスレベルを落とさないようにしようとしたらこうなったんでしょうね。とは言え出入りがある度にコンニチハな状況には変わり無いので、指定上はラストプライオリティでしょう。

 

最後に車内案内です。このような独特な案内図も見納めです。

 

日本ではダブルデッカーの高速鉄道が衰退した一方で、同じ思想で生まれたフランスのTGV Duplexが、衰退どころか車両製造ラインがダブルデッカーしか作らないようになった程の盛況ぶりを見せるこの差は、国土の違いによるものです。ヨーロッパでは民家が少ない広大な大地を心置き無く疾走出来るため、多少抵抗があろうが気にせずダブルデッカーを走らせることが出来ますが、日本は線路の近くまで民家が密集し騒音に気を付けないといけないですが、ダブルデッカーは重量級車体で空気抵抗も騒音も大きくなりがちで、今のままでは速度向上が見込めません。もう、今後はダブルデッカーの新幹線車両が出てくることは、よっぽどでない限り無いんでしょうね。