第三セクター転換後からトロッコ列車を走らせていた長良川鉄道、トロッコ列車が事情により廃止になってからは一般車を使った速度遅めの観光列車を走らせていましたが、専用車両を使った観光列車も2016年から走っています。
車両の名前はそのまんま「ながら」、列車名もながら号となります。赤い車体に金帯、豪華な印象です。
中央には「長良」をベースに作られたロゴが入ります。文字多めのそれ…まぁミトーカさんのもんですね。
今回はトップナンバー、ナガラ301の「もり」号をご紹介。
通常「ながら」の乗車整理料金で乗車出来る「ビュープラン」用の1号車として使われており、美濃太田から北濃までを通し運転します。
車内です。近年のミトーカデザインらしい木を多用したスタイルに変貌しています。
ドアです。化粧板仕上げとなり、窓にはマークが入っています。ステップだけはどうにもなりませんね…。
運転台です。この車両は黒の化粧板を使用しており、シックに決めています。ここ最近登場したミトーカデザインの地方ディーゼルカーは白が多かった中、黒は少数派ですね。
上にはドーンデザインと改造を担当した大阪車輌工業のステッカーが貼られています。
運転台本体がこちら。マスコンのレバーがびっくりする程ちゃちくなっていますが、運転手さんいわく「レールバス時代からの過渡期に出来た車両だから(意訳)」なんだとか。
運転席は従来のままですが、モケットはミトーカデザインで見られるものになっています。こんなところまで…。運転士さん、「そちらの道の人ですよね、分かります、私もそうですから…」とのこと。分かるもんなんですね(笑)
天井です。木の化粧板貼り付け、荷棚の木製パネル化、照明のLEDスポットライト化など通り一辺の改造はされています。見慣れすぎているので書き方もテキトーになってきますね(苦笑)
荷棚の座席番号を見ると…「も」て(笑)
吊革も漏れなく木になっています。観光列車運用ではそこまで必要無いのですが、その時に備えたというのとデザインコードのひとつなんでしょうね。
窓です。まぁやっぱりというか、窓枠には木のフレームが追加されました。二段窓は変わらずで、下段は開閉可能です。
座席です。まずは4人掛けボックスシートから行きましょう。
ミトーカデザインらしいフレームを使ったもので、背ズリはほぼ直角でクッションはやや硬めです。各席でモケットの色を変えているのはまぁお馴染みですね。
で、横幅が広くない三セク規格ディーゼルカーであることを承知で言いますが、窓側の肘掛けは細すぎな上に肘を置けば腕が木の枠に接触します(角が食い込むとも)。この位置関係だけ見ても、肘掛けがよっぽど使い物にならないことが分かるかと思います。ここの席は柱の位置で木の枠が途切れるため肘をねじ込めば置けましたが、他の席はひどいものです。規格品の自由度の無さか、この辺りが無頓着過ぎるデザイナーの仕業なのか…。
ボックス間には折り畳み式のテーブルが設置されています。
柱にはイラストがあります。こちらはカブトムシですね。
カウンター席です。4席のみの配置で、背ズリはまたもたれるには厳しい格子状…。ゆったり過ごして欲しいのか修業して欲しいのかどっちなんだか…。
向かい側はロングシートです。これまたよく見かけるソファシートですが、座面が個別に分割されているのはあまり見掛けない気がします。2席毎に折り畳み式のミニテーブルが有りますが、これも縁取りが無いので少しスリリングです。速度が遅めなのがもの救いか。
このソファ席には記念撮影ボードやブランケットが置かれています。
フリースペースです。仕切りのガラスが入っており、座席区画とはやんわり分けられています。カウンターテーブルにはパンフレットや記念スタンプが置かれています。
車内販売カウンターです。ロゴ入りの暖簾がかけられています。
ビュープランは自由席、今回はボックスシートにお邪魔しました。この席、ミトーカデザインで採用されている模様の見本市のようなモケットになっておりました。
ここからは乗車時の様子をご紹介。「ながら」にはトイレが無いため、途中数駅で交換も兼ねたトイレ休憩停車が有ります。こまめに止まるとは言え、車内にトイレが無くタイムリーに行けないのは…ねぇ、アルコールも売られているのに不安にかられてしまいます。それはそうとして、大矢駅では列車との記念撮影のためこのようなセットも用意されます。
大矢駅にはこのような味のある木造駅舎も残されています。
円空のふるさとということで、木彫りの仏像が並べられています。
なおかつての駅務室部分を改装して、「ふるさと鉄道館」がオープンしています。
室内です。かつて運転に使われていた備品や国鉄時代の写真等が展示されていました。
「ながら」の一番のウリはやはり長良川の流れを眺めることが出来ることでして、美濃市を出ると長良川のそばを走ります。で、唐突に始まる「窓を開けて長良川のせせらぎ満喫タイム」、停車位置目標として「景勝地」なる表示も立てられています。この切り口で楽しませる観光列車は始めてだったのでかなり新鮮でした。
郡上八幡駅では、「あゆ」号との分割併合を行うために長時間停車します。駅舎は広く、最近リニューアルされています。
郡上八幡駅を出ると、郡上八幡城が遠くに見えます。かなり遠めなので、写真に撮ってもこんなんになりますが(^^;;
そして終点、北濃に到着しました。
構内には転車台が有り、かつて運転されていたトロッコ列車の機関車の機回しを行っていました。今でもデモンストレーションとして時おり動かすことがあるそうな。
駅舎です。隣には食堂がオープンしていますが、「ながら」の折り返し時間ではちょっと使いにくいですね…。
終端方向を見ます。枕木の車止めの奥にはしばらく線路が有りますがすぐに途切れます。これより先、福井県側で今もJR西日本として残る越美北線と繋がる予定でしたが、叶わぬ夢となってしまいました。
振り返って1枚。雪が降る北濃を後にしました。
帰りでも数回の長時間停車を挟みます。ここは関駅、やはり味のある木造駅舎がポイントです。
構内踏み切りより。ここまで来ると、青空が広がっていました。
車内販売で購入したビールです。「ハートランドビール」という、緑の瓶が特徴のビールとなります。これを飲んでしまうと、まぁトイレが気になってしまうんですよねぇ…。やっぱりこの車両最大のウィークポイントは、トイレになりますでしょうか。