くま川鉄道KT-500形 | 車内観察日記

車内観察日記

鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。

熊本県南部、JR九州の人吉駅に隣接する人吉温泉駅から湯前までを結ぶミニ路線がくま川鉄道です。

 

車両はこのKT-501形で揃えられています。かつて在籍したKT100、200や観光列車用として運転されていたKT200形「KUMA1」・「同2」の代替として登場した形式で、通勤通学・観光両用車両として増備されました。

 

「田園シンフォニー」の愛称が付いており、5両それぞれの車両にテーマとなる季節の愛称が付けられています。トップナンバーのTK-501は「冬」がテーマとなっています。

 

「田園シンフォニー」の愛称らしく、音符が並べられています。文字多めのデザインらしく、あの人の所業です(^^;;  JR九州はともかく肥薩おれんじ鉄道もそうですが、南九州はミトーカデザインで溢れていますね。先の豪雨では甚大な被害を受けましたが、唯1両、他の第三セクター鉄道の力も受けてエンジンが復活したらしいですね。

 

車内です。観光用としても使えるように登場した割にはまさかのオールロングシートとなっています。この書き方では「何も知らないくせに」と言われそうなので最低限のフォローをしておくと、登場時はちゃんとボックスシートも備えたセミクロスシート車だったのですが、沿線高校の統廃合で通学客が急増し増結しても乗り切れないという事態が常態化したため、苦肉の策としてオールロングシート化に踏み切った過去が有ります。主たるお客様は生徒さんですからねぇ…。

 

ドアです。ミトーカデザインの観光列車ではよく見かける白の塗りドアです。ドアレールが入っているのが10年代の車両にしては珍しい気がします。それより、ステップが無くなったのは特筆すべき点だと思います。地方ローカル線は客車運行時代の低床ホームが多い中で、車両側で頑張って対応したんでしょうね。

 

運転台です。この手の車両ではよくある半室構造ですね。整理券発行機も白くなっているため、目立たせる傾向がある中良くも悪くも溶け込んじゃってます。運賃表示機はLCDディスプレイタイプで、乗務員室の上に設置されています。

 

中央にはドア付近監視用のミラーが有ります。右側にはメーカーズプレートとドーンデザインと艤装を担当したと思われる大阪車輌工業のステッカーが貼られています。

 

天井です。スポットタイプのLED灯や一枚板の荷棚など、この辺りはミトーカデザインっぽいなぁと。それとは別に中華風の装飾がされているのですが、これは何でしょう…。

 

窓です。やはりというか何と言うか、窓枠は木枠が付いています。日除けはフリーストップタイプのロールカーテンで、簾調にはなっていません。この辺りはメンテナンス性を優先した結果なんでしょうね。

 

で、田園風景をセットにすると、木の窓枠がキャンバスのように見えます。空いていればの話ですが(^^;;

 

さて、座席へと行きましょうか。先述の通りかつてはセミクロスシートだったものをオールロングシートに改座しています。結果論とは言え、ミトーカデザインと会社側がゴーサインを出した結果実態にそぐわず変更をすることになった珍しいパターンと言えます。くま川鉄道からドーンデザイン研究所に謝り倒したのでしょうか(^^;;

 

まぁしかし時期が悪かったのか、多少形状は変わってるとは言え背ズリは完全に木です。

 

座面の座布団はミトーカデザインらしくパターン多めです。数席単位で肘掛けが挟まっており、(片側トータル1~2名ほど着席定員が減っていそうですが)定員着席には役立っているんでしょうね。実態比で差し引きおあいこ位でしょうか(^^;;

 

都合6人の区画。座り心地は見ての通り期待するものでは有りません。背ズリは多少しなるとは言え結局は木、保線が手厚く乗車距離短めの都会路線ならともかく、ローカル線の揺れる車内で上体を支えようにも表面ツルツルで滑るよねぇ。

 

救いは無いのかと思えば…まぁソファ席が唯一ですかねぇ、こちらも硬めですが…。端の席が唯一クロスシートっぽく座れる区画となります。

 

優先座席もソファ席が充てられています。

 

もう1つソファ席。ここ、トイレの前です。座席数減るからこうしなくちゃいけなかったんでしょうねぇ、誉められませんけど。

 

そんな開けたらご対面なトイレです。この向かい側が先程のロングシートとなります。車椅子対応で、入り口のドアの面積が大きくなっていきます。

 

トイレのサイドには額縁に入れられた楽譜が飾られています。レプリカとは言え、レトロ感が出ています。

 

人吉温泉方車掌台に設けられた車椅子スペースです。非常通話装置も備えられています。

 

反対側はお子様の展望席になっています。西側を走る肥薩おれんじ鉄道の「おれんじ食堂」にも同様のスペースがありますね。一応注意書きで「子ども向け」と書かれています。

 

今回は通し1往復、区間1往復し、3両の車両に出会えました。

 

こちらは青い塗装の「夏」です。

 

車内です。「冬」と異なるのは、ミトーカデザインではお馴染みのショーケースがあることですね。

 

…まぁ座席は変わりません。

 

モケットは車体塗装に合わせて青系にはしてあります。とは言え青は寒色系なので、こっちの方が冬っぽい気はします(^^;;

 

座席で面白いのは中央に隙間埋めのように設置されたぼっちシート。肘掛けは本来的には両側の座席のものですね。傷の入り方を見ると、元々はこの場所に座席は無かったのかもしれません。

 

ショーケースと仕切りに挟まれたロングシートです。ソファタイプのものが挟まっています。

 

別パターン。座席下に車椅子用のスロープが置かれています。

 

床面に残る、クロスシートの脚台跡。上から何か流し込んだんですね…。

 

ショーケースです。これ自体は詰め込みに影響しないのでしょうか…。

 

あ、なるほどSOSボタンも付いているから無闇に撤去出来ないんですね(少なくともこの区画は…)。

 

で、お子様展望席。モケットはなぜか赤…。

 

ここにも楽譜。デザインはやっぱり各車で違いますね。

 

続いて前方に連結されたベージュの車両。

 

テーマは春ですね。音符も各車でデザインが異なっている模様。

 

車内です。春らしく、新緑をイメージした淡い色使いですね。

 

片側はズドーンとロングシート。「夏」に見られたぼっち席と同じ形状のものが途中に挟まっています。それを除いても席により反り方が違ってますが、この辺りデザイナー的美徳としては特に気にしないんですかね?

 

で、片側は仕切りが入ったロングシートとなっています。

 

デザインはやっぱりそれぞれ違いますよ、と

 

ショーケースです。こう…色んなジャンルのものが入っています(^^;;

 

そして楽譜。

 

煙突にはスピーカーが付いています。かつて運転されていた観光列車用なんでしょうね。

 

今回取材の機会に恵まれなかった車両その1、「白秋」です。四季から漏れた結果めちゃめちゃピンポイント(^^;; 座席に白いレザーが貼られていました。

 

そしてこの日は予備車だった赤い車体の「秋」が、今回取材の機会に恵まれなかった車両その2になります。

 

湯前駅にて。折り返しまでしばしの休憩です。

 

駅には潮(うしお)の鐘なるものがあります。説明は…まぁ読んでくだされ。これから復旧までかなりの時間を要するかと思いますが、頑張って欲しいですね。



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復活へ向け、何卒。