肥薩おれんじ鉄道HSOR-100形「おれんじ食堂」仕様車 | 車内観察日記

車内観察日記

鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。

近年では、車内で本格的な料理を頂ける列車が増えて来たと思います。これまでの食堂車のような、「移動のついでに頂く」のではなく、「食事と車窓を楽しむ」列車が主になりましたね。

 

そのような列車は、「食堂車」というよりは「レストラン列車」という呼び方の方が適切で、観光列車の新ジャンルを切り開いたものと言えます。そんな「レストラン列車」のはしりとも言えるのが、肥薩おれんじ鉄道を走る観光列車、「おれんじ食堂」です。

 

元々JR九州の鹿児島本線だったものが、九州新幹線開業に伴い経営分離されて誕生した第三セクター鉄道、「肥薩おれんじ鉄道」の観光列車で、この列車の成功以降、各地でお食事を楽しめる観光列車が増えて行きました。

 

各部にロゴやら文字やらが多いこのデザイン、まぁおなじみ水戸岡さんの仕事です。元はJR九州の路線ですし、話も早かったのかも知れません。

 

おれんじのロゴも有ります。まずは川内方の1号車から行きましょう。

 

車内です。実はこの時おばちゃんの猛追を受けた中での撮影で、この位置からの1ショットとなりました(^^;;  座席配置は基本的に長手方向のロングシート配置で、クロスシートは有りません。

 

ドアです。ステップが無いのはかつて電車が走っておりホームもかさ上げされていたからでしょうか。窓にはナイフとフォークのロゴが入れられており、かつての食堂車のロゴっぽいですね。

 

運転台です。2両編成を組んでいるため、こちらは都合最前面となります。半室構造で、それを活かして右側には何やらお楽しみがありますね。

 

向かい側は都合車端部の扱いです。通常は2両編成ですが、検査時の入れ換え等で運転台も使用しているそうです。

 

窓です。窓枠に木を付けているのは…まぁ見慣れています。日除けは簾調のロールカーテン、少しだけ下げた位置で揃えられています。

 

座席です。こちらの区画はグループ席で、窓側がソファ席、通路側が可動式の席となっています。4人以上の利用では、ここに割り当てられるのでしょう。

 

4席が設定されているカウンター席です。お一人様での利用はこちらでしょうか。

 

向かい側のロングシート席です。グループ席も同様ですが、テーブルは折り畳み式で、面積を変更することが出来ます。

 

ミトーカデザインでお馴染みの車内販売カウンターです。

 

上部にはロゴ。ここでの注文も可能ですが、"食堂"と名が付くだけあり近くを通ったアテンダントさんに注文することも出来ます。そのケースが多いですね。

 

向かい側には焼酎や日本酒の瓶が置かれています。

 

続いて2号車へと参りましょう。12号車ではありません(笑)

 

車内です。1号車とは座席の配置が変わっていますね。

 

ドアです。足元にはマットが敷かれています。

 

都合最前面となる運転台です。構造は1号車と変わりません。基本的に事前入金による運賃前払い式なので、運賃表示機は有りません。…新八代駅の時刻表を見ていて思ったのですが、新八代-八代間の1駅は「全車自由席」と書かれていたので、料金不要でも乗れるということなんでしょうね。

 

車端部に当たるエンドです。こちらの車掌台側も車内サービス準備スペースとなっています。手前はカートで、おれんじ食堂のロゴが入っています。

 

天井です。荷棚はミトーカデザインらしくプレートタイプの木製で、小物を置けるようにかカゴも用意されています。照明はスポットタイプのLED灯が間隔を開けて設置されています。

 

窓です。柱部分が白くて素っ気なかったのか、細い額縁が入っています。

 

座席です。こちらは海側のボックスシートで、少しだけ窓側を向いて固定されています。テーブルは固定式、天井の照明だけでは照度が不足するため、飾り照明が付けられています。足元にはヒーターがあり、上部には木の天板が付けられています。

 

向かい側のロングシートです。2席毎に区切られており、横には壁を付けて仕切っています。中央にはやはりテーブルが付いていますね。

 

なお目隠しのカーテンもあるのですが、海を見るために乗る人が多い中で使用頻度は高くなさそうです。なんなら、乗車後は海が見えやすいようにアテンダントさんがカーテンを開け直す始末(^^;;  というより、ここの席はボックスシートごしとなるのでそこまでオススメ出来る区画では有りません。早めにボックスシートを抑えておくのが吉ですね。

 

テーブルは折り畳み式です。出入りしない時は面積を広げられます。

 

で、隙間を埋めるように設置された1人掛け。窓も無いロングシートで、一応座席番号こそ有りますが指定区画からは外れています。

 

トイレです。車椅子対応の大型トイレなのは改造前から変わりませんが、木材利用により大幅にカスタムされた状態となっています。

 

トイレ側面にはショーケースが付いています。こちらもお決まりと言えばお決まりです。

 

向かい側は一応車椅子スペースで、固定用具が付いています。実際のところはロングシート席の人が窓越しに海を眺めたい時に使われていました。増設されたカウンターテーブルも、立ち席として利用することを想定している高さですね。

 

車掌台側です。屋外への散策が出来る場面もあることから、貸し傘が備えられています。またステップとともに、展望席も備えられています。

 

大きさとしてはお子様向けですね。京都丹後鉄道の「くろまつ」にも同様の設備が有りますが、こちらは2席設置されています。

 

車掌台には、花瓶と地元名産の巨大な柑橘、「ばんぺいゆ」が置かれています。

 

このお子様展望席は1号車にも有ります。右に見える鐘は、発車1分前にアテンダントさんが鳴らすものです。希望したら、お客さんでも鳴らさせてくれるみたいですよ(笑)

 

こちらにも貸し傘。その上にはレストラン列車らしくアルコール消毒液も有ります。

 

乗車記念ボードは走行中はここに置かれています。また各車には次駅と出発時刻を表示したボードも有ります。

 

車内サービス準備スペースです。車掌台にコーヒーメーカー等の設備が置かれています。

 

連結面にはミトーカデザインではお馴染みの暖簾が掛けられています。

 

ここからは車内サービスや乗車中の様子をご紹介。長時間停車時は、車内に置かれていた記念撮影ボードが車両前面横にセットされます。アテンダントさんも、撮影係としてお客さんの撮影を行います。

 

車内ではカウンターテーブルを使い、ミニマドレーヌやクッキーの試食スペースが設けられていました。コーヒーに合うんだなぁこれが…。

 

乗車するとアテンダントさんからペットボトルの飲料水と記念乗車証が配布されます。また地元のお茶も湯飲みに入れて頂いたのですが…名前を忘れてしまいました(^^;;

 

ドリンクのメニューです。なお、おれんじ食堂と看板とも言えるお料理は頂いておらず、今回は乗車プランでの利用となりました。代わりに、熊本駅で購入した駅弁をひろげました(苦笑)

 

注文したのは地ビール、ハニービールの「ケセラセラ」。甘味が強く、ビールが苦手な方にもオススメのビールになります。

 

またカクテルも用意されており、味も可能な範囲でリクエストをすることが出来ます。

 

発車時間を示すボードです。手作り感で溢れていますね。

 

ここからは車外へ出られる駅のご紹介です。

 

立ち寄りが出来るひとつ目の駅が水俣駅です。建屋自体は国鉄時代からのものを引き続き利用していますが、こちらも同氏の手により大幅にリニューアルされています。

 

特に待合室はこの通り、地元の文化を表現したスペースにもなっています。

 

ここ肥薩おれんじ鉄道を舞台にした映画も作られたため、出演陣のサインも置かれています。

 

出水駅には、C56形蒸気機関車が静態保存されています。お召し列車も牽引したことのある機関車ですが、足回りがやたらとカラフルだこと…。

 

駅舎近くにはD51の動輪も展示されています。

 

続いては阿久根駅です。こちらもコジャレた雰囲気に改装されています。なおこれらの駅では、地元の特産品を販売する「駅マルシェ」も行われます。今回食事なしの乗車プランでの利用でしたが、ちょっとしたパン等も買えるため、各駅で購入すれば食事なしでも何かを口にしながら車窓を楽しむことが出来ます。

 

待合室。だだっ広い。

 

2階のテラスもあります。この広さを利用して、コンサートを開くことも想定しているのだとか。

 

テラスはこの通り、ちょっと雑然としています。

 

そして・・かつては簡易宿泊施設として使われていたブルートレインが貨物側線跡に置かれているのですが、運営元の解散に伴い数年間放置されている状態です。こちらに関しては、クラウドファンディングに伴い四国のうどん店が引き取ることになったようですね。実はそのうどん屋さんに偶然行ったことがある私です(^^;;

 

こちらは薩摩高城駅。海が近く、かつて海水浴場だった砂浜を利用したビュースポットとして散策も可能です。

 

カーブ上にある駅で、2番線はかつて特急列車が高速で通過できるようにカントがきつくしてあります。停車中は車体が大きく傾くため、車椅子の乗降時に使用するスロープを出入り口に設置します。

 

日本初のレストラン列車という新ジャンルを切り開いた「おれんじ食堂」、アテンダントさんのレベルも高く、ドリンクメニューが大変豊富であることなどソフト面はかなり充実しています。ただ、唯一欠点にして観光列車として致命的なのが窓でして、汚れて景色が霞んでしまっていたのは非常に残念。「ディーゼルカーだから仕方無い」?いえいえ、JR四国の「伊予灘ものがたり」はあのキハ47形を種車にした車両で有りながら窓はピカピカです。整備は大変だとは思いますが、松山や高松で一度修行されるのも良いかもしれません。