JR東日本209系 | 車内観察日記

車内観察日記

鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。

「コスト半分、電力半分、寿命半分」や使い捨てカメラを揶揄して「走ルンです」なんて言われたのはいつの日か、JR東日本の普通列車だけでなく、私鉄各社の今後までをも決定付けたとも言える209系。鉄道会社的には長期間利用するのが当たり前だった車両を技術の進歩とともに短期間で更新して常に最新技術を搭載出来るようにしたという点ではこの系列の残した功績は大きいですが、趣味人の私からすると画一的な面白味の無い車両が各社で増えたこと、またその内装を見るからに諸悪の根元、闇の金字塔的側面が大きいと思っています。おかげで以降は基本的に文章多めかつしょっぱいことしか言いませんのでご注意を。

 

で、トップからいきなり珍車をかましたわけですが、東京メトロ千代田線・常磐緩行線系統で2本しか存在しない簡単に乗るには「うーん」な車両に偶然ぶち当たった次第。かつては京浜東北線を発祥とし各線で走っていましたが、ここ最近はかなり数を減らしています。

 

車内です。内装の各部を取り外しや清掃を考慮し簡略化しており、この構造は幾度かのマイナーチェンジを繰り返しながら最新系列にまで続いています。この系列について言えば、座席モケットや化粧板が全体的に暗い色調となっており、朝の痛勤が憂鬱になる要素のひとつとなっていないか心配です。

 

ドアです。抑えがゴムを挟まないものとなり、かなり本体と窓との凸凹が減ったように思います。開閉については比較的静かにカチャンと閉まる感じ、ともすればペラッペラで大丈夫かと思うほど。全てのドア上にはLED表示機が備わります。

 

車端部です。仕切り扉上は一段飛び出ており、化粧板に加えて暗い印象を強めている気がします。仕切り扉は化粧板なしのステンレス地そのままの仕様となっています。

 

優先座席を有する車端部です。吊革が黄色くなっていますが、これは後年の交換によるものです。

 

で、仕切り扉は一部車両の片側のみの設置となっており、それ以外の車端部はこのように仕切り扉無しでスルーとなっています。コスト半分はこんな感じで実現したのかと…。仕切り扉が無いというのは、騒音に加えて冬季は幌からの隙間風も通すということ、あまりポジティブには捉えられません。

 

フリースペースを有する車端部です。こちらはまた後程。

 

最前面です。右側に仕切り扉、中央に大きめの窓、左側は壁となっています。左側の壁は緊急時に取り外しやすい構造となっており、事故時に閉じ込められた乗務員さんを早急に救助できるようにしています。この構成は最近製造された車両にも共通して採用されていますね。

 

窓です。FRPで窓枠を形成しており、夜間で恐縮ですが左寄りに柱を入れて左側の窓を開閉可能なようにしています。で、この系列から始まる諸悪の根元のひとつが日除けを廃して代わりに着色窓としたこと。ロールカーテンのメンテに結構手を焼くのは承知ですが、ガチで降り注ぐ直射日光をどう頑張っても防げないのは手落ちにして手抜きです(両方設置ならまだ解せますが…)。この仕様が時と会社の垣根を越えて様々な車両にも採用されたのを見るにつけて、この系列のGUILTY IS SO HEAVY.

 

さて座席。従来の設計を根底から覆した片持ち式のバケットシートとなっています。今でこそ見慣れたものとなりましたが、当時斬新だったのが板状の袖仕切り。従来の肘掛タイプの袖仕切りでは端に座った人とドア横に立った人との干渉が少なからずトラブルの元となりかねなかったことから、「ならば大きくしてしまえ」と言った発想で採用されたと思われます。

 

最前面直後は乗務員室を拡大したため着席定員が1名少ない6人掛けとなっています。もう少し袖仕切りの話をするなれば、立ち客からすればもたれかかることが出来るので居住性は向上していますが、着席客からすればもたれられる以外のメリットがまるで見られません。肘周りの余裕を全く感じない凹み量、肘を入れたら入れたで斜めに切り落とされた下辺に滑り落とされて全く使い物になりません。試作段階でやらかしただけなら笑って済みますが、いつまで経っても着席側の居住性が置き去りにされ続けているんですよねぇ。

 

車端部は3人掛けです。座り心地は何だかオフィスの回転椅子のごとき硬さと形状、特に罪深いのは謎形状の背ズリで、作り手の意図しない純粋な心で座れば脚を投げ出すには最適な形状、姿勢よく座ればどう使えば正解なのかよく分からないものと言えます。この受け止め面積が狭い背ズリでボルスタレス台車の不愉快なヨーイングを支えろというのですからそりゃあ無理がありますぜ。

 

優先座席です。現在は赤と黒のゼブラ模様の背ズリに灰色の座面となっています。座面もまぁ沈み込みほぼゼロ、短距離専門なのは明白ですが、この系列の近郊型であるE217系やそれ以降の一部を除いた長時間乗車が前提の車両にまで採用されたとなると、「JR東日本何考えてんねん」って話ですよね。

 

フリースペースです。この頃はバリアフリー黎明期とも言え、付帯設備は握り棒のみとシンプルです。

 

さて、209系と言えばこちらの顔を思い浮かべる方の方が多いかと思います。千葉で活躍するグループで、209系一族の発祥ともなる京浜東北線で活躍していた編成を113系や211系置き換えのために転用しています。帯色はかつてはスカイブルーでしたが、転属時に211系と同じ色とされています。

 

ドアが空気式の車両が2000番台、電気式のものが2100番台と一応区分されていますが、中には両者を混成したのがいるとか…。それにしても、当初のコンセプトからすれば京浜東北線から撤退の時点で全廃されてもおかしくないはずなのですが、千葉に転用されたことで「まだ使い倒すか」と言った雰囲気ですね。4両編成と6両編成がおり、両者を併結した8両や10両の運用もあるようで。

 

車内です。両先頭車についてはセミクロスシートへ改造されています。長時間運用がゴロゴロしている千葉支社管内、この改造は18きっぱーや大回らーには歓迎を以て迎えられたことでしょう(但し、転用前比)。

 

というわけでセミクロスシートです。座席はE233系近郊型に搭載されたボックスシートをベースにしたもの、モケットが異なるのと、209系の貧弱な側板の問題か通路側に補強用の柱が追加されたところが相違点でしょうか。ロングシートについてもE233系ベースですね。

 

構造的に窓枠下辺を広げられなかったためかドリンクホルダーが2つ追加されています。座面は奥側が柔らかめではあるものの先端は相変わらずの硬さ、背ズリのヘッドレスト部分はE217系から相変わらずの「殺るか殺られるか」じみたものです。種車時代の改造なので仕方ない部分がありますが、右側の座席は柱がピッタリ視界や肘を置く部分に被ってきます。

 

あと地味に異なる点は、壁と座席にちょっとした隙間があり、背ズリについてはスペーサーが入れられています。また元が旧型国電以来続く狭幅車体であるため、近郊型車両のように窓側は窮屈ではありません。

 

車端部の優先座席です。改造は必要最低限、こちらは209系オリジナルのありがたくない硬いロングシートで残されています。まぁ、ここだけ見ればE233系の座席も、JR東日本なりに小手先の改良はしてるんだな、と反面教師的に思わないでもありません。そう言えば、壁側にも気持ちばかりの窪みがあることから、この車両は川崎重工製であることが分かりますね。

 

で、中間はと言えば京浜東北線時代がフラッシュバックするようなオリジナル形態で残っています。

 

座席です。よって硬い硬いロングシートもそのまんま。せめてモケットくらい替えようや…。

 

優先座席です。なぜか中央の座面モケットだけ薄い色となっています。この系列のロングシートでイマイチなのが座席下のヒーターで、角度や効きがまるで成ってないので冬に乗車した時には「ヒーターとは…?」と思うほど辛い思いをしたのでした。

 

そうそう、中間車には新たにトイレが設置されました。

 

この系列に限らず改造車でよく見かけるバリアフリー対応大型トイレですね。乗車時間もそれなりになることが多いのでありがたいですね。