JR西日本283系 | 車内観察日記

車内観察日記

鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。

太陽と海が大好きな蒼きイルカ、283系。JR西日本としてもかなり思い切った車両で、後続の車両を見ているとこちらの方が断然華があって当時の勢いのよさが分かるかと思われます。

 

 「オーシャンアロー」の愛称があり、イルカをあしらったロゴが貼られています。

 

381系同様付属編成も存在しており、貫通型の先頭車も用意されています。こちらも見た感じはパノラマ感が出ていますね。なお、在籍数は基本編成6両×2本と、モノクラス付属編成3両と新大阪方にグリーン車を持つ付属編成3両が各一本、計18両の小所帯となっています。普段は基本編成の6両で運転され、多客時には3両を併結した9両編成となります。ちなみにこの時は幌の連結は行われません。作業簡略化のためとは言え、貫通構造でありながら行き来が出来ないというのはどうなんでしょうね?

 

 この車両、昼と夜では一味違った一面を見せる車両だと思っています。昼間はファミリー層向けのリゾート列車、夜になると突然ムーディな大人の雰囲気になるイメージです。

 

 登場当初は「スーパーくろしおオーシャンアロー」という、マルス発行の特急券は一体どう表示していたんだと気になるくらいの列車名の長さでした。後に「オーシャンアロー」となり、2010年代に入ってから「くろしお」に統一されています。私の中では、283系と言えば列車名も「オーシャンアロー」なのですが…。また運転区間も現在は新大阪までとなっており、京都に顔を出さなくなりました。

 

なおここまで一切触れてきませんでしたが、381系ばりに振り子制御を有しており、「くろしお」では唯一の振り子車両となってしまいました。そして「やくも」にも導入する腹があったのか、耐寒耐雪構造となってるそうな。今回は基本編成のトップナンバーをご紹介。

 

デッキドアです。色調はサンダーバード等の特急列車とあまり変わりませんが、丸みを帯びた窓がリゾート感が出ています。

 

いつぞやから設置された避難用はしご。海沿いを走るきのくに線ならではの装備となっています。沿線にも看板が多数設置され、津波発生時は迅速な避難が出来るように取り組んでいます。

 

バリアフリー対応車両のデッキドアです。幅が広くなっているのはいつものことです。

 

くずもの入れです。飲料系とその他が分別されており、蓋や周囲はステンレス製となっているのはJR西日本の特急型車両共通となっています。

 

公衆電話跡です。周囲を手すりで囲ったデザインで、ヌシがいなくなって抜け殻になったように見えます。

 

トイレです。中は洋式、一部は女性専用となっています。

 

男性小用トイレです。扉は外開き、カーブが多いきのくに線に振り子車両の283系、勢いあまって通路へドロップアウトしないように気をつけないといけません(^^;;

 

バリアフリー対応トイレです。681系と同様、スペースは取られていますが導線にまでは気が回っていない時代のものですね。その横には全身鏡が設置されています。

 

洗面台です。鏡の中に照明を仕込む手法はJR西日本ではお馴染みのものですが、デザインが菱形を並べたものとなっており、他の特急型車両とは異なっております。ここも何気にリゾート仕様ということでしょうか。

 

 多目的室です。例によって例のごとく、普段は施錠されており、利用の際は車掌さんに申し出ることになります。

 

 空いたスペースを埋めたような荷物置き場です。ピクトグラムにはスキー板が描かれていますが、この列車が走る沿線にスキー場はありません(^^;;

 

普通車車内です。JR西日本の特急電車普通車らしくモケットは2パターンあります。まずは水色のモケットとなっている車両から、グリーン車を除く奇数号車がこのモケットとなっています。

 

デッキとの仕切りです。仕切り扉はやはり窓が丸みを帯びたものとなっています。その上にはLED表示機が備わります。広告枠があるというのが何だかねぇ…。観光地へ向かう特急列車としてはイマイチ歓迎出来ません。

 

後述するフリースペースとの仕切りです。こちらには窓が無く、オーシャンアローのロゴが貼り付けられています。

 

天井です。関西に籍を置く会社の特急型車両らしく窓上の補助照明がポイント、あとは通路上のダウンライトのみで、むしろ窓上の照明がメインなんじゃないかと思ってしまいます(^^;;  夜間は逆にすごく明るく感じてしまうので、この大きさで減光ないし消灯のような操作が出来ると尚いいよなぁ、と思います。

 

座席です。モケットこそ海をイメージしたものですが、ベースとなっているのは281系の普通席でしょうか。

 

リクライニング角度はまずまず、座り心地は柔らか目で長時間の乗車でも悪くはないといった印象ですが、振り子車両という特殊性もあるのか軽量化のためかなり薄く作られています。テーブルはインアーム式のみ、ボックス配置でのグループ利用を前提としただけでなく、この背ズリにシートバックテーブルなんてやらかすとそりゃあもう使う度に顰蹙になること請け合い…。

 

その代わりと言っては何ですが、ドリンクホルダーが付いています。バネで復帰するタイプで、普段はこのように跳ね上がっています。

 

かつての「オーシャンアロー」含めた「くろしお」号は特急列車の禁煙化が進むなかで比較的遅くまで喫煙が可能だった列車でした。かつて喫煙車だった車両はアームレスト先端に灰皿を埋めた跡が残っています。かつての喫煙車だった車両は全車禁煙化されてからそれなりに時間が経っているのにも関わらず、未だに若干ヤニ臭いんですよね…。

 

基本編成の3号車には、観光地向け列車らしく展望ラウンジが設置されています。連結されている3号車は自由席、席数を割いてでもフリースペースを設けたのは当時のJR西日本の勢いと自信だったんでしょうね。

 

というわけで展望ラウンジです。太平洋側を向いて椅子が並びます。

 

海側のカウンターです。波打ったテーブルが設置されています。使い勝手の程はいかがでしょうか?

 

山側のソファシートです。反対側も窓が大きくなっていますね。

 

2+2配置となっており、背ズリの上端はそれぞれ山なりにカーブしています。全体的に長居が出来ないように考えられてはいるようです。そうそう、海側に座った人が少しでも障害にならないようにセミハイデッキ構造となっており、段差部分に照明を仕込んでいるのもポイントです。

 

ディスプレイもありますが、今や消灯され飾りとなっています。

 

天井です。肩部分には飾り照明が設置されています。そう言えば、中央部分の化粧板の色が異なっていますね。

 

デッキとの仕切り横には非常通話装置とくずもの入れが備わります。

 

換気扇スイッチです。登場当初からここは禁煙だったような気がします。しかしこの換気扇が仇でして、喫煙車とダクトが繋がっていたのか副流煙が大量に流入していたという笑えない事態だったとか…。

 

海側の窓はこんな感じ。一枚窓ではありませんが、連続性が考慮され展望は良好です。

 

海沿いの区間はこんな感じ。

 

続いて座席モケットがパープルの車両です。こちらの方が落ち着きがあり、どちらかと言えば夜向きです。

 

バリアフリー対応車両のデッキ仕切りです。仕切り扉が幅広となっています。

 

こちらは貫通型先頭車の仕切りです。前面が展望を意識してそうな雰囲気があったのに車内側はまさかの壁、「展望したけりゃグリーン料金払え」という暗黙のメッセージが読み取れます。ならばあんなカネかかっていそうな曲面ガラスじゃなくてもよかろうに・・。

 

窓です。2席に1枚の割り当て、日除けは横引き式のカーテンが備わります。

 

座席です。基本的に先程の水色のモケットの座席の色違いです。

 

窓側について苦言を呈するなら、窓下にガラスを支えるためと思われる出っ張りがあり、アームレストに肘を置いた時にこの出っ張りの角が腕に食い込みます。681系から引きずっている欠点のひとつですが、これより後の登場となる683系ではキッチリ改善しています。

 

バリアフリー対応の1人掛けです。窓下には非常ボタンが備わります。この辺りはJR西日本の特急型車両らしいかと。

 

全展開の図。片側のみ肘掛けが跳ね上がるようになっています。跳ね上げの恩恵を受けられるのは新宮行きのみ、新大阪行きはインアームテーブルもありますし我慢して差し上げろと。

 

デッキ仕切り際には固定テーブルがあります。全席インアームテーブルが備わっていますので、珍しくデッキ仕切り際の座席の方がキャパが広くなっています。時代のニーズ的にはコンセントが欲しいところですね。軽くリフレッシュを受けていますが、そろそろリニューアルがあってもいいのではないでしょうかJR西日本さん?

 

続いてオーシャンアローのメイン、パノラマグリーン車へと参りましょう。先述の通り基本的に新宮方先頭車である1号車に連結されていますが、付属編成での代走時は新大阪方先頭車の6号車がグリーン車となり、多客時の9両編成では両端がグリーン車となることもあります。ただ、どの列車が両端グリーン車となるかは一ヶ月前に指定席券売機で見てみないと分からないような気がするんですよねぇ・・。

 

洗面台です。微妙に壁の化粧板が異なるような気がします。

 

車内です。このグリーン車、当時のJR西日本のセンスというか、持ち味を全て詰め込んで凝縮したような印象を持っており、久々にグリーン車へ足を踏み入れる時の緊張感というか、ワクワク感を持ってしまいました。特にライトパフォーマンスに関してはどの在来線グリーン車よりも素晴しいものを持っているのではないでしょうか。なおこちらはお昼の顔、夜になると・・。

 

…はい、一気に大人の雰囲気全開となります。この昼夜で雰囲気がガラリと変わるのがJR西日本らしいところであります。座席は1+2の3列配置、北海道のキハ281系やキハ283系のように中央で配置が逆転しています。こうすることでお一人様もグループでも均等に海側を陣取ることが出来るようにしているんですね(振り子車両の重量バランス問題もあると思いますが・・)。

 

デッキとの仕切りです。座席配置に合わせて仕切り扉が右側に寄っているのはいつものことです。で、やっぱりあるんだなぁ、広告枠。グリーン車の文字情報なんて、運転と安全のため、百歩譲って車内誌があれば十分だと思うのです。安全はともかくその他は「一回見ればあとは見なくていい」もの、一回見れば十分なものがずっと見えるのは鬱陶しい以外の何物でもありません。

 

魅惑の最前面です。パノラマグリーンだけあり迫力の前面展望ですが、381系のパノラマグリーン車と比べると仕切り窓がやや小さくなりましたし、前面形状が大きく張り出したものとなったため全体的に前面展望の範囲は狭くなった気がします。仕切り窓に関しては荷棚を仕切りにくっ付けなければ何とかなったかもしれません。

 

天井です。中央のスポットライトは通路の切り返し部分でしっかり位置変更するという凝り様です。そして補助照明のライトワークですね、リゾート感が全面に出ています。これはもう補助照明というよりも飾り照明ですね。

 

で、補助照明の役割はこちらの読書灯が担います。角度可変式となっています。

 

窓です。2席に1枚、シートピッチも広いため窓も大型です。

 

座席です。まずは2人掛けから。カラーコード的には381系グリーン車から続くものとなっていますね。

 

特徴としてはヘッドレストが肩部分を切り落とした形状となっていることですね。パノラマグリーン車だけあり、前面展望を後列でもしやすいようにとの配慮ですね。JR西日本が初めて行った特急改革で登場した「スーパー雷鳥」のパノラマグリーン車に搭載された座席の血を感じます。

 

続いて1人掛けです。かつて床のカーペットは「オーシャンアロー」のロゴが入ったオリジナルのものでしたが、近年無地のものに貼り替えられていますね。

 

座り心地は一見すると背ズリの平坦さが気になりますが、いざ座ってみると意外にもグリーン車らしいどっしりとしたものです。肩部分の切り落としも思ったほど気になりません。

 

全展開の図。テーブルは普通車同様インアーム式のみ、グリーン席としては少し寂しいものがあります。やっぱり両面タイプが欲しいですよねぇ、と。あとはフットレストが土足禁止オンリーの跳ね上げタイプとなっていること。本来あるべきは土足/土足禁止両面の角度可変式、それと比べるとやっぱりバリューダウンを感じさせます。そりゃあ清掃時はラクだと思いますが、グリーン車にしてその発想はNGですな。

 

で、そのフットレスト。基部にグリーンマークが象られたものとなっています。同じフットレストは381系「やくも」仕様車のグリーン席や、185系のグリーン席でも見ることが出来ます。

 

途中配置が変わる部分はこの通り、衝立で仕切ることにより一定のプライバシー性を保っています。かつて車内販売があった時には、ここをカートが器用にすり抜けていったという武勇伝があったり・・。ここの6番席が両側共に1人掛けで、前列が2人掛けの6番席は横が衝立で少しコクーンな印象、最前列の次にユーザーが多い席となりそうです。そして、前列が1人掛けとなる2人掛けの通路側(新宮方クロ282は7C、新大阪方クロ283は5Bか?)は本来であればハズレ席ですが、グリーン車が先頭となる便では運転席まで遮るものがない隠れた展望席となっています。