嵯峨野観光鉄道SK100・SK200・SK300形 | 車内観察日記

車内観察日記

鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。


山陰本線の複線電化により廃線となった風光明媚な旧線を観光列車として活用しようと設立された嵯峨野観光鉄道。JR西日本の完全子会社ですが、設立当初は廃線から放置された線路の整備から始めさせられ、親会社のJR西日本からも相当な嫌がらせを受けつつも、今や「嵯峨嵐山の観光と言えば嵯峨野のトロッコ列車」と言う程の観光資源に成長しました。トロッコ列車一本の所有で、専用塗装のDE10-1104号機が牽引・推進に当たります。この画像、複線の原則を知っている人からすれば相当な違和感に気付くはず。


嵯峨野観光線はトロッコ嵯峨からトロッコ嵐山間は山陰本線に乗り入れる運転形態となっていますが、両方の設備が下り線側にあるため、トロッコ嵯峨行き上り列車は山陰本線の下り線を逆走します。そんな山陰本線を逆走する唯一の車両がSK100・SK200・SK300と呼ばれる5両の客車です。全て国鉄の無蓋車、トキ25000形からの改造車で、トキ時代の車番は不明ながら新しくても推定1974年製の40年選手、そろそろ置き換えの噂があったりなかったり…。
 

JR西日本梅小路運転区には同様の塗装をまとったJR西日本所属のDE10-1156号機が在籍しており、1104号機が検査等で牽引できない場合はこの機関車が代走します。誰ですか、「パンダガマ」なんて言ってる人は、出身地方と歳がバレますよ(^^;;


車内です。ある意味トロッコ列車のお手本のようなパッケージ、木製の座席が並びます。


ドアです。規格が違うものを使ったのか、窓が微妙に収まっていません(笑)  足元にはステップがあります。旧国鉄時代の低床ホームに対応するためですね。


車端部です。仕切り扉もありますが、列車の性格上普段は開けたままで固定されています。この車両は車掌スペースも兼ねており、運行に必要な機器が並びます。左上のAEDは最近付いたのでしょう。


トロッコ亀岡方、SK200形の最前面です。元は貨車ですが、乗務員室と運転台を設置して後方の機関車を遠隔制御しています。


天井です。トロッコ列車らしい骨組みを隠す素振りすら見せないワイルドな仕様です。


照明は傘が付いた電球ですが、ベンチレータ横に黒い物体が見えるかと思います。これは春秋に運転される定期列車の最終便後に増便される臨時嵯峨野82号運用時に使用されるもので、興味があれば乗りに行ってみて下さい。


窓です。トロッコ列車ながら一応〆切ることができ、雨天時でも運転を可能にしています。完全に降ろし切ることが出来ないのは安全上の問題でしょう。


座席です。全席クロスシート、木製のボックスシートが並びます。


やはり雨天に晒されることもあるわけで、一部が新品に取り替えられています。右側が新しいものですね。この手の列車にしては珍しくテーブルがありません。乗車時間も短いですし、1時間ヘッドを維持するために折り返し時間がかなり短くて車内清掃に限界があるためと思われますが…。


一部には戸袋窓部分を活用した車椅子スペースがあります。特に固定用具も無く、満席時に発売される立ち席券所有者のたまり場的な使われ方が多いのでしょうね。


続いては後年に増備された5号車のSK300形です。「ザ・リッチ」と称し、位置付け的には特別車両ですが乗車料金は他のネイチャーサルーンと同額です。料金は全区間均一620円(2016年現在)、少々お高く見えますが指定席料金込みと飲み込めばまぁこんなもんですね。


ザ・リッチの車内です。前売りは無く当日窓口販売のみの出たとこ一発勝負、条件的にも「特別車両」と言われる理由が分かる気もします。裏を返せば、繁忙期で前売り券が完売していても当日に着席券が発売される優しい存在でもあります。


車端部です。こちらはあまり変わりませんね。機関車のお顔を拝めるくらいでしょうか。


天井です。電気系統が走る中央を除いて両側がガラス張りとなっています。この日は生憎の小雨空、晴れていればまたきれいなんでしょうね。心配なのはこの車両が機関車の次位に連結されていること。トロッコ嵯峨行きのトンネルでは機関車の煤煙をもろに被ることになり、ガラス面が汚れてしまいそうです。個人的に客レで見映えがよくないと思っている短い2エンド側を先頭側へ向けてるのはこんな側面があるのでは、と思ったりもします。多分に偶然な気もしますが…。


側面は窓が無く色々と吹き抜け状態となっています。こんな車両の性格から雨天時は発売が中止される落とし穴がありますよ、と。


座席です。もの自体は他の号車と変わりませんね。吹きっさらしとなったままによる劣化防止のためか、かなり厚塗りされている気がしますが…。座り心地は期待してはいけません、ついでに乗り心地なんてそんなものは論外、むしろ乗り心地の悪さをお楽しめ下さいと言った暗黙のメッセージすら感じます。


ついでに座席下は金網を敷いただけのスケルトン状態、きっぷや小銭を落とすと南無南無となります。スマートフォンはカバーをしてない状態だとギリギリすり抜けるくらい、と思っておけばいいでしょう。駅ではこの車両の乗車心得が掲示してあり、モノを落としても雨に濡れてもスカートがめくれても(笑)文句を言ってはいけません。


車椅子スペースに関しても同じく金網仕様です。気を付けるのは座っている時だけではありません。


ドアの開閉装置です。客扱いの時のみ使用されます。


一部には虫取網が安置されています。そりゃあ夏休みともなると課題ひとつ出来るほど色んなものが出そうですが…。


機関車の区名受けには、なぜかブルートレインの札が…。果たして夜行の客レを牽いたことはあるのでしょうか…。


トンネルの中にあるトロッコ嵐山駅。トンネルに突っ込むトロッコ亀岡方数両は扉が開きません。


はや25年なんですね。これからも末長い活躍を。