阪神5700系 | 車内観察日記

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鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。

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なんば線系統の絡みで急行系の車両増備が続いていた阪神電車、ここ最近ようやく普通系種別にも、従来のダイヤに乗せながら消費電力の大幅カットを実現したスーパーエコノミーな次世代のジェットカーが登場しました。

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阪神初のブルーリボン賞受賞車両、5700系です。先に登場した急行系の1000系の普通系バージョンとも言えますね。ただ、1000系から若干デザインが変更されており、尾灯が縦方向に配置されたためかボーっとしたように見えますね(笑) しかし、5550系が出た当初は普通系車両は鋼製の車両が続くのかと思っていましたが、アッサリとステンレス車に移行してしまいましたね。

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1000系と異なる点がもうひとつ、普通系車両のシンボルカラー、青色のステッカーをドア周りで円形になるように貼り付けしていることですね。1000系はドアにオレンジを貼り付けただけであったため非常にお粗末なイメージでしたが、5700系では大幅に見映えがよくなりました。デザインの勝利ですね。なお、台車は久々のボルスタ付きとなっています。カーブが多い路線では、ボルスタ付きの方が安全面では良いような気がしています。

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車内です。シンボルカラーの青は車内にも溢れています。

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ドアです。化粧板仕上げで、立ち席用の持ち手がブルーに塗装され、両端にはイエローラインが入っています。千鳥配置(中央のドアが山側、両端が浜側)で32インチハーフタイプのLCDディスプレイが設置されています。ちなみに走行機器は山側を走る阪急の1000系と同じものを採用しているため、走行音も非常に静かです。阪急阪神の経営統合を実感する仕様があちこちに感じられます。

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LCDディスプレイ非搭載のドアには広告枠が設置されています。5700系登場の特製広告が入っており、「ジェットシルバー5700」の愛称があります。ジェットシルバーと言えば、かつて存在した5201形のセミステンレス試作車の愛称ですが、この系列は二代目となります。初代ジェットシルバーから実に半世紀以上経ってからの二代目登場となりました。長かったですねぇ。

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また5700系の特筆すべき点として、大手私鉄の純然たる通勤電車としては初めて半自動機構を採用しており、急行系種別の通過待ち時には車内保温のために半自動扱いとなります。外側には開けるボタン、内側には開閉両方のボタンが備わります。内側のボタンは金属地そのままとなっています。ここに青いステッカーを貼るなりの配慮があってもいいんでないでしょうか?

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車端部です。8000系の辺りから仕切り扉が大きかった阪神電車ですが、5700系ではガラス面が大幅に大きくなりました。化粧板は貼られていませんがあまり気になりませんね。

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ガラスの面積が大きくなったため、激突防止のために5700系のロゴが入っています。

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フリースペースを有する車端部です。吊革が短くなっていますね。

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最前面です。仕切り窓は大きいのですが、肝心の前面窓があまり大きくないため、座りながらの前面展望は少し厳しいと思います。

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天井です。照明は直管式のLED灯となっています。5550系に引き続きカバーは有りません。半分程度を埋め込み型としているのがせめてもの配慮ですが、やっぱり、安っぽく見えますよねぇ、と。吊革は普通系車両を前面に押し出した青色としています。そして、その吊革は枕木方向にも配置されています。何気に阪神では初めてなのではないでしょうか。

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窓です。2枚一組で、フリーストップ式のロールカーテンが備わります。生地は1000系からお馴染みの薄い緑色のものです。

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座席です。一般座席でまずはドア間の7人掛けから。従来系列から比べると着席定員が1名減少し、そのままドア横を広げたり、仕切りのスペースに充てたりしています。

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車端部の5人掛けです。こちらは着席定員に変更は有りません。阪神の車両としては初めて座席間に仕切りが追加されています。定員着席はバケットシートで対応していると思われるので、乗客同士がなるべく干渉しないように、という意味合いが強そうです。

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優先座席です。一般座席の青に対して緑色のモケットになっています。座り心地は、座面はある程度のクッション性があるものの、背ズリがまるでスカスカです。短距離の利用が多いのでまぁこんなもんでしょうか。

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はい、最近登場した通勤電車では毎度登場する袖仕切りのコーナーです。中々ユニークな形をしており、立ち席分離のために割と高さがあります。中央辺りで肘を逃がせるように外側へ曲げていますが、この曲げ方が「?」。いざそこへ肘を入れても、下側が斜めになっているため肘が落ち着きません(オマケに高い…)。総合車両製作所製造車両によく見られるFRP製の袖仕切りは既に融通が利かないので何も言えたものではないですが、せっかくオリジナル品で曲げられるようにしているのですから、下側くらいは水平にするなりの配慮があってもいいと思います。中途半端な形にするのであれば、いっそ一枚の板にして座席間の仕切りを内側に持ってくるだけでも構わないでしょうに…。

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最前面の3人掛けです。そうそう、袖仕切りは外側に張り出しているのとモケットが両側に貼られているので、ドア横に立った場合腰当てのようになっているのが利点と言えば利点です。

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さて、5700系では、大阪梅田寄りの先頭車で「ちょい乗りシート」という座席を試験的に採用しています。

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ドア横の2席の座面を30mmほどかさ上げして、短時間での乗車の乗り降りを容易にしようという目的で試行しています。

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個人的な感想としては、試行の段階でやめておくのが幸せなような気がします。座面が高いだけでなく逆傾斜が付けられているため、脚でふんばりながら座らなければなりません。座りたい人の心理としては楽をしたいと思うはずなので、楽が出来ない時点で座席とは認められないですよねぇ、と。この車両を利用する人皆が皆短距離利用ってわけでもないでしょうに…。

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フリースペースです。握り棒と非常通話装置が備わります。隣には2人掛け座席が備わりますが、まぁ袖仕切りが寸足らずで小さいこと…。

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優先座席とセットのフリースペースです。スペース右側の握り棒が二段式となってますね。吊革は座席モケットに合わせて緑色として区別しています。隣の優先座席ですが…妻面と側窓の間に何やら青いステッカーが貼られています。そう、なんと優先座席にしてちょい乗りシートにしてしまっています。そりゃ座りやすさはあるかもしれませんが、背の低いお年寄りや脚の不自由な人には地獄ですよ、これ。この車両の設計者の良心を疑わざるを得ません。

 

2016年度のブルーリボン賞にも輝き、トップナンバー編成には記念のステッカーが貼られています。

 

車内側にも。プレートだけというのが主流な中、特別仕様となっていますね。

 

さて、ここからは38年ぶりの阪神タイガース日本一を記念して副標シリーズへとまいりましょう。18年ぶりのセントラルリーグ優勝を決め、クライマックスシリーズもストレートで制し、同じ関西に本拠地を置くオリックスバファローズとの日本シリーズ開催が決定し、特別副標が入れられておりました。



通常副標は急行系車両に掲出されることが多く、普通系車両にも掲出するとは余程の気合が入っていたのでしょう。


互いの本拠地を快速急行で結べることから「阪神なんば線シリーズ」と呼ばれた日本シリーズは第7戦にまでもつれ込む熱戦となりましたが、阪神タイガースが38年ぶりの日本一となり幕を閉じました。そして、翌日より特別副標が入れられました。


トップナンバー編成のブルーリボン賞ステッカーとともに。日本一、おめでとうございます。
 

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