JR東日本管内で最後まで定期運用を持つ国鉄特急型車両となったのがこの185系です。
元はといえば急行列車の特急化により登場した系列で、登場当初はなんと転換クロスシートを装備しておりました。今やれば暴動が起こりそうな勢いですが、同時期に登場したこれが料金不要にしてほぼ同じ接客レベルを誇っていたことも有り、当時でも首都圏では顰蹙だったようです。「料金自体はボックスシートの急行料金とほぼ同じくらいにしてやったからいいだろ?」というのが言い訳だそうですが・・。
伊豆急下田行きの「踊り子」はグリーン車2両組み込みの10両編成、熱海までは伊豆箱根鉄道修善寺行きの5両を併結した15両編成で運転されます。「スーパービュー踊り子」と並びました。
こちらは修善寺行きの5両編成。10両編成共々、令和の世まで走り抜けましたが、2020年度より順次E257系へ置き換えられるとのことです。国鉄型車両使用の特急列車も、いよいよ少なくなってきましたね。
一方こちらも非常に長い歴史がある夜行快速、「ムーンライトながら」に充当された際のカット。この列車も、年々運転日が減っており心配な存在です。
2020年になっても栄えあるトップナンバーが残っています。
「自由席」の表示共々、その内懐かしの存在になるかもしれませんね。
それでは参りましょう、まずはデッキのドアです。当初は普通列車としての使用も想定していたことから、ドア幅は特急形車両ながら急行形と同じくらいの幅を有しています。実際登場当初から普通列車の運用も一定数存在していたわけですが、2014年3月、遂に普通列車の運用が消滅してしまいました。臨時快速列車にも入るので、自由席連結の場合にはまだ活かされているとも捉えられますね。
くずもの入れです。国鉄型車両らしい隅丸ゴシックの文字が光ります。
トイレです。登場当所は和式だったと思いますが、現在は洋式に改造されています。
洗面台です。冷水、温水の両方のレバーが備わっています。石鹸受けは固形式対応ですが、現運用時には何も置かれていませんでした。電動カミソリ用に列車内で唯一コンセントが存在し、「ムーンライトながら」に投入されると真っ先に誰かが充電を行う光景が見られます。但し盗難・破損には注意のこと。
「ムーンライトながら」運転時の運転席をのぞいてみました。紺色モケットが残されていますね。
車内、まずは普通席からです。座席は回転リクライニングシートに改座されており、特急用車両としての水準は満たしていると言えそうです。ちなみに、「ムーンライトながら」運転時の撮影のため、ヘッドレストリネンは付いていません。
こちらは旧新前橋所属編成の普通席。こちらも「「シーハイル上越」運転時の撮影のため、ヘッドレストリネンは付いていません。
デッキとの仕切りです。仕切り扉は開口面積をなるべく大きくするため、取っ手が入るよう壁が一部切り欠かれています。その仕切り扉はセンサー式で自動化されています。
非常通話装置や非常灯等‥。高い位置にあるので、有事の際に使える人が限られているような気がします。
天井です。照明はカバーがかかった蛍光灯、それ以外は何も無いサッパリしたものになっています。冷房の吹き出し口はラインフロー化されており、スポットタイプより更にスッキリしたように思います。
窓です。1段上昇窓となっています。今や窓が開く特急用車両なんてのも珍しいものです。おかげで冬季走行中は結露が激しいわけですが(^^;;
日除けは横引き式のカーテンとロールカーテンの2つを装備しています。普通列車と特急列車、二つの性格を有する列車らしい装備となっています。
座席です。先述の通り元は転換クロスシートを装備していましたが、現在は回転リクライニングシートに交換されていますね。
この座席は他の特急列車の簡易リクライニングシートの改座にも多く使われていたので、座席単品だけで見れば、全国津々浦々どこでも見ることが出来ました。少し硬めではありますが、両サイドが張り出したヘッドレストは夜行運用時に重宝した方も多いのでは、と思います。
背面には編成案内があります。「スワローあかぎ」の表示も有りますが、今は運用から外れていますね。
デッキ仕切り際の座席には固定テーブルが設置されています。面積はあまり広くありませんので、指定するならラストプライオリティでしょうか。
最後列ならいいだろうと思えばそうでも無いもので、新製特急型車両にしては珍しい戸袋窓を有する車両となっており、その区画は窓下のスペースが半減しており飲み物は置けません。これ、わざわざ半減させるなら、ミニテーブルにでもしてやれば良かったのに‥。
こちらは新前橋所属だった色違い。ちなみに改座で漏れた転換クロスシートですが、どうやら滋賀県の某私鉄の1本に今も現役とのこと。あ、懐かしさを求めて乗りに行っても、絶対に走っているという保証はありません。運用は他車と共通ですから・・。
続いてグリーン車です。貫通路の仕切り扉は窓がすりガラスとなっており、空間の連続性を切っています。また列車によっては混雑のため鍵がかけられることもあるそうな。
車内との仕切りも同様ですが、こちらはマットスイッチによる自動化がなされています。この方式、鉄道車両ではJR北海道キハ183系以来久々に目にしました。今ではほとんどがセンサー式やボタン式になっているので、この方式を使う列車は非常に少なくなっています。
トイレです。こちらも洋式化されています。
グリーン車の車内です。一時JR東日本のブームで訪れた重厚長大化路線も経験しているはずの系列ですが、2両連結の割に2+2配置の詰め込み重視スタイルで構えています。
デッキとの仕切りです。化粧板の色を変えてやんわり雰囲気を異なるものとしています。
窓枠下辺のテーブルは金色に仕上げています。
座席です。旧田町所属編成は登場当所の座席から改座されており、「踊り子」に充当される列車はおおむねこれが来ると言った感じですね。旧新前橋所属編成では、今も登場当所の座席をリフレッシュして使用しているそうです。
座り心地自体はグリーンらしく程よいクッション性で悪く無いのですが、テーブルはインアームテーブルのみ、そのサイドアームレストも幅は普通席並み、そして何よりセンターアームレストが無いという点でかなり費用対効果が怪しい座席ではあります。位置付け的には「スーパービュー踊り子」の普通席以上グリーン席未満を狙うべき価格帯なのですが、窓の大きさはどうしようも無いので置いておくとして、アームレスト周りでやっぱり遜色出ちゃいますよねーと言った感じです。
フットレストは土足禁止面のみの常時跳ね上げ式、足を上げて引き下ろすという不格好なことをしないといけないのがちょっと気に入らないタイプではあります。デザイン的には基部にグリーンマークを象ったデザインとしているのでさりげなくセンスがいいのですが‥。
セオリーとしてはあまり人気が無い最前列ですが、付帯設備としてはこの系列ではアタリと言えるかもしれません。大型の固定テーブルと土足/土足禁止の両面を備えた角度固定式のフットレスト等、国鉄時代の黄金バッテリー的設備が残されています。
さてここからは過去に存在した塗装をご紹介。東京駅にて、2015年3月開業予定の上野東京ラインの試運転列車に充当されているときの様子です。
この編成は通称「EXPRESS色」といわれ、上毛三山をモチーフにしたそうです。
現在651系が運用を担っている「草津」「あかぎ」「水上」等に運用されていました。
その左側には、踊り子色もおりました。
ちなみに画像は一昔前に廃止となったホームライナー鴻巣です。ヘッドマークが完全に白飛びしていますが(^^;;
そしてこちらが「踊り子」で使用されていた湘南色風編成です。ちなみに画像は国内最後の在来線スキー臨時列車であった懐かしの快速「シーハイル上越」です。これまたヘッドマークが白飛び・・。他にも復刻塗装として、湘南色や157系こだま色になった編成も存在しました。
↑ ↑ ↑