先月起きた「水道水を飲まないで」と市が市民に呼びかける緊急事態について、議会がいまだに一度も調査や協議をしていないのはちょっと異常だと思っている南魚沼市議会議員の黒岩揺光です。
私は水道課を担当する産業建設委員会の委員で、吉田光利委員長に「委員会として調査すべき」と進言させてもらいましたが、調査するためには本会議での手続きが必要だとかで、いまだに実現できていません。最終報告書は上がってきましたが、あの内容ではわからないことばかりです。せめて、議会全員協議会くらい開いてほしいものです。
この緊急事態については全く調査しない代わりに、7月21日金曜日、私たち産業建設委員会は茨城県つくば市へ視察へ行ってまいりました。
以下が工程表です。
午前8時半に南魚沼市をマイクロバスで出発し、2回の休憩を挟み、正午ごろつくば市へ到着。市内のレストランで昼飯を食べ、午後1時半から午後3時まで、つくば市役所で「スタートアップ戦略について」の研修を受け、そこから再び2回の休憩を挟んで、マイクロバスで南魚沼市へ戻り、午後7時に到着するというものです。
移動時間が約8時間。研修時間が1時間半。昼飯時間が1時間です。しかも、つくば市まで行くのに、何かを視察する「現場」があるわけでもなく、市役所の会議室で話を聞くだけです。
これ見ただけでも、「なぜオンライン会議でやらないのか?」と思ってしまいます。
この膨大な移動時間のために、市の運転手さん1人、議会事務局の職員1人、「スタートアップ」の担当部署である、腰越勝利・産業振興部長、西潟一郎・商工観光課長、そして議員7人の人件費がかかるわけです。ガソリン代。高速代。排気ガス。もろもろです。
私たち議員は、行政の税金の使い方が最小の経費で最大の効果を生んでいるかどうかを審議するためにいます。しかし、こんな無駄が散見される視察を議員自らが行っているようでは、最小の経費で最大の効果を生むために予算を審議できますでしょうか?
しかも、研修内容が「スタートアップ」ですよ?「スタートアップ」って、「新たなビジネスモデルを開拓し、急成長を目指す会社」とつくば市のリーフレットには書かれてますが、1時間半の座学のために、移動時間と昼食時間に9時間費やす人たちが「新しいビジネスモデル」を開拓できますかね?
そもそも、なぜ、つくば市でスタートアップ戦略を学ぶことになったのでしょう?
これも、ものすごい不明瞭なプロセスで決定されました。
もともと、南魚沼市内の外国人労働者が増えているということで、私が、外国人を受け入れている先進地視察を提案し、議会事務局の担当者も吉田委員長も前向きになりました。議会事務局の担当者からの要請で、私は国内で先進的な取り組みをしている自治体を調べ、それらを議会事務局へ送りました。それを踏まえ、吉田委員長が群馬県太田市を視察先として委員会で提案しました。
すると、委員会で牧野晶議員が「太田市は特定の大企業があるから外国人が多いだけなのではないか」と言い、永井拓三議員が、「特に行政が何か特別な施策をしているとは思えない」と言い、さらに、南魚沼市内の外国人を市内で良く見かけるようになったが「特に不満を抱えているようには思えない」と言いました。
吉田委員長は、それらの意見を踏まえ「委員長と副委員長に一任してほしい」と要請し、委員全員了承しました。
すると、突然、メールで、つくば市が視察先として決定したと発表されました。しかも、内容は外国人ではなく、スタートアップ。
理由は「外国人施策は市の施策というよりも、県や国、民間の貢献が大きい」というものだそうですが、、、。自治体レベルでもかなりやっているところややっているのですけどね、、、。
水の件については調査もしない。視察のテーマ選定がとても不明瞭。1時間半の座学のために、移動と昼食時間で9時間かけてやる意味がよくわからない。などなど、とっても行きたくない視察ではあったのですが、「招集通知」が出されるため、行かなくてはいけません。
いや、こういう無駄が散見される視察だからこそ、しっかり行って、実際に無駄だったのかどうかを検証する必要があります。
7月21日は朝6時に起きます。この日は妻が夜勤明けで、家にいません。朝10時ごろ帰宅予定です。
長男の朝ごはん(細巻き寿司)を作り、水筒を用意し、ランドセルの中身をチェックし、支度をさせ、午後7時15分に送り出します。
次男が起きてきて、「今日はパパ早く仕事があるから、早く食べてね」と言いますが、「ワッフルが食べたい!」とぐずります。ワッフル作っている時間がないので、「保育園行く途中でセブンイレブンで好きなのかって!」と伝えます。
おしぼりとかフォークとスプーンとか手拭きタオルとか水着とか、保育園バックを用意し、午前7時45分ごろ家を出て、セブンイレブンによります。ワッフルを探しますが、ないため、蒸しパンで我慢してもらいました。午前8時に次男は無事、保育園へ到着します。
そこからワイシャツに着替え、自転車で市役所へ行きます。
午後8時20分ごろ、マイクロバスに乗り込みます。
午後8時半少し前に出発。
約4時間の移動時間。本を読んだり、新聞を読んだり、つくば市のスタートアップ戦略を読んだりして過ごします。2回の休憩では、できるだけ多く歩き、体を動かします。ずっとバスに座り続けているのが苦痛です。
午後0時20分ごろ、昼ご飯の場所に着きます。
1食2000円の高級ランチです。
大きな個室で各自自由席で食べます。(これにライス、そうめん、天ぷらが付きました)
2000円はもちろん自腹です。これに1時間かけるなら、高速のサービスエリアに留まった際、「休憩50分取りますので、各自昼食を済ませてください」とした方が効率的だし、新しいビジネスモデルというか視察モデルになりそうですが、「これまでの慣例で視察先の市内で食べてお金を落とす」ことが重要なのだそうです。市の運転手さんとか議会事務局の職員とかまでランチに2000円払わせることに少し違和感を抱きます。
午後1時半、つくば市役所に到着します。
こんな感じで、市の戦略について説明を受けます。こちらから事前に送っていた質問事項を踏まえて、約1時間ほど話を聞きます。担当者が午後2時50分に出なくてはいけないということで、質疑応答の時間が10分しかありませんでした。牧野議員と私だけが質問をし、終了します。
この後、市役所の議場を少し見学し、記念写真を撮り、つくば市議会の議長さんと少し話をし、マイクロバスに乗り込みます。
帰りは休憩2回の予定でしたが、1回だけとなり、午後6時40分ごろ南魚沼市役所に着きました。1日中、座り続ける日って、あまりないので、精神的にも肉体的にも苦痛です。
午後7時から反省会で、六日町駅近くの飲食店で、委員全員と議会事務局の担当者の8人で飲み食いをします。
会費は飲み放題付きで6000円。自腹です。議会事務局の職員は、昼と夜で合計8000円の出費ということになります。私たち議員は反省会に出席するかどうか選べますが、幹事役の議会事務局の職員には、欠席するというチョイスを主張するのは難しいということを考えた場合、この出費はちょっと可哀そうですね。
ブログで散々、市議会のことを批判している私を交えて反省会が開かれるということには正直、驚きました。
南魚沼市議会の懐の深さですかね。
8人がぎりぎり入れるくらいの個室スペースで、座席は吉田委員長が指定しました。
私の右隣は壁で、左隣に永井議員、対面するのが塩川議員で、斜めに吉田委員長でした。牧野議員は一番離れた場所になりました。市の職員が3人いた昼ご飯の時とは雰囲気が違います。ここでは、議員と議会事務局の職員しかいません。腰越部長や西潟課長も誘われたらしいですが、二人とも断ったそうです。私でも断るでしょう。
私は酒が飲めない分、6000円払った分をしっかりとろうと、ご飯をがっつり食べようとしますが、ずっと座り続けてきたから、お腹がすぐにもたれはじめます。こんな不健康な1日は久しぶりです。
3月議会では、私が牧野議員による市職員に対するセクハラ行為を指摘しましたが、その指摘した私と、指摘された牧野議員と、そして指摘したことを非難したメンバーが一同にそろって夕食を共にするというのは、とても素晴らしいことです。吉田委員長と梅沢副委員長が和やかな雰囲気を出すために、それぞれに話しかけます。私にも「黒岩さんはアフリカにいたんだっけ?」等、話しかけてくれます。塩川議員も、私がバスで読んだ本の話とか、スポーツの話とかで、盛り上がっていきます。そして、酒の量が増えていくにつれ、本音がどんどん出てきます。
酒が好きな塩川議員が、途中から、私にブログで書かれたことに対し不満を述べ始め、「(黒岩議員に)友達が少ない理由がわかったよ」「(黒岩議員は)議員じゃなくて文屋だ」などと大きな声を上げ始めました。そのブログというのが、塩川議員が私に対し、今年の3月議会での発言を自ら申し出て取消しをしてほしい、と要請した部分です。私は、「発言を取り消したいなら、発言取消し動議を出せばよかったのではないでしょうか?」と言わせてもらいました。
予想した展開がそのまま現実となってので、凄いなと思いました。誰でも予想できる展開だったのに、これでもこういう反省会が開かれ、私が招かれたということに感銘いたしました。南魚沼市議会は凄いですね。あまり大きな声を出されるのは好きではありませんが、私は言いたいことをとことん言い合うことは大事だと思っているので、塩川議員が言ってくれたことには感謝しています。ちなみに、言い合った後は、塩川議員は何度も私と握手をしてくれたし、私のこれまでのスポーツ歴について聞いてくれたりしました。大人の対応ですね。これからもよろしくお願いします。
視察ですが、是非、次からオンライン視察を検討してください。無駄な人件費やガソリン代を削り、1円でも多く福祉や子育てに回しましょう。慣例も大事かもしれませんが、慣例を守ろうとすればするほど、新しいアイデアが入りにくくなるのかもしれません。
最後に、この視察をアレンジしてくれた吉田委員長、梅沢副委員長、そして議会事務局の皆さん、ありがとうございました。無駄が多い視察でしたが、皆さんが時間を割いてアレンジしてくださったことについては感謝しています。慣例は大事ですが、最小の経費で最大の効果が出せるよう、少しずつ良い方に変わっていくことを願っています。