養老孟司・隈研吾 「日本人はどう住まうべきか?」 感想篇 | 七転び八転び!? 15分で1冊 

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人生、いいことの方が少ない。

「薬害エイズ訴訟」の体験とそれまでの過程、読書の感想と要約をを綴ります。

・感想

二人の対談をまとめたものだが久々に目から鱗が落ちたしカルチャーショックを受け、改めて足るを知った。
こういう時は絶望感半分、嬉しさ半分だ。
自分の関係の無いこともあえて首を突っ込む必要があるしそういうことで頭が固くなるのを回避できるのかなアと。

一番ショックを受けたのは「コンクリート神話に騙されていたこと」「土建屋・デベロッパー・政治家・GDPの繋がり」だ。

みんなは木造がダサく災害に弱くてコンクリートがカッコよくて災害に強いと思っていないか?
実は逆だった!

 

明治以降日本はずっと欧米コンプレックスだった。
コンクリートにビックリした。
関東大震災は木造建築故に火の手が早く未曾有の犠牲者を出した。
天然資源不足コンプレックスの日本は関東大震災の恐怖から満州を建設させる思想を作る原因になりそれは第二次世界大戦に繋がってしまった。
第二次世界大戦の空襲の原因も木造建築だからだと思ってしまった。
ならばコンクリートだと。
戦後の復興には建設は欠かせなかったが道路・マンション・ビルをたくさん作った。
土建屋は儲かりさらに儲けるために田中角栄のような政治家に献金をし無駄な建設をさせた。
だが建設つまり公共投資はGDPのかなりの額を占めるために好況感を国民に示すためには土建屋による公共投資は無視できなかった。

その考えは今も変わらないと思う。
今の若い人はマンションを好み一軒家を敬遠していると思う。
なぜか?
テレビドラマによって洗脳されてはいないか?
若手のサラリーマンが退社後に酒を飲み女を引っかけて自宅マンションに連れ込む。
この若さでこんな広い部屋のマンションに住めないだろー!!と言いたくなるほど非現実的なドラマを観て東京に憧れウットリし夢見る。
有名芸能人はみんな高級マンションに住んでいるしそうすることがステイタスのようになっている。
それを一般人も観て真似したくなる。
東京ないし周辺はマンションだらけだ。
一軒家だと庭いじりが面倒くさい、そんな時間があるのならスマホをいじっていたい。
家の維持管理にお金がかかるからマンションだとオーナーが管理してくれるしマンション住民同士の緩やかな連帯があるので楽だ、と。。。

この二人は実は鎌倉にある栄光学園高校の先輩後輩の関係だとかでこの学校生活が価値観の形成に大きく作用したらしい。
この学校はイエズス会が運営母体だそうでつまりフランシスコ・ザビエルの流れだ。
このイエズス会の基本理念は「現場主義」らしい。
「現場主義」は理解するに「現実主義」ではないのか。
イエズス会はいきなり「明日○○行って来い!」など突然言われるらしい。
フランシスコ・ザビエルも突然日本に辞令が降りたようだがそれを断らずに現場で与えられた条件で何とかやりくりするのが神髄のようだ。
だから養老孟司の「だましだまし」というのはここから来ていると思う。
以前読んだ記事で養老孟司が「自分探し何で意味が無い。社会に適合することを勉強した方がいいですよ」と言っていたのを読んだが全く全面的に同意だ。
それなのに10代から「自分らしく」と盛んに言う。
何様のつもりなんだろうと。

若者はどんどん東京に住居を求める。
マンションはどんどん建つ。
これじゃあ若手建築士は日本を出て行くしかない。
地方は東京の真似をしてミニ東京を作りたがる。
古い建物は相続税が辛く壊してしまう。
家は全面コンクリートの一反木綿のように平面で同じような画一的な家が建ち並ぶ。
これでいいのだろうか。。。