・読み終わった日:2010年6月25日
・人物:「私」(作者)
・ストーリー:
父は風琴(アコーディオン)を鳴らすことが上手かった。
「私」の音楽の記憶は風琴から始まる。
「私」と母と父とで電車に乗っていたが母は泪していたがそれは結婚を後悔しているかのようだった。
途中ある駅の風景に見せられて予定より早めて下車する。
そこは海沿いで漁港があった。
三人で天麩羅に入ったが両親は「私」にきつねうどんを自分たちは素うどんを注文する。
それに気付いた「私」は油揚げを父のうどんに入れニヤっと笑う。
「私」は母に蛸足が食べたいとねだるがお金がないと言って買ってくれなかった。
母は父の商売が上手く言ったらなんでも買うという。
父は口上を述べながら化粧品や薬などを風琴をしながら売っていたが物珍しさか予想以上に売れた。
「私」たちが住んでいる家はボロでいつも「私」は食べいたいことをしきりに言う。
「私」は白いご飯の話になると泪が出た。
ある日父が「私」に学校に行かないかと言う。
学校に興味はあったが5年生で中退しているので13歳で入学するのは気が引けた。
そのとき住まいにある井戸に誰かが落ちたと母が叫ぶ。
落ちたのは家主のおばさんだった。
質屋へ物を売りに行くため夜こっそり家を出たためのようだった。
奥さんが持っていた
母親はおばさんが持っていた質屋の通いを、往診に来た医師に見られないよう、こっそり隠す。
その後「私」は父と一緒に学校へ行った。
学校に行くようになると子供たちが「私」の父の琴を馬鹿にするのでいくのが嫌いになる。
弁当は栗飯だったので学校では食べずオルガンを弾いていた。
「私」は学校へ行く振りをして学校の裏山へ行った。
父が大阪へ行くかと「私」に聞くが好きな男の子がいたので断る。
その男の子は魚屋の息子で知り合いではないがあるとき店の前で声を掛けられる。
魚をタダでもらそしていつか舟で連れて行ってくれるというので嬉しくなる。
翌日学校へ行くと彼は一つ下の学年だと知る。
ある日父が大量に化粧品を仕入れ沢山売ったので肉が食べられた。
しかしその父が不良品を売ったという嫌疑がかけられ警察に連れて行かれ鼠より小さく縮こまった母が泣き出す。
「私」は警察に行くと父が警官の前で平手打ちを食いながら歌を歌わされていた。
それを見た「私」は悲しくなり猿のように「馬鹿たれ」と叫びながら海岸へ出る。
・感想:
作者の日記を読んでいる感じ。
作者の楽しくも苦しい幼少時代の思い出のようだ。
文章も短くまとまっており読みやすい。
「貧乏」ということを「食べたい!」とストレートに言うところが新鮮な感じだし泥臭く共感が持てる。
権力を笠にかけて貧乏人を見下すそんなことは沢山あったんでしょうね。
異性に興味を持ったことをはっきり書いたりかなり人間臭い感じが良い。
貧乏だからといって全面的にジメジメしているかというとそうでもない。
貧乏ながら家族で前向きに生きようというのが随所に感じられる。
幼き日の郷愁を書いたのだろうが作者は「大人のメルヘン」と言っていたそうだ。
ちなみに高峰秀子主演で映画化されているそうだ。