巣立ち | 心の波

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”立つ鳥跡を濁さず”と申しますが

ツバメが巣立った軒下には

 

挨拶代わりに残された

糞が散らばったままでした。

 

掃除係としてはやれやれ

ホッとしながらも

 

一区切りした一抹の寂しさが

何気に拭えないものです。

 

 

立つ鳥跡を濁さずって何となく

日本人の美学として根付いている

マナーのように言われますが

 

よくよく調べてみますと

一定期間を滞在した水鳥達が

 

飛び立ったあとの水面が

濁りなく汚れなく映る様を

例えたものとありました。

 

 

それゆえに、旅先とか仕事上でも

去り際を丁寧に綺麗にする事で

 

次へと進む上ではスムーズな

流れとなるだろうし

 

今後の動向にも良い影響と

繋がるのでは?なんて

 

心理的な希望や理想も込められた

表現なんだと考えちゃいました。

 

 

どちら様でも何事でも

立つ鳥跡を濁さず的に去る事で

 

無難な関係性をついつい

求めがちな社会なのですが

 

私の実際は恥ずかしながら

身勝手な内容で去ってしまった

反省すべき過去が多くあるのです。

 

仕事関係、友人知人、恋愛対象

不倫問題、借金問題、契約関連など

 

欲望を優先してしまったり

魔が差してしまったり

 

恩を仇で返す無礼な行為も

言い訳で汚したまま放置して

 

あっという間に数年、数十年と

経ってしまいました。

 

今では平然と忘れたことにして

のうのうと平穏に暮らしておりますが

 

罪を償うことなく裁かれる事もなく

逃げ切っただけの生活では

 

そう簡単に都合よく罪悪感を消す事は

出来ないものなのですね。

 

去り際の美学を完全に無視した

己の過去を思い返す度に

 

虚しくなり後悔ばかりですが

悲しんでいてもしょうがないので

 

夏は夏らしく羽ばたくツバメや

電線に並ぶ様子を見上げて

 

 

湿った空気を

軽めに吸い込んでみました。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

立つ鳥跡を濁さずと申しますが

私もこの世を去る時には

 

ちゃんと周囲を整理して

ゴミを残さずクズを出さず

シミは拭って穢れは払って

 

身軽に手軽に地獄行の

夜行列車に乗りたいです。

 

カタコトカタコト揺れながら

奈落の底へと運ばれる

 

覚悟はすでに出来ていますが

まだ案内状的なモノは

何も来ておりませんので

 

ポストに届くまでは考えず

漠然と面白おかしく生きたいです。

 

 

去り際も飛ぶ姿も

止まる様も羽ばたく瞬間も

 

綺麗に美しくあるツバメは

誰の心も濁さず汚さず

 

そっと巣立っておりました。