そっちは、どげな感じ?
酒は許可されてるの?
誰かに会えた?
寒いの?暑いの?
そっちの世界は本当に
光に包まれたパラダイスで
お花畑みたいなの?
神様になったの?
仏様になったの?
三角頭巾はやっぱりしてるの?
三途の川って船で渡るの?
お金は足りた?
痛みは無いの?
苦しくは無いの?
穏やかなの?
何も忘れ物はなかった?
叔母さんや○○ちゃんに
何か伝言あったら伝えとくけど?
俺のことは大丈夫だよ!
霊とか魂とか信じてるし
あの世も宇宙も興味があるし
実は、、人が死ぬこととか
生きていることにも興味があって
色々と本も読んだことあるよ!
何も怖がらないし
驚かないから
普通に話しかけてくれたら
いつでも大丈夫なんだけどなぁ…
最近はネットの情報も
結構、踏み込んだ内容で
多くの人が発信してるし
宗教家や霊能者とか
超能力者や識者や賢者も
それ以外の人も
それぞれの見解を
動画やSNSで配信しているから
こっちは何となく
いろんな情報が集まっているよ!
そのうち、そっちの世界も
たぶん、情報が解禁されると
思うからさぁ……
だから、もったいぶらないで
何か教えてよ!
それとも、誰かに
圧力を掛けられて
話しづらい状況なの?
もう、あの世だけの
特別な話じゃなくて
この世とも同等に
会話できるレベルで
もしかしたら……
霊界とのコンタクトツールや
霊界との会話アプリなんかも
そのうち開発されるはずだから
その前に僕だけに!
ちょっとでも、さわりだけでもいいから
何か特別なスクープ情報を教えてよ!
こんなこと言ったら
失礼極まりない事だけど
もう、死んだのだから
今更、誰かを気にしたり
気を遣って、うやむやにしたり
黙ったままじゃなくてさぁ…
この際だから
この流れのまま
俺に何か教えてよ!
叔父さんの体は
もう蝋人形みたいになってるから
そこに居ない事ぐらいは
何となく分かるんだけどさぁ…
遺影に話掛けたらいいの?
空に話しかけたら伝わるの?
それとも昔から言われているように
新しい輝きのどこかの星に
なってしまったの?
もうさぁ…令和にもなって
新しい時代になったんだから
死ぬ人は死後の世界を
ちゃんと何かしら伝えてくれないとさぁ…
残された遺族も
この世を生きている人々も
色々と大変なことぐらい分かるよね?
みんなあの世の
何かを知りたがっているんだよ!
何のために生きているのか?
なんて、まだ誰も、何も
完璧な答えなんて出せないし
どんなに凄い人でも
分かりやすい説明が出来ないから
平和のためとか幸せのためとか
喜びとか愛とか夢とか希望とか
勝手に決めつけて
信じて生きてるんだよ!
この世は何の為に存在して
誰の為に生きたらいいの?
みんなどうしていいか分からずに
自分のためとか
人の為とか、平和の為とか
何となく漠然とした
意義を掲げながら
何となく決められた
真義に沿って
何となく生きることに
疲れて億劫になってきてるんだよ!
死んだらどうなるの?
今どんな気分なの?
俺だけにそっと教えてよ!
お願いだから、絶対に誰にも
言わないと約束するから
今の気持ちを正直に教えてよ!!
……
火葬場で灰になった叔父さんは
最後まで何も教えてはくれなかった。
灰になり、遺影に納まり
何事も無かったかのように
消え去ってしまった。
まるで存在自体が
初めから何もなかったように
蝋燭の炎と
線香の煙と
美しい花に包まれた遺影の表情は
瞬きもせずに
口元が緩むことなく
同じ表情のままで
僕を見つめていた。
……
数日経ったけど
まだ俺には
何の連絡もこない。
まあ、家族が優先で
娘の○○ちゃんと話すことが
まだまだ山ほどあるのかも? ww
しょうがないけど
こんな気分の時には
この世界の嗜みとして
焼酎を飲んで紛らわす。
笑って悲しむことも自由だし
少しだけ泣くことぐらいは許される。
まあ、これぐらいのことでは
泣かないけど。
生きる意味も
死ぬ目的も分からないけど
やっぱり俺は
生きているから生きている。
ただ、それだけの日々に
何かの意味を見出そうと
焦っていたけど必要ないな…
叔父さんだけは
あの世のこと
何か伝えてくれると思ったけど…
神様も仏様も無責任だから
あの世の事は何も教えてくれない。
だから人間社会はこのままで
多くの人も自然も宇宙も
いろんな人に色々と突っ込まれて
好き放題にされている!
与えて支え合うことも
愛して許し合うこともあるけど
基本的には
争い競い騙して騙し合いながら
平気な顔して生きてきた。
それでも俺はこのまま生きる。
このままでしか生きられん。
……
何かのややこしい儀式を終えて
そっちの世界で落ち着いて
一段落ついて一服でもしたら
夢でも何でもいいから
そっちの世界のこと
何か教えてね!
そう言えば…
俺も言い忘れてた事がある!
叔父さん、最後までありがとう。
いままで本当にありがとう。