国立劇場にて、
9月、10月と上演されている、
「妹背山婦女庭訓」。
9月に上演されたのは、
「吉野川」を中心とした場面。
政治の中心地、三笠山周辺から
遠く離れた吉野の地での物語。
吉野川はやがて和歌山県を流れ、
「紀の川」と名を変え、
紀伊水道に流れ込みます。
吉野川をはさんで並ぶ、
妹山・背山。
舞台もこのとおり。
上手(向かって左)が大判事家、
久我之助が蟄居しています。
下手が太宰家、雛鳥が
病を理由に移り住んでいます。
時は3月、
ひな人形が飾られています。
物語の語りを担う義太夫も
上手下手に分かれ、
掛け合いとなります。
中央に流れる吉野川。
仕掛けがされており、
物語に合わせてくるくる回り、
激しい流れを表現しています。
舞台の吉野川の流れは
客席まで流れ込むように感じ、
観客も取り込みながら
悲劇の舞台は進行します。
現代の妹山ですが、
暖地性の植物が混在する
特別な場所になっているそう。
麓に大名持(おおなもち)神社が
建てられ、
人が登ることが禁止された
「忌み山」として、長い間
守られてきたためだそう。