「稚魚の会・歌舞伎会合同公演」。
観劇の覚え書きです。
〈三、菅原伝授手習鑑ー佐太村賀の祝の場〉
「菅原伝授手習鑑」の中でも、
上演頻度が少ない場面です。
私も劇場で見るのは初めてです。
役者が揃わないと
上演が難しいのだと思います。
「賀の祝」と呼ばれるのは、
松王丸、梅王丸、桜丸 三兄弟の父親、
白太夫の七十歳の祝いの日だから。
三兄弟とそれぞれの妻が
祝いのために集まりますが⋅⋅⋅
主筋の菅相丞(菅原道真)の凋落ぶりに、
皆、思うところがあり、
思いがけない悲劇へと向かいます。
松王丸 ⋅⋅⋅市川新十郎(賛助出演)
千代 ⋅⋅⋅片岡嶋之亟(賛助出演)
梅王丸 ⋅⋅⋅尾上松三
春 ⋅⋅⋅中村竹蝶
桜丸 ⋅⋅⋅大谷桂太郎
千代 ⋅⋅⋅中村好蝶
白太夫 ⋅⋅⋅市川新蔵(賛助出演)
松王丸と梅王丸。
お人形のような出で立ち。
(歌舞伎のリアルではない、
様式的なところ。)
この二人は対立しているので、
むきになって言い争ったり
けんかをしたり、
躍動感があり鮮やか。
三兄弟の嫁、千代、春、八重。
同じくらいの歳のはずですが、
衣装やかつらも異なり、
年代が異なって見えます。
(これも様式です。)
特に今回は好蝶さんの八重が、
はかなげで可愛らしかったです。
嶋之亟さん、竹蝶さんが、脇を
かっちりと固めてくれたことも
大きいと思います。
菅相丞追放の責任を取り、
自ら命を絶つ桜丸。
桂太郎さんの桜丸には、
哀れさよりも、自分の
決心を貫く強さを感じました。