歌舞伎座十月大歌舞伎、
「荒川十太夫」視聴。



〈あらすじ〉
赤穂義士の七回忌を弔う人々が行きかう泉岳寺の門前。
下級武士に似合わしくない身形でやってきたのは
伊予松平家の徒士侍・荒川十太夫。
偶然居合わせた松平家目付役の杉田五左衛門は、
武士が身分を偽ることは大罪であると、
十太夫を咎めます。

後刻、取り調べの場で松平隠岐守より
身分を偽った理由を問われた十太夫は、赤穂義士の一人、
堀部安兵衛の介錯をつとめた日のことを語り始め…。

講談『荒川十太夫』は、「赤穂義士外伝」の一つで、
講談師で人間国宝の神田松鯉が得意とする人気作。
討入りを果たした赤穂義士、堀部安兵衛の切腹の際に
介錯をつとめた、荒川十太夫の苦悩と覚悟を描いた
講談の名作が新作歌舞伎となって歌舞伎座に登場します。

〈歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人」より〉

 


歌舞伎と講談は、
市井の人々に愛されてきた芸能でありながら、
これまで交わることはありませんでした。

尾上松緑丈は自ら寄席に出向くほど、
講談が好きとのこと。

その繋がりから生まれた新作歌舞伎です。


物語は、十太夫の強い思いを汲み取った主人、
松平隠岐守の計らいにより、ハッピーエンド。


実直で不器用ながら、自分の思いを貫く十太夫。
松緑丈の姿に重なるようにも思います。


堀場安兵衛役の、市川猿之助丈。
十太夫の回想シーンに登場。

脇に回って舞台を支える姿勢は好ましいです。
このところ、
猿之助、松緑の共演も増えてきました。


大石主税は、尾上左近。
切腹の白装束に
凛々しさと、はかなさを感じます。

これから父、松緑と同じ舞台に立つことが
増えてくるでしょうか。


主筋とは直接は関係ない、
泉岳寺門前の茶屋のシーン。

茶屋の女は、松緑一門の緑さん。
市川翔三さん、翔乃亮さんとともに、
台詞が多めなのが嬉しいところでした。