上演まれな演目ですが、
この写真は有名で、
何度か目にしたことがあります。
大正3年の初演時と、
昭和23年の再演時は
この二人が演じたそうです。
今回(2022年8月)の上演は、
六世菊五郎の曽孫、中村勘九郎、
初代吉右衛門の曽孫、松本幸四郎
によるものだと思うと、感慨深いです。
〈配役〉
佃島寄場飯焚所~同 構外
舞台となる佃島人足寄場とは、
長谷川平蔵が老中松平定信に
進言して作られた、罪人の更生施設。
寄場人足の皆の噂話で、
青木貞次郎、神谷玄蔵のことが
観客に明らかにされます。
どうやら二人は新たな罪がばれて、
この寄場から一生出られない様子。
青木貞次郎は、親の敵を追う身。
寄場から一生出られないのは
無念と語ります。
それを聞いた神谷玄蔵は貞次郎を煽り、
島抜け(脱獄)を計画。
貞次郎の両親を殺したのは、
実は玄蔵ですが、知るよしもありません。
島抜けの場面は、塀を乗り越え
着物を頭にくくりつけ、水に入る二人。
泳げない玄蔵を背負い、必死に泳ぐ貞次郎。
その背中で不敵な笑みを浮かべる玄蔵。
かなりコミカルで、コントのよう。
島抜けした二人は、夜道を通りかかった
上州屋の伜から金を奪い、
それを目撃した駕籠屋をやっつけます。
悪事が、当たり前のように
身に付いている感覚。
飯屋で出会った木鼠清次は、
玄蔵の悪仲間。
貞次郎の両親殺しにも関わっています。
玄蔵と清次は埋蔵金のありかを突き止め、
貞次郎を亡きものにしようと画策。
埋蔵金や父母の敵討ちの
手がかりを求めて、
甲州にやって来た貞次郎。
大雪の中、追手が迫っている様子。
舟を出してくれるよう、
船頭義兵衛の家を訪ねます。
そこは何と、
6年前に別れた女房おさよの親元であり、
おさよと娘お民が身を寄せていました。
孫のお民の将来を思うゆえ、
罪人の貞次郎のために
舟は出せないと言う義兵衛。
お民の死をきっかけに、
貞次郎の志を立てようと、舟を出します。
偶然の6年ぶりの再開、
その日に娘が急病で死去と
怒濤の展開です。
金鉱の洞窟前で出会った因縁の二人。
敵討ちか、返り討ちにあうのか、
決着がつく前に追っ手がやって来て
お縄になるという
何とも、もやもやの結末。
勘九郎さんは、
亡父、十八代目勘三郎丈に
そっくりなところがありました。
幸四郎さんが休演中の2日間は、
猿之助さんが代役。
上演頻度も少なく、台詞も多い役なのに、
とっさに代われるのはすごいこと。
(他の場面でも配役に名があっても、
出ていない方もいるようでした。)
木鼠清次を演じた隼人さん、
おさよを演じた米吉さん。
まだ若いお二人、
このような役は珍しいですが、
勉強になったのではないでしょうか。
彌十郎丈の義兵衛、
一徹ながら娘や孫思いの
いい味を出していました。