「京鹿子娘道成寺」の舞台から、
客席に撒かれた手拭い。
この舞踊の最大の見せ場と言われる
「恋の手習い」。
白拍子花子に扮した役者が
手拭いを使い、
恋心をしっとりと踊ります。
その最後の部分を
踊り終わったところで、
後ろ向きになった花子が、
客席に向けて手拭いを放ります。
そして花子が上手に引っ込むと、
見物していた所化(お坊さん)たちが
やおら立ち上がり、
懐や袖から出した手拭いを
客席に撒き始めます。
⋅⋅⋅他の演目では見られることがない、
大サービスです。
それだけこの演目が、
特別なものだということ。
ちなみに花子が踊りで使う
小道具の手拭いは、絹製だそう。
客席に撒くのは、
後見が手渡したものです。
上演当時の中村福助 丈のブログ。
手拭いのことを
書いてくださっています。
こちらは実際に舞台で使っているものなので、
紅が付いています。
手拭いをくわえる
振りがありますので⋅⋅⋅
私が持っている手拭いは
2枚とも、偶然に膝の上に乗ったり、
足元に落ちてきたりしたもの。
中村福助丈の「京鹿子娘道成寺」。
1階前方の席で観ていたのですが、
まさか頂けるとは思いませんでした。
下段は平成8(1996)年9月歌舞伎座。
中村時蔵丈、福助丈、当時の花形2人の
「京鹿子娘二人道成寺」。
当時の私の座席は、3階席または
1階席か2階席の後方。
よほど強肩の役者さんが
投げたものと思われます。
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この手拭い撒きですが、
今後コロナウイルスとの共存する中で、
どうなっていくのか、注目です。