「大向こうとゆく
平成歌舞伎(いまようしばい)見物」
樽屋壽輔:著

歌舞伎のお芝居の進行に合わせるように、
舞台に声を掛ける「大向こう」。

筆者本人が、歌舞伎座の「大向こう」
として活動する中で、
身をもって体験した
お芝居の素晴らしさ。


筆者名の「樽屋壽助」とは、

ペンネームのようです。


堀越一寿



現在、歌舞伎座などの劇場では、
感染症防止対策として、
掛け声は禁止されています。


「大向こう」の皆さんはどんな気持ちで、

いらっしゃるのでしょうか。


* * * * * * * * * *


私の聞いた、「大向こう」。


初めての観劇の折は、

予備知識を持たずに行ったので、

周囲に声を出す人が複数いることに驚き。


その日の最後の演目は、

十七代目中村勘三郎一周忌追善の

演目で、「お祭」が出ていました。


十八代目勘三郎(当時は勘九郎)、息子二人に、

あちこちから「中村屋」の声が⋅⋅⋅。


また、「お祭」と言えば、登場時の

「待ってました!」が有名です。


十八代目勘三郎丈の最後の「お祭」は、

2011年11月平成中村座でしたが、

このときの「待ってました!」も、

聞きました。


* * *

遡ると⋅⋅⋅
中村歌右衛門丈への、
「大成駒」、「岡本町」。

先代中村芝翫丈への「神谷町」。

二代目尾上松緑丈への「紀尾井町」。

いずれも聞きました。

現代に戻ると、
当代松緑丈への「紀尾井町」は、
聞きましたが、
当代芝翫への「神谷町」は、
聞いたことはありません。