
左甚五郎の彫った京人形。
甚五郎の魂が籠り、動き始めます。
しかし、その動きは男そのもの。
甚五郎が人形の懐に、
廓で拾った太夫の鏡を差し入れると、
女性らしい動きに⋅⋅⋅
弱冠16歳の染五郎、女方は初めて。
そのぎこちなさと、
人形としての不安定さが相まって、
不思議な魅力。
男性の動きに戻るところでは、
大胆さも垣間見えます。
まだまだ未知数の輝きを秘めています。
未知数と言えば、井筒姫の玉太郎もそう。
やはりほぼ初めての女方、お姫様役。
これから、
どんな役を見せてくれるのでしょう。
甚五郎役の白鸚丈は孫との共演、
本当に嬉しいことでしょう。
染五郎の父、白鸚丈の息子である
松本幸四郎丈。
染五郎時代に、この「京人形」を
父との共演で踊っています。
1990年2月、17歳のとき。
(その公演、
見た記憶があるような、ないような⋅⋅⋅
おそらく夜の部の最後の演目だったので、
見ずに帰ってしまったかも。)
舞台写真、ありました。
(「演劇界」平成3年12月臨時増刊)
嬉しそうな、幸四郎(現⋅白鸚)。
そしてこの演目、「京人形」は、
昨秋にも上演されました。
そのときは、中村七之助丈の京人形。
役者の持ち味を楽しむのも、
歌舞伎の大きな楽しみです。
この作品の後半の見所は、
甚五郎と大工たちの立ち回り。
大工道具を使った、
楽しい振り付けがされています。
今回の大工たちは、
おもだか屋の役者さんを中心としたメンバー。
昨年10月の公演では6名でしたが、
今回は8名に増えています。
本来は、10名程度出るようですが、
コロナ対策で、人員に縛りがあるようです。
現在歌舞伎座では、
3部制での公演が行われています。
厳しい感染対策が取られ、
部と部の間は観客を全て外に出し、
館内の消毒を徹底しているそう。
役者さんたちは、
定期的なPCR検査はもとより、
部をまたいでの出演はせずに対応。
楽屋の消毒をするため、
出入りの時刻も決められているそう。
その影響で、立ち回りの役者さんたちの
人員的なやりくりも、
これまでとは異なった工夫が
されているように思います。