今月歌舞伎座の「五月大歌舞伎」、
緊急事態宣言の影響で
初日は大幅に遅れましたが、
無事、上演が続いているようです。
ただ例年だと5月は、
「團菊祭」と銘打って、
九代目市川団十郎、
五代目尾上菊五郎の功績を称える
公演となっていました。
しかし今年は、
「團菊祭」の名はなく、
「五月大歌舞伎」としての公演です。
コロナ禍により演目立てが
難しいからでしょうか。
また、当代の
團十郎となるべきであった
市川海老蔵丈も出演していません。
2年前のちょうど今日、
歌舞伎座で「團菊祭」を
観劇していました。
昼の部最後の演目はこちら。
「神明恵和合取組」、
通称「め組の喧嘩」です。
とにかく
たくさんの人が登場するので、
コロナ禍の現在では、
上演は難しいでしょう。
果たし合いに行くために、
鳶仲間が集結するシーンでは、
柄杓の水を口に含み、
草履の裏に吹きかけます。
これは草履の滑り止めのために
行うようですが、
いかにも粋で喧嘩っ早い
鳶の様子を活写しています。
実際に舞台の上で、
水を使って行いますので、
この演出は今後、
コロナが終息したとしても
NGなのではないかと思われます。
これはほんの一例で、
今後、歌舞伎のいろいろな演目で
演出が変わり、元々の演出が
次の代に伝わらなくなったり⋅⋅⋅
演目自体が廃れてしまったり⋅⋅⋅
などということが
頻繁に起こると考えると、
影響は計り知れません。
1年以上も観劇に行けない
状況と合わせて、
ちょっと悲観的になってしまいます。
写真は、浅草の被官稲荷神社。
勘請は新門辰五郎。

この新門辰五郎は、
江戸町火消十番組の組頭。
「め組」の辰五郎とは
別人と言われています。