「松竹梅湯島掛額」、
後半は有名な「櫓のお七」です。

恋のために放火し、
火あぶりの刑に処せられた
八百屋の娘お七。

実在の人物なのか
はっきりしないようですが、
多くの文芸、演劇作品に
取り上げられてきました。


現在演じられる、
「伊達娘恋緋鹿子=櫓のお七
=火の見櫓の場」の成り立ちは
少し複雑です。

数々の先行作品がある中、
元は人形浄瑠璃の作品を
歌舞伎に取り入れ、河竹黙阿弥が
安政年間に書いた作品がこちら。

松竹梅雪曙


この作品において、現在のような
「火の見櫓の場」の趣向が完成したようです。

そして本作「松竹梅湯島掛額」は、
「吉祥院お土砂の場」と、
上記の「火の見櫓の場」を
つなぎ合わせた作品なのだそう。


現在歌舞伎で上演される際は、
本作「松竹梅湯島掛額」または、
「火の見櫓の場」のみの
どちらかの場合ががほとんどです。

「火の見櫓の場」のみの上演では、
タイトルは、
「伊達娘恋緋鹿子ー櫓のお七」、
となることが多いようです。

愛しい吉三郎のために、
禁止されている火の見櫓に登り、
太鼓を打ち鳴らすお七。

「人形振り」という、
文楽人形を模した振りが入ります。

人間の心を持たない、
ぎくしゃくとした動きが逆に
ドラマチックに盛り上げます。


今回のお七は、中村七之助。
七之助丈のお七は、
2011年8月の
新橋演舞場公演でも観ています。


市川猿之助丈のお七も観ています。
しかし途中まで⋅⋅⋅

2015年5月、明治座の「男の花道」 。


猿之助丈演じる、加賀屋歌右衛門。

「櫓のお七」上演中に
恩人の危機を知らされ、
観客にしばしの暇を乞い、
舞台を離れるという、劇中劇。

このときの「櫓のお七」、
本当に人形にしか見えない
キレキレの踊りで、
最後まで見届けられないのが残念でした。