雛祭り、桜餅。



雛祭りにちなんだ、歌舞伎演目。

「井伊大老」
開国か攘夷かで国中が揺れていた幕末。
大老井伊直弼は、
開国を断行し暗殺の危機にさらされています。

雛祭りの前夜、
幼くして命を落とした娘鶴姫の命日に、
直弼の旧知の仲である仙英禅師は
井伊家の下屋敷を訪れ、側室お静の方に
直弼に危機が迫っていることを明かします。

下屋敷に現れた直弼は、
これから起こるであろう自らの運命を悟り、
しんしんと雪が降る中、
お静の方と酒を酌み交わし
二人きりで語り合うのでした。


北條秀司の名作の一つで、
井伊直弼が桜田門外で
暗殺される前夜の様子を描いた作品です。
美しい桃の節句の雛壇の前で通わせる
夫婦の情愛が心を打ちます。

〈歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人」より〉


井伊直弼は、歴史上では
「安政の大獄」、「桜田門外の変」と
あまり良いイメージがありません。

歴史の渦に巻き込まれながら、
自分の来し方行く末を語る姿に、
直弼も一人の心の通った人間なのだなと、
胸が熱くなります。

舞台に飾られた大きな雛飾りも
目を引きます。


この演目、1996(平成8)年の上演のときに
見ているようです。
井伊直弼は中村吉右衛門丈、
お静の方は中村歌右衛門丈でした。

歌右衛門丈の
最後の舞台だったようです。

薄暗い照明、淡々とした台詞劇で、
当時の私には難しいものでした。


この後また何度も上演されていますが、
井伊直弼の役は、
吉右衛門丈、松本白鸚丈の他は
誰も演じていないようです。

機会があれば再度見てみたいと思います。


こちらは、あられのお雛様。