今月の歌舞伎座、
納涼歌舞伎で上演されている
「闇梅百物語」

人外の者たちを描いた、
百鬼夜行の物語。
(⋅⋅⋅とは言え、恐ろしさより、
ユーモアが効いた切り口です。)


1991(平成3)年の上演の際のチラシ。


夏芝居に欠かせない怪談話。

このときは、昼の部に「怪談蚊喰鳥」
しつこくねちっこい徳の市は、
勘九郎(後の勘三郎)の独壇場。


「番町皿屋敷」は怪談ではありませんが、
そのモチーフである「播州皿屋敷」は、
お菊さまの幽霊話。



上記の公演からさかのぼること1年、
1990(平成2)年。
記念すべき、納涼歌舞伎第1回目。
このときは、
納涼「花形」歌舞伎と銘打っていました。
三部制はまだ、取り入れられていませんでした。


昼の部の「豊志賀の死」は、
落語の三遊亭圓朝の「真景累ヶ淵」を
歌舞伎化したもの。

音曲の女師匠 豊志賀の
弟子新吉への恋慕と執念、
近所の娘お久への嫉妬が恐ろしい。
(そして、物悲しくも、ちょっとおかしくもあり⋅⋅⋅)
幽霊への恐怖心を産み出すのは、
人間の心(神経=真景)というオチも。


夜の部の「怪談乳房榎」
これは発表されたとき、とても楽しみでした。
勘九郎(後の勘三郎)の三役早替り。
本水を使った立ち回りなど、
ケレンたっぷりの見せ場。

「實川延若指導」と但し書きがついていますが、
勘九郎が延若丈から直々に教えを受けたそう。
延若丈は翌年春にお亡くなりになったので、
奇跡的に次代に伝わった演目と言えるでしょう。

現⋅勘九郎もすでに何度か上演していますが、
「三世實川延若から直伝されたる
十八世中村勘三郎から習い覚えし」という
但し書きをつけています。


納涼歌舞伎の怪談話。
まだまだありますが⋅⋅⋅
続きます。