歌舞伎座観劇メモ、続き。

二、傀儡師(かいらいし)
清元の舞踊。

大和屋、坂東三津五郎家の舞踊ですが、
なぜ今回幸四郎さんが出したのか、
知りたかったのですが、
筋書きにも書いてありませんでした。

ただ、今回は、
坂東流の振り付けで踊りますとのこと。

幸四郎丈は
ひとつひとつの振りを丁寧に踊り、
繊細な印象を受けました。

清元はいつもの延寿太夫ではなく、
清寿太夫。



三、「傾城反魂香」
近江の国高嶋館の場から
いつもの土佐将監閑居の場までの通し。


土佐将監閑居の場、通称「吃又」は
よく上演されますが、
その前の場面がつくことにより、
より一層理解できます。

これは
先代猿之助(猿翁)丈が工夫した型なのだそう。


幸四郎丈の狩野元信は、
後ろ手に縛られている風情が、
よく似合っています。

しかしながら、肩先を喰い切り、
その血をもって襖に虎を描くという
壮絶なところもある役。
(これは「金閣寺」の雪姫と同じ趣向。)

最後は、敵を食い殺した虎を手なずけて
花道を引っ込むという、
機嫌のよい役でもあります。


そして、土佐将監閑居の場。

白鸚丈の浮世又平。
特に何かするということもない中に、
悲しさややるせなさをにじませます。
平成元年に演じて以来、
2度目なのだそう。

猿之助丈のおとく。
おしゃべり、出しゃばりなのも
すべて夫のためという
けなげさが伝わってきます。
猿之助丈の女方の中でも、
特にいいものだと感じました。



今月は夜の部は、
幸四郎、猿之助のダブルキャストで
話題になっています。

上置きに白鸚丈、仁左衛門丈がいるものの、
幸四郎、猿之助の世代が
中心に移ってきているということを実感します。