能の「翁」を歌舞伎に移したものが
いわゆる「三番叟」物。
今月歌舞伎座で上演されているのが、
「舌出三番叟」。
はんなりした魁春さんと、
おおらかな芝翫さんの踊り。
新春らしい華やかさでした。
曲は「舌出三番叟」ですが、
有名な舌を出す振りは、なしでした。
他の流派の踊りでは、
舌出しの振りがあるようです。
私は見たことがありませんが、
九代目三津五郎丈の三番叟。
いつの日か、
巳之助さんが踊るのが、楽しみです。
他に有名な「三番叟」物では、
「操り三番叟」、「廓三番叟」
「二人三番叟」などなどあります。
「操り三番叟」は
生身の人間が、
操り人形を演じる面白さ。
箱の中からくったりした様子で取り出され、
後見が糸を引くと
魂が入ったように踊り始めます。
しかしそこは操り人形らしくぎこちなく⋅⋅⋅
糸がからんで空回りし、
とうとう糸は切れてしまい⋅⋅⋅
と、技巧と身の軽さが必要な踊り。
近年では幸四郎丈が得意とし、
よく上演しています。
2016年4月歌舞伎座
三番叟 幸四郎(当時は染五郎)
後見 松也
⋅⋅⋅幸四郎丈が踊る場合、
「松寿操三番叟」という名です。
他に、
1993(平成5)年4月明治座
三番叟 八十助(十代目三津五郎)
翁 九代目三津五郎
千歳 萬次郎
後見 秀調
⋅⋅⋅明治座のこけら落とし2か月目の開幕に
上演されました。
新しくきらびやかな
明治座の印象と共に覚えています。
1990(平成2)年1月歌舞伎座
三番叟 實川延若
翁 澤村宗十郎
千歳 市川門之助(先代)
中村智太郎(現⋅鴈治郎)
後見 中村歌昇(現⋅又五郎)
⋅⋅⋅古風な面構えの延若丈。
切れのいい踊りを見せてくれました。
この方の舞台を見られたことは宝物。